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旅の色と日常の色の間で

旅には旅の色がある


海の物語がつむがれる島がまとう色。太陽は水面に
光を浮かべ、緑は光に輝く。しっくいの白の眩しさ
と落ちる影のうつろい。散りばめられた色をつなぎ
合わせれば、旅は日常とゆるやかにつながり合う。



空に広がる雲は白さを増し



イタチハギの緑は輝いて



水面がゆらめき、光が揺れる



島への旅で集めた色を並べては



潮騒と風の音と



緑のグラデーションが風景に浮かぶ


旅先に重なる日常の色合い



どこまでも続く空と広がる海に心も弾み



目に映るものが色味を帯びる



色あるものには形がある



空と海に包まれて、港の気配の中を歩き



島を支える船の姿に、島がたどった道程を思い



繰り返した歴史の上にある今を旅して


日常に戻っては、旅する思いで日々を過ごす



太陽は高度を上げ、街に落ちる影の形



本島の歴史を語る石で表現された勾配屋根


素材と風景は形によって結ばれる



影のリズムに沿うように



時を積み重ねる街並みを引き返す



行きにたどった塀のしっくいは光に輝き


風景は刻々と表情を変えていく



光に表情を帯びるしっくいの白と



沈んだ格子に浮かぶローゼルの赤


時とともに移ろう淡い影に



形の連なりに、旅の調子は抑揚を持つ



笠島の街を後にして、もと来た道をたどれば



太陽の光は風景を輝かせ、目に映るものも



時とともにうつろいゆく


旅先の色彩に目を凝らすほどに



旅の彩りは広がっては増していく



瀬戸内海の島をたどる旅には旅の色がある



打ち出の小槌の鬼瓦。いぶし銀が持つ深みに


旅した日本建築の時の流れを重ねる



広がる空に連なる山の緑と黄色の野草



道端に落ちる影は、ものの形を知る気づきともなる



道程を彩るのノゲイトウの鮮やかな赤



旅先の形をたどり、色を感じ


拾い集め並べるほどに、日々も反転するように



板塀が連なり、格子が縦横に配置されるのは


旅の途中に訪れた塩飽勤番所の長屋門



内部に連なる瓦やしっくい。広がる樹木の影は


景色を際立たせるソテツの緑



島を訪れたのは10月下旬で



黄色に染まる向日葵畑も、終わりへと向かう頃



歩くほどに、散りばめられた色と出会い



色のかけらをたどりながら


いつかの風景に重ねるようにして



アートに彩られた島を進む


際立つ色、周囲に馴染む色、自然の持つ力強さや
鮮やかさ。時を経たものが帯びる穏やかさ。旅する
ほどに重なる色と色。光の加減、柔らかく落ちる影。
色は旅の高揚感に輝き増し、現実味を帯びた日々を
彩る。色の温度は違えども、旅と日常は色によって
つながり合う。旅をしては日常を振り返り、日常の
中に旅への思いを強くする。繰り返す旅に散りばめ
られた色を並べてみれば、日常の色も輝くように。


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