北海道の旅#21|新得そば、サホロ ベア・マウンテン、然別湖へ
北海道で車中泊をしていると、朝の始まり方がだいたい早い。
この日もそうだった。
2024年6月14日。
道の駅おとふけで目が覚めたのは朝5時。
前回の話はこちらです。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
関西から北海道へ通い、車中泊で北海道ワーケーションを実践中の記録。
北海道の旅日記2024
朝の霧と、帯広の拠点作業
窓の外を見ると、あたり一面に霧が立ち込めていた。
北海道の朝は、たまに映画みたいな風景を惜しみなくだしてくる。
前日の車中泊の余韻を少し引きずりながら、5時半には道の駅を出発した。
8時ごろに帯広の拠点に到着した。
この日は、セリアで買った銀マットを床下収納に貼る作業をした。

北海道の旅日記なのに、朝から床下収納と銀マットである。
自分の旅にはこういう時間がちゃんとある。
拠点を整える。
湿気を防ぐ。
寒さや暑さに備える。
車中泊仕様の車と、帯広の小さな拠点を少しずつ育てていく。
こういう地味な作業が、ノマドワークの現実でもある。
パソコン1台でどこでも働ける。
それは確かにそうだ。
ただ、その裏側には、銀マットを切ったり貼ったりする姿もある。
新得そばの館で、鴨そばせいろとごぼう天
作業を終えて、新得町へ向かった。
昼食は。
ここは以前にも来たことがある。
この日は迷わず、鴨そばせいろとごぼう天を注文した。

新得といえば、そば。
北海道の広い道を走ったあとに食べるそばは、うまい。
鴨の旨みが出たつけ汁に、そばをくぐらせる。
そこに揚げたてのごぼう天。
香ばしい。
歯ごたえがいい。
そして、ちゃんと腹にたまる。
そばは軽い食事のように見えて、天ぷらを足すと急に存在感を増す。
さらにここで、またそばがら枕を買った。

前にも買っているので、これで合計4個になった。
そばを食べに来て、そばがら枕が増えていく。
旅というより、もはや生活用品の補充である。
でも、こういう買い物こそ、何度も通っている場所ならではの楽しみだと思う。
観光客として一度来るだけなら、たぶん買わない。
けれど、帯広や十勝に何度も来ていると、少しずつ生活が混ざってくる。
そばを食べる。
枕を買う。
拠点に置く。
これもまた、北海道ノマド生活の一部である。
サホロ ベア・マウンテンでヒグマを見る
昼食のあとは、サホロ ベア・マウンテンへ向かった。
ここでは、広い敷地の中でヒグマの姿を見ることができる。
受付を済ませて、ベアウォッチバスに乗る。

ヒグマを見るためのバス。
文字にすると、なかなかすごい。
普通のバスなら、乗客を駅や観光地へ運ぶ。
このバスは、ヒグマの近くへ運んでくれる。
目的地のクセが強い。
しばらく進むと、森の中に大きなヒグマの姿が見えた。
やはり、迫力がある。

こちらはバスの中にいるので安全なのだが、それでも身体の奥の方が少し緊張する。
ヒグマは、ただ歩いているだけで強い。
ヒグマは違う。
歩くだけ。
座るだけ。
水に入るだけ。

それだけで、十分すぎるほど存在感がある。
あれはもう、プレゼン資料ゼロ枚で通るタイプの説得力である。
草木の中を歩いたり、水たまりに向かったり、水遊びをしたりする姿を見ていると、怖さだけではなく、どこか愛嬌も感じる。
もちろん、近くで出会いたい相手ではない。
山道でばったり会ったら、たぶん人生の反省会が一瞬で始まる。
でも、こうして安全な距離から見ると、北海道の自然の大きさをあらためて感じる。

人間が旅をしている場所は、人間だけの場所ではない。
森があり、川があり、動物がいて、その中に道路や施設や町がある。
北海道を走っていると、ときどきその順番を思い出す。
人間の生活が先にあるのではなく、自然の中に人間が少し場所を借りている。
サホロでヒグマを見ていると、そんな感覚になる。
然別湖の湖底線路へ
サホロを出たあとは、然別湖へ向かった。
目的は、湖底線路を見ること。
湖に向かって線路が沈んでいくように見える、あの幻想的な景色である。

写真で見ると、かなり美しい。
透明な湖水。
青空。
水の中へ続く線路。
これは見ておきたい。
そう思って行った。
そして、実際に見た。
たしかに線路はあった。
湖へ向かって、静かに伸びていた。
ただ、この日は曇り空だった。
青空と湖面のコントラストはない。
写真で見たような、きらきらした幻想感も少ない。
正直に言うと、少し肩すかしを食らった。
旅にはこういうことがある。

期待値が上がりすぎて、現地に着いた瞬間に「あれ?」となる。
SNSやガイドブックで見た景色と、実際に自分が立っている景色が少し違う。
でも、それもまた現地に行った人だけが味わえる感覚だ。
霧がかかった然別湖は、派手ではなかった。
けれど、静かだった。
観光写真のような明るさはない。
その代わり、少し湿った、北海道の山の湖らしい空気があった。
これはこれでいい。
いや、正確に言うと、最初は「思ってたんと違う」と思った。
でも、しばらく見ているうちに「これはこれでいいか」と思えてきた。
旅の感想は、だいたい数分遅れで追いついてくる。
帯広に戻り、拠点を整える
然別湖をあとにして、帯広へ戻った。
途中でニトリに寄り、拠点用の遮光カーテンを買った。
観光地を回ったあとに、遮光カーテンを買う。
この流れが、なんとも自分らしい。
北海道旅行といえば、普通は絶景、海鮮、温泉、牧場あたりが主役になる。
自分の場合は、そこにセリア、ニトリ、ダイイチが入ってくる。
生活感が強い。
でも、これが月1で北海道に通うようになった人間のリアルでもある。
帯広に拠点がある。
車がある。
車中泊もする。
仕事もする。
必要なものを買い足す。
だから、観光と買い物と作業が同じ日に並ぶ。
この日は、拠点に戻ってすぐにカーテンを取り替えた。
窓まわりが整うと、部屋の居心地が少し変わる。
たったそれだけのことなのに、自分の場所になっていく感じがある。
旅先に、自分の場所ができていく。
これはホテル泊だけでは、なかなか味わえない感覚かもしれない。
旅は、思い通りにいかないから残る
この日を振り返ると、すごく派手な出来事があったわけではない。
もちろん、サホロのヒグマは迫力があった。
然別湖の湖底線路も印象に残った。
でも、いちばん自分らしいと思うのは、その間に挟まっている時間だ。
道の駅で目覚める。
拠点で銀マットを貼る。
そばを食べる。
そばがら枕を買う。
ヒグマを見る。
湖底線路で少し肩すかしを食らう。
ニトリでカーテンを買う。
こうして並べると、旅と生活がごちゃ混ぜになっている。
でも、今の自分にとっての北海道ワーケーションは、まさにこのごちゃ混ぜ感なのだと思う。
観光だけなら、たぶんここまで何度も来ない。
仕事だけなら、わざわざ北海道まで来なくてもいい。
車中泊だけでも、いつか飽きるかもしれない。
けれど、北海道、帯広、車中泊、ノマドワーク、拠点づくり。
それらが少しずつ混ざることで、旅が日常になり、日常が少し旅になる。
銀マットとそばがら枕とヒグマが同じ日に登場する旅は、そうそうない。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の話はこちらです。
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関西から北海道へ通いながら、車中泊で北海道ワーケーションを実践しています。
