北海道の旅#26|痛風の足で北海道へ向かった日。帯広の星空に救われた旅の初日
北海道の旅は、いつも爽やかに始まるとは限らない。
この日は10年ぶりの痛風らしき痛みを抱えたまま、関空から新千歳、そして帯広へ。
深夜の帯広を歩いた先で見上げた星空が、「まあ、これも旅やな」と思わせてくれた。
前回の話はこちらです。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
関西から北海道へ通い、車中泊で北海道ワーケーションを実践中の記録。
北海道の旅日記2024
関空から新千歳、そして帯広へ
2024年7月2日。
北海道旅の初日。
本来なら、旅の始まりはもう少し軽やかなはずだった。
大阪から関空へ向かい、飛行機で新千歳空港へ。
そこから帯広へ入る。
北海道、帯広、車中泊、ノマドワーク、ワーケーション。
そんな言葉を並べると、どこか自由で、身軽で、風を切っているように見える。
しかし、この日の現実は少し違った。
朝、目が覚めた瞬間に足の親指の付け根が痛い。
「あ、これ痛風かもしれん」
旅の始まりにして、身体からの強めの注意喚起。
10年ぶりくらいの痛風発作。
しかも、よりによって北海道へ向かう日。
旅人というより、まずは傷病兵である。
痛風の足で旅に出る
痛風かもしれない。
そう思いながらも、旅の予定は待ってくれない。
いや、本当は待たせることもできる。
大人なので、キャンセルという選択肢もある。
でも、北海道へ行くとなると、なかなか踏みとどまれない。
関空へ向かう気持ちは、足の痛みより少しだけ強かった。
歩くたびに、親指の付け根がじんわり痛む。
階段もつらい。
空港の移動も、いつもより長く感じる。

それでも不思議なもので、関空に着くと少し旅モードに切り替わる。
空港は、日常と旅の境目にある場所だと思う。
まだ大阪にいるのに、心だけ先に北海道へ飛び始める。
飛行機に乗る前から、気持ちはもう十勝方面へ向かっている。
新千歳空港で、健康意識が少し負ける
新千歳空港に着いた。
帯広行きのバスまで、あまり時間はない。
しかし、お腹は空いている。
痛風のときに何を食べるべきか。
なんとなく分かっている。
分かっているのに、目の前にあるのは、うどんと揚げ物。
「軽く、かけうどんだけにしよう」
そう思っていたはずなのに、気がつくとトレーにはゲソ天、コロッケ、かき揚げ。
北海道の空港には、財布と健康意識をゆるませる力がある。
いや、これは空港のせいではない。
完全に自分のせいである。
でも、旅の初日である。
今日は特別。
この言葉は、旅人にとって万能の免罪符だ。
たぶん、使いすぎると効き目が切れる。
深夜の帯広駅で、タクシーに振られる
帯広駅に着いたのは22時50分。
ここから拠点まで移動するだけ。
タクシーに乗れば、あとはもう到着したようなもの。
そう思っていた。
しかし、目の前でタクシーが3台続けて通り過ぎた。
北海道の夜は広い。
帯広の夜も広い。
そして、痛風の足にはやさしくない。
仕方なく歩くことにした。
この日の足元はビーチサンダル。
痛風の親指をかばうには、普通の靴よりましだと思ったからだ。
だが、帯広の夜道を歩くには、完全に装備不足だった。
砂利が挟まり、足裏が痛み、親指をかばい、そして、別の場所が痛くなる。
身体というのは、どこか一箇所をかばうと、別の箇所が抗議してくる。
なかなか組織運営に似ている。
「なんでやねん」
夜道を歩きながら、何度も心の中でつぶやいた。
緑ヶ丘公園で見上げた星空
真っ暗な緑ヶ丘公園に差しかかった。
足は痛いし、身体は重い。
気持ちもだいぶ削られている。
「はぁ...しんど。」
そのとき、ふと顔を上げた。
空いっぱいに星が広がっていた。

大阪ではなかなか見られない、北海道の夜空。
帯広の街なかに近いのに、少し暗い場所へ入るだけで、空の表情が変わる。
星を見た瞬間、足の痛みが消えたわけではない。
水ぶくれも消えないし、疲労も残っている。
でも、不思議と気持ちだけは少し軽くなった。
見上げた星空ひとつで、帳尻が合ってしまう。
「これやから旅はやめられへん」
そんな言葉が、自然に出てきた。
旅は、予定通りにいかないから記憶になる
深夜0時45分。
ようやく拠点に到着した。
冷たいタオルで足を冷やしながら、ベッドに倒れ込む。
旅の初日としては、かなりハードだった。
爽やかな北海道旅とは言いにくい。
北海道で車中泊をしていると、自然の大きさに癒されることがある。
帯広でノマドワークをしていると、日常と旅の境目がだんだん溶けていく。
ワーケーションという言葉は便利だけれど、実際にはもっと泥くさい。
それでも、星空がある。
旅の良さは、きれいな写真だけでは伝わらない。
その写真の手前にある、汗や痛みや失敗まで含めて、ようやく旅になる。
この日の帯広の星空は、そんなことを教えてくれた気がする。
痛風の足で始まった北海道の旅。
初日からなかなかの展開だったが、最後に空を見上げて思った。
まあ、これも旅やな。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回の話はこちらです。
書いている人はこちらです。
関西から北海道へ通いながら、車中泊で北海道ワーケーションを実践しています。
