見出し画像

視点は静かに鮮やかにつむがれる

パビリオンにあふれる色と音の


先にある風景への視線。見方を変えれば見える景色
も違ってくる。それはこちらの感情や、状態が投影
されるものでもある。その時代に生き、時間を浮き
立たせて、表現した二人の写真家の作品にふれる。



ブラジルの風景を切り取る写真は、鮮やかで



どこか切なくもある。サンバのリズムに心踊り



風景が静かに帯びるサウダージ



二人の写真家の視点が



スクリーンに映し出される。切り取られた対象は



構築的で、動的で、何気ない風景に



リズムを与える。画面を区切る線分は


 
重なっては連なり、面を作り



面は世界を構築する一部となる。すっと伸びる線があれば



複雑に弧を描き、影に動きを与える線や


ほのかに風景に刻まれる影もある



写真家の目に映るブラジルの風景は



静かでも、希望に満ちたもの



写真に刻まれる光。そして影



輝ける一瞬がとらえられ



たゆまぬ日々の連続が刻まれる



並ぶ人の影。日常を見つめる先にある



気配、音の記憶。喧騒は切り取られ



静けさを帯びる写真。写真家によって



すくい取られた日常の視点。ブラジルパビリオンで



上映されていた二人の写真家の視点は、静かで



そして鮮やかに。画面の中の赤と白は


記憶の中に揺れるように



写真家の目に映る海の上にはためく



色とりどりの帆は、光を浴びて輝く



散りばめられた色の波は


過去に出会った鮮やかな空間を思い起こさせる



海にゆれる帆が作る色の波。切り取られるのは



祝祭の記憶。そこで人々がまとう色



踊り、舞うようにして画面いっぱいに広がる



祝祭の色。そこでは動的な風景が切り取られ



リズムと喧騒が浮かぶ写真を手掛けるのは



ジョアン・ファルカス。父、トマス・ファルカスの



記憶の上で、手掛けられる作品は風景を一変させる



原色を身にまとう人々。それを映す写真家の視点



ブラジルに流れる祝祭の気配は



とても陽気で、明るさに満ちあふれていても



でも、どこか切なさを帯びている



色は鮮やかであるほどに、刹那の気配が漂うものでもある


写真が表現するもの。風景は切り取られ、時間は
閉じ込められる。アングルは動きをもたらし、距離
は温度を表す。紡がれる風景。つながる時代。親から
子へ渡されたバトン。風景を見る目は引き継がれ、
時代を切り取る視点は鮮やかになる。静寂、喧騒、
日常、祝祭。表現される対象は変わっても、そこで
切り取り、見出される空気の質はつながっている。

どこか遠くを見て、奥行きがあって、映る温かな
まなざし。親が見た風景を子供がつなぐ。時代は
変わり、思いは受け継がれる。ブラジルという国に
生まれた二人によって、表現される祖国への思い。

2人が切り取る風景は違うけれど、その記憶の根底
はどこかでつながっている。視界がにじむのはなぜ
だろう。2人の間をつなぐ目に見えない糸。心を寄せ
れば、きっと見えないものでも風景の中に表れる。


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