北海道の旅#22|帯広から釧路湿原へ。北海道の広さに、また少し黙らされた日
今日は、帯広から釧路湿原へ行く。
朝5時に帯広の拠点を出発した。
前回の話はこちらです。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
北海道の旅日記2024
朝5時、帯広の拠点を出る
この日は、2024年6月15日。
今回の北海道車中泊旅の4日目である。
目的地は釧路湿原。
最終的には達古武オートキャンプ場で車中泊する予定だ。
朝5時に帯広の拠点を出発した。
帯広を拠点にしながら、北海道の東へ向かって走る。
ノマドワークというより、この日は完全に移動の日。
北海道では、ただ走っているだけでも情報量が多い。
畑がある。牧場がある。古い駅跡がある。映画のロケ地がある。
北海道の道を走っていると、つい「あそこも寄れるな」と思ってしまう。
この「寄れるな」が危ない。
北海道の「寄れるな」は、だいたい20キロとか30キロ先にある。
関西なら、寄るんじゃなくて、ちょっとしたお出かけである。
早朝4時に起きて、準備を整える。
まず向かったのは、幕別町の金比羅山記念碑。
朝5時半すぎには到着していた。

このあたりから、すでに旅というより「土地の記憶を拾いに行く」感覚が強くなる。
金比羅山記念碑には、開拓時代の信仰や地名の由来が刻まれていた。
北海道を走っていると、地名の奥に何層もの時間があることに気づく。
いまは車でさらっと通り過ぎてしまう場所にも、誰かがここで暮らそうとした時間がある。
車中泊の旅は、自由で軽い。
でも、北海道の土地に触れるたびに、その軽さの下にある重さも感じる。
朝っぱらから、ちょっと背筋が伸びる。
明野ヶ丘公園の「ピラ・リ」に、朝から軽く困惑する
次に向かったのは、明野ヶ丘公園。
ここには「ピラ・リ」という展望施設がある。
この建物が、なかなか不思議だった。
どこかガウディっぽい。
でも、北海道の公園に突然ある。
しかも朝6時。
まだ世間が本格的に動き出す前の時間に、目の前に不思議な建造物が立っている。

寝起きの頭には、少し情報量が多い。
「これは何なんやろう」
そう思いながら、階段を上がったり、内部を見たり、展望台から幕別の景色を眺めたりした。
ピラ・リはアイヌ語で「偉大なる崖」という意味らしい。
名前を知ると、少し納得する。
でも、見た目の印象はやっぱり独特である。

北海道の大地に、少し未来感のあるオブジェが立っている。
しかも、朝の公園に人は少ない。
こういう場所に出会うと、旅は急に楽しくなる。
「あの朝、幕別で変な塔に登ったな」
と、意外に記憶に残るものである。
二宮尊親居住地跡で、開拓の匂いに触れる
その後、豊頃町にある二宮尊親居住地跡へ向かった。

二宮尊親は、二宮尊徳の孫にあたる人物で、北海道開拓とも関わりの深い人物である。
こういう処に寄ると、北海道の旅が単なる観光ではなくなる。
目の前には広い土地がある。
いま見れば、穏やかな風景に見える。
けれど、開拓の時代には、ここで暮らすこと自体が大きな挑戦だったことがわかる。
浦幌の放牧
釧路方面へ向かう途中、浦幌で放牧された牛たちの風景に出会った。
牛を見ると、なぜか得した気分になる。

いや、冷静に考えると、北海道で牛を見るのはそこまで珍しくない。
それでも、広い牧場でのんびり草を食べている姿を見ると、ちょっと嬉しい。
「あ、北海道してる」
そんな感じである。
尺別へ。映画「ハナミズキ」のロケ地と駅跡
さらに進んで、尺別へ向かった。
ここには映画「ハナミズキ」のロケ地として知られる家がある。

現地は少し雑草が目立ち、管理が行き届いている観光地という雰囲気ではなかった。
少し寂しさもあった。
その近くには、尺別駅跡もあった。

駅がなくなった場所には、独特の静けさがある。
列車が止まっていた時間。人が乗り降りしていた時間。荷物や石炭が動いていた時間。
いまは駅跡として残っている。
北海道の道を走っていると、こういう「かつてのにぎわい」に出会うことが多い。
そして、それが妙に心に残る。
釧路湿原へ。広さに黙る
11時半前、釧路湿原展望台に到着した。
ここからは、湿原展望遊歩道を歩いた。

釧路湿原は、やっぱり大きい。
木道を歩いていると、足元の感覚も変わる。

土の上を歩くのとも違うし、舗装路を歩くのとも違う。
湿原の中に、人間が少しだけ通らせてもらっている感じがする。
この感覚は、サホロでヒグマを見たときにも少し近い。
北海道では、人間が主役になりすぎない瞬間がある。
自然が先にあって、人間はそこに線を引き、道を作り、展望台を置き、少しだけ眺めさせてもらっている。
そんな気分になる。
途中で、子狸にも出会った。

こういう予定外の出会いがあると、旅は急に記憶に残る。
釧路湿原そのもののスケールもすごい。
でも、あとから思い出すと、子狸の姿までセットで浮かんでくる。
壮大さと小さなかわいさと。
達古武オートキャンプ場で、今日の移動を終える
釧路湿原を歩いたあと、達古武オートキャンプ場へ向かった。
途中のセイコーマートで夕食やキャンプ用の買い出しを済ませる。
セイコーマートに寄ると、北海道に来ている実感が増す。
もう観光名所と言ってもいい。
少なくとも、車中泊旅人にとっては重要拠点である。
13時40分ごろ、達古武オートキャンプ場にチェックイン。

この日の移動はここまでと決めた。
ここからは、車中泊の準備をして、遅めの昼食を兼ねた一人飲み会である。
チキン南蛮、カレー、袋野菜、ビール。
自然の中で食べると、だいたい何でもうまい。

この時間になると、涼しい風が吹いていた。
ここが関西とは違う。
これで機嫌が悪くなる理由はない。
早めに着いて、早めに飲むという贅沢
この日のよかったところは、キャンプ場に早めに着いたことだと思う。
旅をしていると、つい夕方まで走ってしまう。
せっかくだから、もう一か所。
せっかくだから、もう少し先へ。
そうやって予定を詰め込むと、夜に疲れだけが残ることがある。
でも、この日は昼過ぎにキャンプ場に入った。
そこから、ゆっくり設営して、飲んで、食べて、昼寝して、また少し食べる。
車中泊の旅で本当に贅沢なのは、設備よりも時間かもしれない。
何時までにチェックインしなければならない。
何時に夕食会場へ行かなければならない。
そういう縛りが少ない。
自分で決めて、自分で止まる。
それができると、旅は一気に自由になる。

もちろん、自由には段取りも必要である。
網ネット、食材、寝床、トイレの位置、虫対策、気温。
全部がそこそこ整って、ようやく自由になる。
自由というのは、案外、準備の上に成り立っている。
その自由さと、少しの不便さが、ちょうどいい。
達古武湖の近くで、風に吹かれながらビールを飲んんだ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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