迷路のまちの路地空間で見えないものを感じるように
入り組んだ町の通路を進み
迷路のまちの路地空間は、屋内空間へと続いてく。
次にたどりついたのたは、Mei PAM3という看板を
掲げた白で包まれた建物。柔らかで有機的な形は、
建物の中に取り込まれるように緩やかに連続する。

白の手触りのある外壁は、垂直面からうねるように

内部空間へとつながる。かつては小料理屋だったという

日本家屋が、白く有機的な形で埋めつくされつつ

かつての形が示す記憶が、白い量塊の中にぽつりぽつりと
点在する。均質な白に、形はすっと浮かび上がり

かつての生活の痕跡が、増幅されるかのようにして

空間は入口から中へと進むにつれて

人一人が通れるくらいまでの、空間全体を満たす

白のボリュームの中、通路は迷路のように入り組んで

自分の位置を見失いながらも、見え隠れする当時の

建具や、壁の一部などを手がかりにして空間を

感知して進む。白くゆるやかで、ざらついた曲面の壁を

這うようにして光は広がり、暗がりと光のたまりが

連なっていく。かつて生活の場であっただろう場所は

内部を埋める白いボリュームによって、切り取られ

再配置され、まったく異なる空間へと転じられながらも

当時の記憶のかけらを所々にしのばせる
壁面の優しげな表情の仏像にもひかれるように

通路の奥には2階への階段。白のボリュームの密度は

うすくなり、当時のありのままの空間が姿を現す

当時と、現在と空間は入り混じりながら、書き換えられた

空間と、かすかに残る痕跡の中を、迷路のように

入り組んだ白い空間に包まれる。記憶のかけらを

手に取るように、懐かしさと斬新さを同時に味わいつつ

窓から差し込む光をたよりに

開口部の向こうに見える景色をたどる

白いトンネル空間の先に浮かぶ光の円に
いつかの旅の丸い形を重ねながら

開口部からの光は、白い内部空間で反射を重ね

記憶のかけらを照らしながら、浮き立たせながら

傾く体で、空間の不均衡さを味わうように、ようやく

出口へたどりつく。白でうめつくされた繭のような空間に

ふと反転する空間の中で、白い糸でうめつくされていた
巡る記憶という作品が思い出され

また白いロープによって緩やかな空間が構築されていた
更新する身体というプログラムによる作品も

迷路のまちに、ひっそりと佇むアートとなった建物と

空間に立ち会った。それは、外部から内部へと

吸い込まれそうになる、新たな形もさることながら

残された建物の、その素材を活かしながら

形が転じられて、内部空間と呼応するような

建物の外部の形にも目を留めて

建物の内外に残された記憶をたどる
日本家屋がアートを帯びる空間に書き換えられた
作品は、目[mé]というアートチームによって
その存在を始めて知ったのは大地の芸術祭のこと
アートの世界が広がった新潟の風景も懐かしむ
変容された空間に残るかすかな記憶。生活の痕跡。
白い繭の中のような空間に、それらは取り込まれ、
所々で顔をのぞかせる。白い背景に、浮かび上がる
建具、柱、窓、仏像の頭部、壁のかけら。色を
持たない空間により、ものが持つ色や形の記憶は
増幅される。その痕跡をたどりつつ迷路のような
空間で、本当に迷子のようになりつつも、なんとか
出口の光のほうへ。アートは空間への感覚を広げ、
日常では体験することのない視点を与えてくれる。
