らせんに沿って記憶を伝って
ちりばめられたいつかの記憶を拾い集めながら
2025年の万博のパビリオンをぐるりと巡る。過去
の風景を再現するものや、周囲の風景を取り込み
うつろうもの。そして、空へ向かってねじれながら
伸びゆくもの。次はらせんの形に沿うようにして。
次は前回も通り掛かった風景で

デザインに溢れた万博の風景の中に

踊るように建つチェコパビリオン

それはゆるやかに上昇するデザインで

周囲へ映り込む姿によって躍動的に

おぼろげに鏡面の金属にうつる虚像と

ガラスをまとう実像が混ざり合う

パビリオンにめぐらされたガラスは自国から運ばれた

ボヘミアンガラス。内部のガラスのアートも同様に
光を反射し、透過し、留めるガラスは旅をつなぐ

展示されたガラスのアートは、チェコのガラス彫刻家の
レネー・ロウビーチェクのオマージュでもあり
パビリオンの黄緑色に揺れるマスコットにも

その奥にはチェコで生まれたミュシャによるブロンズ像

印象的なミュシャの絵画の雰囲気が、ふわりと
九州でめぐりあったやわらかな姿が立ち上がる

ゆるやかに続く通路の壁面の、白地に青く繊細なアート

並ぶ線の隙間から、こちらを覗き込むような

作品はミュシャの未完成の作品から着想されたもの

こちらをうかがう姿のアートといえば
福岡市美術館の描き足される作品を思い起こす

らせんに沿って記憶を伝って

上部へいくほど迫り上がるよう空間を

黄緑色に輝くウランガラスのバラが彩る

前回の万博では、まだチェコスロバキアで、当時の
パビリオンの外観は抑制的で、25年の時を経て

パビリオンは生命と喜びを表すかのような姿となった

らせん状に空へと伸びる形には
社会の、個人の成長への思いが込められて
チェコの文化が現代の技術により形となる

らせんに沿って歩いた記憶は印象的で
開放的なパノラマのガラスの先に広がる福島潟

大阪の旅の途中にも、コーヒーを頂きに立ち寄った
らせんの建物と、漂う香りを思い出す

パビリオンの伸びやかな形は
チェコへの憧れを高めるように
広がるいつかの風景に思いをはせる
1970年の万博から、チェコのパビリオンは進化を
遂げた。自国の素材を活用しながら、パビリオン
は新なる表現に至る。そのふわりと伸びやかな
形は、チェコという国への憧れを思い出させて
そして20年前の夏の日の記憶へつながるように。
