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市境を越えて、日進市立図書館へ。|公共施設も選ばれる時代【読事002】

名古屋市民の私が、隣の日進市の図書館を使っている。理由は単純だ。そちらの方が良いからである。


本来なら、自分の住む自治体の公共施設を使うべきなのかもしれない。でも利用者にとって、市境は関係ない。良い空間があれば、人は移動する。商業施設と同じだ。図書館も例外ではない。


名古屋市の図書館は、負けている

名古屋市は各区に図書館を設置している。
ただし、どれも古い。
アクセスも悪い。
新刊は予約がいっぱいで、忘れた頃に連絡が来る。
自習スペースも限られている。

建物の設計にも不満がある。遊び心のある設計事務所が選ばれることが少ない。設計者だけの問題ではない。建物は設計者だけでは決まらない。どんな建物を望むか。発注者の想像力も試されている。名古屋市民である私が、名古屋市の図書館ではなく日進市の図書館へ通っている。それが答えだと思う。

外壁のベースの仕上げは白いタイル

空間が人を集める

なぜ私は日進市立図書館を選ぶのか。建物に入ると分かる。人の気配がある。勉強する高校生。新聞を読む高齢者。絵本を選ぶ親子。それぞれが同じ空間を共有している。空間が人を集めている。

岡田新一設計事務所による設計で、外部に対する開口部は控えめで、中庭と吹き抜けに大きな開口が取られている。館内にいると、各階の気配が感じられる。人の動きが見える。空間全体が呼吸している。カフェ、展示スペース、集会スペースが図書館と一体に構成され、地域住民が日常的に立ち寄れる場所になっている。

光と気配を伝える吹抜け
エントランスからのアイストップになっている中庭
一階カフェの手作りカレー(大盛)


公共建築の質は、そこで過ごす時間の質を決める。


図書館は、学ぶ習慣を育てる場所だ

小学生の頃、本好きな父によく図書館へ連れて行ってもらった。今は私が息子を連れて行っている。今日は息子が塾の宿題。私は博士課程の研究。同じ空間で、それぞれ学ぶ。

私は論文を読む。息子は算数の問題を解く。ときどき顔を上げる。まだ隣にいる。会話はほとんどない。でも、同じ時間を共有している。

図書館は本を借りる場所ではなく、学ぶ習慣を育てる場所なのだと思う。その習慣を育てるには、長く居たいと思える空間が必要だ。父が私に残してくれたものを、私も息子に渡せているだろうか。


公共施設も、選ばれる時代だ

良い空間は、人を移動させる。
商業施設だけではない。
図書館もそうだ。
だから私は、市境を越えてでも通う。

燕の巣。燕にも選ばれている図書館。

あなたが住む街の図書館は、人を引き寄せる力を持っていますか?


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