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旅に目線を合わせながら

引いては寄せる日常の中に

旅の気配を感じるように、日々言葉を繰り返す。
体は地面と空の間に沿って、旅に目線を合わせる
ように。旅するほどに対象は角度を変え、小さな
差異を積み重ねる。そのゆらぎの中で視線を先へ。



瀬戸内海に浮かぶ島々を舞台に



島から島へと航路をたどり



本島から高見島へと海を渡り



芸術祭のモチーフともなる青と白の看板をつたう


 
芸術祭の会場となるのは



船から見渡した橙の屋根の建物で



海とのつながりを感じる場所に建つ



旅は秋へと続く頃。芸術祭の作品を



看板に記された文字を頼りに、樹木を数えて



見上げては、枝につかまる小さな動物の姿



建物に視線を移せば、ガラス面に並ぶシルエットは



見覚えのある動物や植物で



かつて日本に存在しなかったもの



旅の途中に広がっていたセイタカアワダチソウの黄色は


旅と日常の間にあり



その色合いは、ときおりふわりと脳裏に浮かび


場所と時間をつないでいく



ここでのアートは外来種がテーマとなるもので



展示される探査機の模型は、種の起源を宇宙と結ぶ



いつか出会った大きなはやぶさ2の模型は


景色のスケールを変えるもの



足元から宇宙へと、旅での視線を限りなく



遠くへ近くへ、またその先へと


繰り返すほどに、旅と日常は交差する



猫も長い年月をかけて風景になじむものに



ガラス面にゆらめくのはワカメのシルエット



ここでは外来種を用いた食が提供され



人に翻弄される植物や動物に思いをよせる



時代を帯びるほどに均質化する風景と



それゆえに特色を深める風景がある



旅に目線を合わせては、何気ないものと



その中に光る何かを探しつつ



島の地形に体を沿わせるようにして



坂を上っては、視線を持ち上げる。島にちりばめられた



小さな動物の作品は、鬼瓦の上にちょこんと座る



時と場所をつなぐ何気ない風景や



その地の文化を示すものをたどり



青と白の看板に誘われるように



階段を上る。塀瓦の上に並ぶのは干支の飾り瓦



仲良く海を眺める申と戌に


神社の風景に所狭しと並んだ申と


アートにつながる戌のオブジェを振り返り



旅で出会う龍の視線を感じながら


形をたどる旅をする


顔を失った寅の姿に


時の流れを感じながら



瀬戸内海に浮かぶ島々を一望する


日常の中で旅を思う。日々を歩きながら、旅を綴る。
旅を構成する要素は、思い出をつなぐトリガーと
なり、日常に旅の風景を立ち上がらせる。記憶に
連鎖する色や形は旅の景色を立体的に描いていく。


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