緩やかにつながる境界をまたいで
街を形作る建物に沿い
都市にひかれた境界をまたいではくぐる。持ち上げ
られた空間に、誘われるように足を踏み入れる。
瀬戸内に建つ建物は60余年の時を経て、海を隔て
響き合い、2025年の旅路は、円を描くようにして。

建物は線を描く

垂直に、平行に、また揺らぐように
コンクリートの手触りが時代を越えては

担い、日本の建築の礎となる

空間が動き

空に引き寄せられる

連続する垂直線に歩調を合わせ

素材に触れる
建物は様々な人に支えられ

建築家の思いを今につなぐ

抜ける視線と風に

ふと体は持ち上げられるように

並び立つコンクリートの柱を抜ける

奥に広がる中庭で円を描いた

彫刻の記憶。その場は

開かれた庁舎の、日々の憩いの場となる

柱の隙間にのぞく

描かれた円の気配に

また曲線の元に立つ

環という名の彫刻に
円を描くようにたどった旅の線上を

つないだ円に記憶が揺らぐ

瀬戸内をめぐる旅で

渡り歩いた島々と

島から島をつなぐ橋

林立する建築の記憶の向こうに

いつかの風景を

重ね合わせ
自らの旅路を振り返る

円の向こうの建物は

戦後の加速していく時代の中で

当時の先端を行く建物となる

建物は時を重ね、色あせて

また輝きを取り戻す
人々の思いが重なり

建築家の思いは今に伝わる

風が抜けるピロティを歩く
コンクリートの柱の向こうの旅の途中の県庁舎

二人の建築家の残した建物が、海を隔てて

時代をこえて惹かれあう

その連続に目線を合わせるようにして
時代を形作った建築家が引いた線が形となり、空間
となって今に残る。人々は日常に何気なく、非日常
に意図的に建物に触れる。日本の建築を切り開いた
まなざしが、師から弟子へとつながれる。ゆらめく
木漏れ日の隙間を、その線上に沿って歩いていく。
