北海道の旅#28|帯広から知床へ。天に続く道とオシンコシンの滝、清里で星を見ながらワーケーション
2024年7月4日。
北海道車中泊旅の3日目は、帯広の拠点から知床方面へ向かう一日だった。
前回の話はこちらです。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
関西から北海道へ通い、車中泊で北海道ワーケーションを実践中の記録。
北海道の旅日記2024
帯広から知床へ向かう早朝ドライブ
朝4時に起床。
目覚ましより先に目が覚めた。
旅の日の朝は、体のどこかに小さなエンジンがかかっている。普段なら布団の中で「あと5分」と粘るところだが、旅先ではなぜか起きられる。
まずは洗濯から始める。
前日に干していた衣類を確認し、除湿機の風がよく当たる場所へ移動させる。北海道の旅とはいえ、夏の車中泊では湿気対策が大事だ。軽バン旅は自由で気ままだが、洗濯物だけは気ままに乾いてくれない。
荷物を整理し、ハイゼットカーゴに積み込む。
朝5時10分、帯広を出発した。
早朝の北海道の道は気持ちいい。

空気はひんやりしていて、車内に入ってくる風も軽い。まだ街が完全に起きる前の時間帯。信号も少なく、道もすいている。
帯広を出て、津別方面へ。
8時すぎには津別に到着し、10リットルだけ給油した。
軽自動車で北海道を走っていると、燃費の良さはありがたい。
ただし、ガソリンタンクの容量は大きくない。北海道の道は広く、距離感も本州とは違う。「次の街で入れよう」と思っていると、その次の街が想像以上に遠いことがある。
軽バン旅において、給油は小まめに。これはなかなか大事な教訓である。
道中、大空町や小清水町のあたりを走る。

畑が広がり、ジャガイモの花が咲いている。
北海道らしい景色だ。
同じ北海道でも、札幌や新千歳空港周辺の風景とはまったく違う。道東に入ると、空も道も土地も、すべてのスケールが大きくなる。
車窓に広がる畑を見ているだけで、旅をしている実感が湧いてくる。
道の駅しゃりで、知床の入口に立つ
10時ごろ、「道の駅しゃり」に到着した。
斜里は、知床への玄関口のような場所である。
ここまで来ると、「ああ、知床に近づいてきたな」と感じる。

道の駅には観光情報や地元の特産品が並び、隣には「斜里工房しれとこ屋」もある。海の幸やお土産を眺めているだけでも楽しい。
この日は少し早めのブランチにした。
大盛りの焼きそば。
だし巻き玉子。
そしてノンアルコールビール。
車旅におけるノンアルコールビールは、なかなか優秀である。気分だけは旅の乾杯。運転には影響なし。大人の折衷案としてはかなり完成度が高い。

道の駅には「しれとこ斜里ねぷた」の山車も展示されていた。
北海道で「ねぷた」という言葉に出会うと、少し意外な感じがする。けれど、こういう土地ごとの文化の混ざり方を見るのも、旅のおもしろさだ。
知床博物館で、自然と暮らしの奥行きを知る
次に向かったのは、斜里町立知床博物館。

知床というと、どうしても雄大な自然や世界自然遺産のイメージが強い。
ヒグマ、流氷、オホーツク海、知床連山。
たしかに、その迫力はすごい。
ただ、博物館に入ると、そこには自然だけではなく、人の暮らしの歴史もあった。
動植物の展示、ヒグマやエゾシカの剥製、流氷と生態系の解説。
さらに、アイヌ文化、漁業、農業、開拓の歴史、昔の道具や鉄道に関する展示もある。



知床は「美しい自然がある場所」ではなく、自然と向き合いながら人が暮らしてきた場所なのだと感じる。
こういう博物館に立ち寄ると、旅の景色の見え方が少し変わる。
ただ「きれいだな」と通り過ぎるのではなく、その土地がどうやって今の形になったのかを少しだけ知ることができ、旅に厚みが出る。

そして、ミュージアムショップでは知床トコさんのTシャツ2枚とトートバッグを購入。
旅先の博物館グッズは危険である。
「記念になるし」「実用的やし」「ここでしか買えないし」と、買う理由が次々に湧いてくる。財布の中に小さな営業部隊がいるのかもしれない。
天に続く道へ。名前の勝利みたいな絶景
昼ごろ、「天に続く道」へ向かった。

ここは、斜里町から大きくまっすぐ伸びる道が、まるで空へ向かって続いているように見える有名なスポットである。
名前がいい。
「天に続く道」。
もう、この名前だけで行きたくなる。
「まっすぐ長い道路」では、ここまで人は集まらない。やはりネーミングは大事である。

展望台に着くと、駐車場にはほとんど車がなかった。
静かな時間だった。
展望台そのものは、想像していたよりもこぢんまりしていた。
ただ、そこから見える景色は、やはり北海道らしい。

大阪で暮らしていると、道はたいてい曲がるか詰まるか止まる。
それに比べると、北海道の道はやたらと正直だ。前へ行きたいなら、前へどうぞ。そんな顔をしている。
こういう風景を見ると、車中泊旅の良さを改めて感じる。
好きなタイミングで止まり、好きな景色を見て、また走り出す。
軽バン一台でも、旅の自由度はかなり高い。
オシンコシンの滝で、水しぶきに包まれる
その後、オホーツク海沿いを走り、オシンコシンの滝へ。

知床八景のひとつで、「双美の滝」とも呼ばれている滝である。途中で流れが二つに分かれ、迫力のある姿を見せてくれる。
滝の近くまで階段で上がることができる。
近づくと、水の音が一気に大きくなる。
空気がひんやりして、水しぶきが肌に当たる。
滝というのは不思議だ。
ただ水が落ちているだけ、と言ってしまえばそれまでなのに、目の前で見るとしばらく動けなくなる。
人間の中には、流れる水を見続けたい本能でもあるのだろうか。
その場にいた観光客の方と、写真を撮り合った。
こういう旅先のちょっとした交流もいい。

深い話をするわけではない。
でも、「撮りましょうか」「ありがとうございます」だけで、旅の記憶に小さな温度が残る。
滝を後にしたあと、車内で少し仕事をした。
お客さんのサーバー設定をリモートで変更する必要があったからだ。
知床の滝を見た直後に、車内でサーバーの設定を触る。
これがノマドワークである。
優雅というより、現実と絶景のミルフィーユである。
清里オートキャンプ場で車中泊
15時半ごろ、清里オートキャンプ場にチェックインした。

広々としていて、落ち着いた雰囲気のキャンプ場だった。
サイトにもゆとりがあり、車を停めても窮屈さがない。
ハイゼットカーゴを車中泊仕様に整える。
荷物を動かし、寝るスペースを作り、虫対策もする。

軽バンの車中泊は、慣れてくると一連の動きが儀式のようになる。
あれをこっちへ、これを下へ、寝る場所を確保して、明日の朝に困らないように配置する。
大げさに言えば、移動する小さな部屋を毎回組み立てているようなものだ。

夕食は、豚丼弁当、しらす丼弁当、竹輪、ポテトサラダ、春雨サラダなど。
なかなかに充実している。
自然の中で食べる弁当はうまい。

もちろん、弁当そのものもおいしい。
ただ、風や鳥の声や夕方の空気が、味に上乗せされる。
同じ弁当でも、キャンプ場で食べると少し格上げされるのだ。
食後は、少し休憩した後、パソコンを開いて仕事をした。
北海道のキャンプ場で、軽バンの横に座って仕事をする。
これは、やりたかったワーケーションのひとつの形である。
会社の机で作業しているときと、やっていることは大きく変わらない。
けれど、視界が違う。空気が違う。
その違いだけで、気持ちがずいぶん変わる。
満天の星と、旅に出てよかったと思う夜
気がつくと、21時を過ぎていた。

車の外に出て、夜空を見上げる。
満天の星だった。
キャンプ場の明かりは少なく、足元のわずかな光だけ。
そのぶん、空の星がよく見える。
北海道で見る星は、何度見てもいい。
空が広いからなのか、空気が澄んでいるからなのか、それとも旅の途中だからそう感じるのか。
首や背中、腰を軽く伸ばしながら、しばらく星を見ていた。
長距離運転をして、観光して、仕事もして、車中泊の準備もする。
体はそれなりに疲れている。
でも、不思議と気持ちは軽い。
この日は、道の駅しゃり、知床博物館、天に続く道、オシンコシンの滝、清里オートキャンプ場と、なかなか盛りだくさんだった。
北海道の広さを走り、知床の自然に触れ、キャンプ場で仕事をして、夜は星を見る。
こういう一日があるから、車中泊ワーケーションはやめられない。
少し不便で、少し面倒で、でも自由だ。
荷物を積んだ軽バンがあり、パソコンがあり、行きたい場所がある。
それだけで、旅と仕事は案外つながってしまう。
この夜、清里の空を見上げながら思った。
やっぱり、旅に出てよかった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回の話はこちらです。
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関西から北海道へ通いながら、車中泊で北海道ワーケーションを実践しています。
