柔らかな曲線に包まれるように
形に沿って旅をする
古い街並みにちりばめられた素材をたどり、ふと
引き戸の向こうの空間が目に留まる。郵便箱には
FHの文字が並ぶ。内部は静かな光を帯びている。
古民家がまとう空気感に吸い込まれるようにして。

日本家屋の奥行きの中にデザインの気配を感じる

壁面に飾られた柔らかな曲線を持つ赤い椅子

デザインされたガラス戸の向こうには

見覚えのある椅子が設置されている

緩やかに描かれる曲線は
違いを生み出し様々なデザインとなる

古民家に流れる空気をまとう椅子の数々

中庭に落ちる光は、室内に柔らかく透過し

円でつながる旅を象徴するような影を生み出し

影と光に空間は抑揚する

椅子は、時を重ねた古民家に沿うように

流れる時間を慈しむようにして

空間の隅々に設置されている

納戸の内部に展示される
手仕事が生み出す気配にひかれ

海にゆらめく波を表すような

デザインが刻まれた椅子

時を重ねた空間と、椅子が持つ固有の時間が交差する

中庭に広がる空の下

名作と呼ばれる椅子の数々は

古民家の時の流れに寄り添うようにして

新たな時間を生み出していく

この建物は2025年に開かれたもので

本島と椅子の物語は2019年から今に至る

柔らかな黒の漆喰を隔てる影にひかれ

玄関の土間にもセブンチェア

内部では羽ばたくように椅子が踊る
2025年にも開催された展示に出会い

空間と関係を持つ椅子の力に触れる

フリッツ・ハンセンと本島と

島を移動する途中にも
椅子は海の風景とともにあった
本島で展開される椅子と島の関係は
多様な視点をもたらして
椅子が生み出す風景をたどる
本島とフリッツ・ハンセン。島にちりばめられた
時間。時を超える椅子のデザイン。大切なものを
受け継ぐように並べられた椅子。日常的な存在で
ありながら、その有機的な描かれる曲線は、彫刻の
ようでもある。古民家に名作の椅子の数々は空気
を震わせるように、穏やかな時間に浮き立つように
並んでいた。本島と椅子が紡ぐ時間の中を歩いて。
