中国・四国横断の旅#7|下関・唐戸市場でふぐ食べ歩きー錦帯橋から山陰へ下道ドライブ
中国・四国横断の旅 2024年11月1日
雨の夜に西宮を出発し、眠気と給油を重ねながら山口の錦帯橋、唐戸市場、萩を経由して島根の浜田まで走った一日。
唐戸市場ではふぐ唐揚げや海鮮を味わい、夜は浜田の焼鳥屋で長い移動の疲れをほどいた。
名所だけでなく、雨・眠気・下道・渋滞・空腹まで含めて、点ではなく線で旅を覚える一日だった。
前回の話はこちらになります。
このシリーズのまとめ記事はこちらになります。
中国・四国横断の旅
西宮から山口・唐戸市場へ下道移動
2024年11月1日、金曜日。
夜19時50分。雨。
旅の始まりとしては、なかなか地味である。
しかも冷たい雨だった。
でも、こういう出発も嫌いではない。
晴れた朝に「さあ旅に出よう」みたいな感じではなく、仕事や日常の続きから、ぬるっと旅に入っていく。
車を西へ走らせる。
目的地は山口県。そして、その先の島根県。
車内では『マスターキートン』を流していた。
22時5分、姫路西パーキングエリア。
22時31分、107km地点で給油。10リットル。
23時半、長船船山のファミマで小休憩。ここで30分ほど仮眠。
旅というより、だんだん耐久レースである。
1時37分、211km地点で8リットル給油。
2時20分、福山に到着。
まだ夜は終わらない。
こちらの眠気だけが、先に終わりかけている。
早朝の錦帯橋は、曇っていてもちゃんと強かった
11月2日、土曜日。
6時50分、380km地点で9リットル給油。
7時15分、山口県岩国市の錦帯橋に到着した。

錦帯橋は、日本三名橋のひとつに数えられる木造アーチ橋。
1673年に造られ、洪水で流されては再建されてきた橋である。
こう書くと、ちゃんとした観光案内みたいになる。
でも実際のこちらは、夜通し走ってきたあとで、頭はまだ半分寝ている。
空は曇り。
錦川に橋がきれいに映るような、絵はがき的な景色ではなかった。
それでも、橋は強かった。
5連のアーチ。
木の質感。
朝の静けさ。
観光客が少ない時間帯だったこともあって、錦帯橋そのものをゆっくり味わえた。
晴天の派手さはない。
でも、長く残る景色というのは、案外こういう曇天の朝にあるのかもしれない。
下道は楽しい。でも、まあまあしんどい
錦帯橋をあとにして、下道で下関方面へ向かう。
高速道路なら楽なのは分かっている。
でも車中泊をはじめてから、下道をちまちま走るのがけっこう好きになっている。
町の景色が見える。
地元のスーパーが見える。
道の駅に寄れる。
「このへんに住んでる人は、どこで買い物してるんやろう」とか、そういう生活の輪郭が見える。
ただし、下道はしんどい。
信号がある。
渋滞がある。
思ったほど距離が進まない。
9時50分ごろ、宇部市付近では予想外の渋滞にも巻き込まれた。

それでも走る。もちろん走る。
目指すは唐戸市場。
ふぐである。
ふぐが待っている。
唐戸市場は、ふぐの本場というより「海鮮の縁日」だった
12時40分、ようやく唐戸市場に到着。
山口県下関市の唐戸市場。
ふぐの本場として知られる市場で、週末や祝日には「活きいき馬関街」が開かれる。
市場の中に入ると、もう目移りする。

寿司。
海鮮丼。
フグの唐揚げ。
ウニ。
イクラ。
アナゴ。
マグロ。
ふぐを食べに来たはずなのに、ふぐ以外も強すぎる。
これは市場というより、海鮮の縁日である。
しかも、かなり本気の縁日。

結局、買ったのはこのあたり。
フグの唐揚げ。
イクラとウニの軍艦巻き。
マグロの中トロ握り。
アナゴの握り寿司。
もう、名前だけで強い。
前の公園のベンチで、関門海峡を見ながら食べる。

フグの唐揚げは、外がカリッとしていて中はふっくら。
これは完全にビールがほしくなる味だった。
でも車で来ている。
自由そうに見えて、こういうところで急に不自由になる。
イクラとウニの軍艦は、分かりやすく贅沢。
中トロは脂がのっている。
アナゴもいい。
旅先で食べる海鮮は、ただの昼ごはんではない。
「ああ、ここまで来たな」という確認作業みたいなものだ。
夜から走って、雨の中を抜けて、錦帯橋を見て、下道で渋滞に巻き込まれて、ようやくここで寿司を食べる。
うまいに決まっている。
唐戸市場で思ったこと
唐戸市場は、きれいに予定を組んで行くより、少し余白を持って行くほうが楽しいと思った。
週末や祝日の昼は混む。
屋台のようにいろいろ並ぶので、ひとつの店で一気に買うより、少しずつ買って食べ比べるほうが楽しい。
現金もあったほうが安心。
公園のベンチの席は早めに確保したほうがいい。
ただ、こういう実用情報よりも、一番大事なのは空腹で行くことかもしれない。
唐戸市場は、胃袋に余白がないと悔いが残る場所である。
萩の道の駅で、日本海を見る
唐戸市場を出て、北上。
16時25分、道の駅「萩さんさん三見」に到着した。
晴れていれば、もっと海が明るく見えたのだと思う。
この日は曇り空。
それでも、日本海の広がりはやっぱりいい。
道の駅には、萩の夏みかんを使った商品や、地元の野菜、海産物の加工品が並んでいた。
こういう道の駅に寄ると、観光地とは違う土地の顔が見える。
名所ではなく、生活の入口みたいな感じがする。
少し休んで、また車に戻る。
まだ終わらない。
この日の目的地は浜田である。
さすがに疲れてきたころ、浜田に着いた
18時12分、742km地点で15リットル給油。
このあたりで、さすがに疲れてきた。
下道を走るのは楽しい。
でも、体力はちゃんと削られる。
景色を見ながら、道の駅に寄りながら、町を抜けながら進む。
それは旅としては豊かだけれど、運転する側としてはなかなかの労働でもある。
19時15分、浜田ニューキャッスルホテルにチェックイン。

出発から、ほぼ24時間。
さすがに体が重い。
荷物を置いて、ひと息つく。
でも、まだ寝るわけにはいかない。
晩ごはんがある。
浜田の焼鳥で、長い一日を閉じる
19時50分、焼鳥屋「串焼串ひろ」へ。
旅先で地元の焼鳥屋に入るのは、けっこう好きだ。
観光地の名物料理もいいけれど、普通に地元の人が来ている店には、その町の夜の温度がある。
鶏もも、ねぎま、つくね、砂肝、レバー。
炭火で焼かれた焼鳥を食べる。
ビールも飲みたい。
今日はもう車に乗らないので、ようやく自由である。
唐戸市場の海鮮もよかった。
でも、一日の終わりに食べる焼鳥は、また別のうまさがある。
派手ではない。
でも、体に戻ってくる。
21時、ホテルに戻る。
シャワーを浴びて、そのまま寝た。
さすがに、よく寝た。
点ではなく、線で旅を覚える
この一日を振り返ると、錦帯橋、唐戸市場、萩、浜田と、場所だけを並べれば観光コースのように見える。
でも実際には、そんなにきれいなものではない。
雨の夜に出発して、
眠気と戦って、
何度も給油して、
曇り空の錦帯橋を歩いて、
下道の渋滞に巻き込まれて、
ようやく唐戸市場でふぐを食べて、
日本海を見て、
浜田で焼鳥を食べて寝た。
名所だけを切り取ると、旅はきれいになる。
でも、自分の中に残るのは、そのあいだのしんどさや、空腹や、眠気や、ちょっとした寄り道だったりする。
旅は、名所を回収することではない。
点と点のあいだを走ることで、土地が少しずつ体に入ってくる。
たぶん、そういうものだと思う。
明日は石見銀山へ向かう。
世界遺産の坑道を歩く旅である。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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