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積み重なる記憶を旅する

潮湧くとの由来もある塩飽諸島に位置する本島に


流れる歴史を感じながら、積み重ねられる記憶を
旅するように、海へと続く道を進む。緑に切り取ら
れた空。すっと伸びる白いガードレール。足元の
可憐な色は風にそよいで、風景をふわりとつなぐ。



島に重なる時間を歩く。見上げるほどに空は広く



風にそよぐ影と彩り



花弁の華やかな色のかけらは


旅の記憶をやわらかく接続する



鮮やかに連なるローゼルの



摘み取られた色が床の間を彩る


ひとつひとつの色や形をつないでは



立ち止まっては、振り返る。その繰り返し



ガードレールの先に見えた層を帯びる建物の



重なる質感にひきよせられる



層状に突き固められる素材、風合い。流れる土の記憶に


旅先の質感が混ざりあっていく



とぐろと呼ばれるその建物に、流れる時間と



渦巻くように空へと伸びる形



その現代的なシルエットは、2013年の芸術祭の作品で



島の記憶を形に繋げる建物でもある



積層する素材は、時とともに色を深め



光はその表情を浮き立たせる



朝の光を浴びる版築プロジェクト



重力に耐えるよう角度がつけられ



大地に根ざすような建物に


たずさわった人々の思いが重ねられる



壁に流れる時間を感じ



その先に広がる瀬戸内海へと視線を移せば



雲のような曲線を持つシルエット



海にかかる幾何学的な形の連なり


本島の側に位置する瀬戸大橋を



直島からも遠く眺めては


旅の風景をつないできた



連続していく景色をゆっくりと


風景に空間を浮立たせる椅子に身を預けては



現代的に読まれた島の歴史と、先に続くアートの景色と



連なる曲線をたどる


風景を手の届くものへと転じる椅子は



島に新たな景色を重ねていく


かつて塩飽諸島で栄えた船大工の技術と文化。その
精神が現代につながれた版築の建物。地層のように
連続する記憶と、島を彩る新たな試み。本島に交差
する歴史と現代の間に、私の記憶も重ねるように。


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