スクール体験記 ドメーヌ東京②初夏編【東京都あきる野市】
今年2月から通いはじめた「ドメーヌ東京(運営:ヴィンヤード多摩)」のワインスクール。
参加者は、シャルドネの樹をそれぞれ2本ずつ担当してお世話をします。
▼初訪問から4月までの体験記
5月〜7月で、ブドウの樹は新しい梢が伸びて、花が咲き、実をつけました。
梅雨時期も休まずに参加しています。
ブドウの樹が一気に成長する様子をご紹介します。
5月 スクール4回目 芽かき
4月のスクールでは、シャルドネの新芽はまだ出ていなかった。
気になって、5月のスクールが始まる前に気に訪問してみると新芽が出ていた!

(4月下旬)
枯れ木状態だったブドウの樹は、この3週間で柔らかい新緑の芽を沢山つけていた。
少し芽かきをさせてもらって持ち帰り、その新芽を食べてみたことは、4月のおうちビストロの記事でご紹介した。
5月上旬のスクールの日もいい天気。
ワイナリーに到着して早速ブドウを見に行くと、新梢は更に伸びていた。

40cm以上伸びた新梢も
参加者が集まると説明開始。
この日は、それぞれが担当する樹の芽かき、誘引、巻つる取りをするそうだ。
まず、1本の樹のうち、左右7本ずつの新梢を残して、あとは取り除く。
どの枝を残すかレクチャーしてもらい、幹から出た小さな新芽や、双子の枝の小さい方などを取っていく。
新芽や枝の先の柔らかいところは、ビニール袋に入れておく。
後で天ぷらにしましょうとのこと。
一見ちゃんとした枝でも花穂がない場合は、実がつかないので剪定する。
徒長枝*ぎみの枝は、他の枝の栄養を奪ってしまうので、バランスを見て剪定したり、葉を10枚残して先を摘んでこれ以上伸びすぎないようにする。
また、巻つるは固くなるので、やわらかいうちに切ってしまう。
そのかわり風で折れてしまわないように、ワイヤーの間に枝を誘引してテープナー*で留めて倒れないようにする。

先ほどの作業前より、すっきり風通しがよさそうになった。
担当しているもう1本の樹も同じように、芽かき、誘引、巻つる取りをする。


まわりでは、他の品種の樹も芽吹いている。
品種によって成長が早いものと遅いものがある。
畑をまわって品種による違いをみてみましょうと、全員で移動する。
収穫の時期が遅いカベルネフランやメルローの新梢は短め。
一方で、ヤマソーヴィニヨンは、もう花が咲いていた。

また、樹勢がいいということで棚仕立てになっているシラーも枝が伸びている。

見学し終わると、天ぷらの用意が始まる。
揚げ油と天ぷらの衣を準備してもらって、自分で摘んだ新芽を順番に揚げていく。

パンとチーズ
塩をパラリとかけていただくと、山菜のようなほろ苦さがあって美味しい。
白ワインとともに、ワイナリーらしいランチをいただいた。
*徒長枝とは、勢いがありすぎて他の枝よりまっすぐ長く伸び、花や実が付きにくい枝
*テープナーは、枝をワイヤーに留めるため、テープを回して片手でホッチキスどめする器具
6月 スクール5回目 摘芯
今朝は曇天、天気予報は午後から雨。
ワイナリーに到着すると、スクール開始時間より前から早速作業を開始。
雨が降る前にやるべきことが沢山あるようだ。
担当しているシャルドネの樹のところに行ってみると、新梢が前回の2倍くらいに伸びている。
列と列の間が、先月と同じと思えないくらい狭く感じる。
葉は大きく緑色が濃くなり、芽かきをした時の可愛さとは一変。

樹をよく見ると結実した小さな房がいくつも見える。

他の参加者が来る前に、今日やるべきことを教えてもらう。
まず、長すぎる新梢は上のワイヤーから15cm程=約2mの高さで剪定。
つるが隣の新梢に巻き付いているのを切ってバラし、それぞれ垂直になるように整えてから、ワイヤーに枝をテープナーで留める。
更に、新梢から伸びる小さな枝を剪定する。
新梢は10節ごとに2枚ずつ、計20枚の葉があるのが理想とのこと。
よって、葉を2枚だけ残してその先は剪定。
そうすると風通しがよくなり、ブドウが病気にかかりにくくなるそう。
また、頂点にエネルギーが行がちなのを抑え、実が大きくなるようにする意味もある。
これが「摘芯」という作業。
実のない新梢なども剪定すると、葉に囲まれていた実が顔を出す。
房は少しふるって花カスを落とす。

向こうが透けて見えるようになった
次に、雨よけのビニールをかける。
みんなで協力してビニールを引っ張り、分担してクリップでワイヤーに留める。
ブドウの両側にレインプロテクションをする。

その後、紅茶とお菓子をいただいて終了。
定点観測しているシラーの棚は更に成長が早く、棚がブドウの葉で覆われはじめている。

前回、早く花をつけていたヤマソーヴィニヨンを見てみると、実が大きくなりつつある。

7月 スクール6回目 摘粒
早朝から大雨で、家の中にいても雨音が聞こえる。
これまでスクールの日に本降りの雨はなかったが、梅雨なので仕方がない。
ワイナリーに着いても、どんよりとした雨雲が空を覆っている

この後さらに雨量が増える
まず、ワイナリー施設内で今日の作業について説明を受ける。
この梅雨でブドウに病気が出始めているので、広がらないように病気になっている実を取り除き、摘芯なども行うとのこと。
ブドウの病気は、黒とう病、ベト病、灰カビ病。
他にトリバの幼虫も実を食べてしまうので、注意要とのこと。オレンジ色のフンが目印だそう。
簡単な合羽を着て畑に出ると、かなりの雨量になっている。
シャルドネの列で、ブドウの果房の扱い方の説明を聞いているうちに、雨がにじんで肩が冷たくなりはじめる。


実をさわってみると、固くてしっかりしている。
この実が病気におかされてしまうと残念すぎる。
雨でも、今日できることはやっておきたい。
黒点のある実や灰色っぽく変色した実を取り除く。
取り除いた実はビニール袋に入れて、畑には残さない。
また、風通しがよくなるように除葉する。
実に残っている花カスもなるべく取り除く。
なかには、ブドウの粒がギュッと密になっている房もある。
このようになっていると、実が大きくなるときに割れてしまうとのこと。
そこで、縦一列の実を取り除く「摘粒」を行う。
1粒ずつ小さな実を取り除くと、実と実の間にスキマができる。
そうこうしているうちに、背中がぐっしょり濡れてきた。
これ以上濡れない方がよさそう。
最低限の作業をしたので自主撤収。
ワイナリー施設に戻って合羽を脱いでTシャツを着替えると、全員が引き上げてきた。
今日は雨がひどいので、作業はここまでにしましょうとのこと。
取り除いた房の状態なども共有。
多くの粒に黒い点がある房をGoogleレンズで調べると「黒とう病」と表示される。
この斑点が出ると、実はこれ以上大きくならないらしい。
その後、温かい紅茶をいただきながら、ホワイトボードでこれまで経験したことを復習してもらう。
毎年同じところで剪定する短梢栽培に比べて、いま実施している長梢栽培は手間がかかる。
どの枝を残して剪定するか、知識と経験が必要。
他の参加者から、昨年自分が植えた樹がこんなことになっていてと質問が出ると、こうしたらいいのでは?と意見をもらっていた。
その後、醸造施設も見学させていただいた。
1万本以上醸造できる設備だそうだが、まだフル稼働はしていない。
今年畑を増やしたので、今後は生産量が増えるとのこと。
ヤマソーヴィニヨンの赤と、シャルドネと甲州がブレンドされた白をそれぞれ試飲させてもらった。
ヤマソーヴィニヨンはまだ樽で熟成するとのことでフレッシュな印象。
シャルドネと甲州のブレンドは辛口ワインに仕上がっていて、後日瓶詰めしてスパークリングワインにする予定だそう。
それから今年はこんなワインも作る予定と、楽しそうに話してもらう。
醸造担当で代表者である森谷さんも、栽培担当で専務である中野さんも明るくパワフルで、人生の先輩としても見習いたい方々。


ワイナリー内に展示されていたパネルをアップ
今回は雨で作業はあまりできなかったが振り返りができて、内幕話も聞けて貴重な経験になった。
定点観測しているシラーの棚も実が大きくなり、雨除けの傘がかけられていた。

この日はシラーのワインを購入して帰り、約1週間後にいただいた。

気温が高いのでやや冷やしてから開栓。
ラズベリーやブラックベリーの香り、ややプラムの香り、アルコール度12.5%でミディアムボディ、伸びやかな印象。
先に試したピノノワールに比べて色調は濃く、果実味もしっかりめ。
料理は中華麹入りの焼肉サラダ、冷やしトマト、チーズ、全粒粉パン。

冷やしミディトマトは、塩コショウ少々とオリーブオイルをかけた
焼肉サラダは5月のおうちビストロでも紹介した。
これが東京産シラーの赤ワインにも良く合う。
チーズと全粒紛パンとともに、夏の暑さに負けないようエネルギーチャージ。
7月 課外行動 摘粒の続き
3連休の中日、天気予報は曇時々晴れ。
前回、雨であまり作業ができなかったため、ブドウが気になって様子を見に行くことにした。
スクールのある日より少しゆっくり出発。
夏休み期間に入ったからか、武蔵五日市方面への電車は混み合っている。
大きなスーツケースを引いている人もいて、日本語以外の言語もちらほら聞こえる。
10時半頃にワイナリーに到着。
畑の奥の方に重機で作業されている方がいるが、施設内は無人のよう。
シャルドネの列へ行ってみる。

枝は剪定されており、ワイナリーの方々が手入れをされたようだ。
実を見てみると所々変色している粒はあるが、病気でおかしくなっている房はなく安堵。
病気を食い止める対処をされたようだ。
良いブドウを収穫しようとするワイナリーの本気度を感じる。
気温は30℃程になっているが、リュックからUVカットの長袖パーカーを取り出して着て、帽子を被り直す。剪定鋏、ビニール袋を出して準備。


冬には枯れ枝のようだったのに、ちゃんと実をつけて葉を茂らせていて感慨深い。

改めて樹を見てみると、除葉、摘芯は完了している。
実を1つずつ点検して、シワがあったり、変色したり、割れている粒は取り除いてビニール袋に入れる。
密になっている房は摘粒してスキマをつくる。
まわりの樹の様子を点検すると、やはり変色している粒がある。
スクールで担当している列を歩いてみて、目立つ粒はざっと取り除いた。

多くは日焼けしてへこんだり、梅干しのようになっている
1時間弱で作業を終える。
あまり汗はかかない方だが、じっとり汗をかいた。
時折風が吹いて、涼しく感じる。
ワイナリー施設の外にある水道で手を洗わせてもらっていると、専務や社長が通りかかったので挨拶する。
取り除いた粒の入ったビニール袋を見せて報告。
日陰のベンチでパーカーを脱いで、塩分タブレットを食べ、水を飲んで、小休止してから、他の品種の様子をチェックする。



この実が先日のようなワインになる。




(「シャルドネ」と「カユガホワイト」を国内で交配した白ワイン用品種)

(「甲州三尺×メルロー」の交配種と「マルベック」を国内で交配した赤ワイン用品種)

(「山ブドウ」と「カベルネ・ソーヴィニヨン」を国内で交配した赤ワイン用品種)
ヤマソーヴィニヨンは開花が早く、実も色づき始めている。
列の奥を見ると、数羽のムクドリのような鳥が地面から実を見上げている。
じっと観察していると、飛び立っていった。

こんなに多くの品種が実っている様子をまとめて見るのは初めて。
それぞれ実や葉の様子が違って面白い。
そろそろお昼時になる。熱中症になる前に戻ろう。
普段は冷房の効いた室内で一日中デスクワークしているので、身体がびっくりしているかもしれない。
次回のスクールは8月。
8月は2回スクールがあって、下旬にはブドウの収穫する予定。

(色味を夏っぽく調整)

🌻 🌻 🌻
今回のワインスクール体験記はいかがでしたか。
5000文字を超える長文になってしまいましたが、マニアックな記事にお付き合いいただきありがとうございます!
ブドウの樹とワイナリーの方々のパワーを感じた初夏編でした。
次回の体験記では、いよいよ収穫初体験の様子をお伝えします。
とても楽しみです!
今回もお読みいただきありがとうございます🍷
