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アートは風景と記憶を帯びるように

直島に建てられた新直島美術館

打ち放しコンクリートの空間から展示室へ進めば、
そこにはアートで満たされた空間が広がっている。
見たこともないようなもの。いつかの記憶、質感、
素材。それらは重なり、気配を帯びて、ひかれあう。



展示室の壁面にゆらめく影



羽ばたきながら地上を目指す天使は



翼の下には不条理と希望を抱えている



彫刻と一体となる巨大な壁画を手掛ける


ヘリ・ドノ氏はインドネシアを代表する作家



展示室の対面の壁を覆い尽くす巨大な作品を



構成する朽ちゆくコンクリートに



露出したワイヤーメッシュ、ざらついた表面



壁面には、タイを故郷とする作家の内面が、様々な



壁画となって形となる。神聖さを帯びる青い鳥、二頭の象



所々に小さな仏像が浮かぶようにして



壁面は、絵画のように、彫刻のように、また建築のように



素材が重なり、関係しあう



壁画には、銃を構え狙いを定める西洋の兵隊



赤い波は繰り返された歴史を示すのだろうか



金の仏塔のようなオブジェに祈りの空気を感じつつ



展開される世界に、作家の心の中を感じる。手がける


パナパン・ヨドマニー氏によるタイの記憶



展示室は変わり、透明感のある空間へ。淡い色の布は



格子状に型どられて、建具の形となり



おぼろげな空間を形作る。ぼんやりとした色は重なり



色は密度を変えながら、具体的な形を帯びる



空間を歩き、色に包まれる。開けたくなるようなドアには



触れられないが、引き戸も布に包まれる。色は緑から青へ



そして赤、黄色、形と色は折り重なり



作家の記憶の中にある家の空間が立ち上がる



細かなディテールにも目を留めれば



布でできたレバーハンドルも動くかのようでもある



柔らかな色をまとう家と空間を手掛けるのは


韓国のス・ドホ氏。内部空間を持つ作品の色の


重なりは、いつかの空間の記憶とつながっていく



展示室を出れば輝くコンテナから



光の帯が重なる様子に


いつかの光に包まれた記憶を重ねる。続く展示室に


アジアの作家の作品が並ぶ。次に描かれるのは洛中の



風景で、太鼓橋の上に浮かぶ雲にはユーモラスな風神の姿

 


鮮やかな朱色の方広寺。賑やかな洛中に



大きな笑顔を浮かべて手を振るのは



洛中の鮮やかさに負けじと輝くレインボーフラワーさん



たなびく錦雲にドクロの形。その下のうっきーといえば


日本を代表する作家の村上隆氏が描く洛中洛外図



カラフルなレインボーフラワーに見る光と影には


ゆふいんの美術館でもめぐり会った



続く展示室の壁面には狼群の文字



弾けるような壁画の前には、まさしく狼達の群れ



それらは走り出すように、躍動感を漲らせ



宙へ向かって駆けては、展示室を埋め尽くす



狼達は何かに向かって突き進むようにし



ベルリンの壁がモチーフというガラスの壁に



ぶつかって、そして起き上がってを繰り返す



大きな展示室の空間全体を使って


緊迫感のある作品を描くのは、中国の蔡國強氏

氏が手掛けるアートといえば、十日町のキナーレに


築き上げられた山のような作品を思い起こす



設置される作品は、展示室を飛び出して



カフェの中で打ち放しコンクリートの壁を背に



作品の柔らかな色が浮き立つような


幸せな結婚生活という優しげな作品を展開するのは



インドのN・S・ハルシャ氏



作品がつなぐ風景に、打ち放ちしコンクリートがつむぐ時間に



思いをはせては、そっとひんやりとした壁の



手触りを静かに感じて



アートと空間と建築が交差する直島新美術館を後にして


安藤忠雄が紡ぐ直島の風景をまた進む


アートは鮮やかに色をまとい、褪せては記憶に語り
かける。作家の中に流れている故郷の風景、感覚、
イメージ、ものの形。歴史をなぞるもの、彷彿させる
もの。表現は多様にして想像を超えてくる。アート
に包まれる空間を、体全体で感じて、時間過ごし、
打ち放しコンクリートを背景に風景を重ねていく。

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