キャリア設計を「ブロック」で考えるべき理由|23歳なら残り7、40歳なら残り3の残酷な現実
何十年と続くように見える「あなたのキャリア」。
実は、残り、あとわずかしかないですよ。
こう言われたらどう思いますか?
しかし、これ、残念ながら「残酷な現実」です。
この記事を読んでいるあなた。「会社が異動を決めるから」と、自分のキャリアを会社任せにしていませんか。今日の話は、そんなあなたが、キャリアのメインステージに立つためにお役に立てる内容になっています。
1. キャリアは「ブロック」で考える。残酷な現実がそこにはある。
キャリアは、なぜブロックなのでしょうか?
それは、会社の中で、何かの役割で仕事する場合、3~5年の期間というカタマリで、仕事に取り組むことが多いからです。
ここでは「平均4年」のカタマリ ➔ 「ブロック」としておきましょう。
その「ブロック」の中で、一仕事、二仕事、懸命に取り組むことにより、ビジネス経験を得て、成長していくことになります。成功も、失敗も含めて。
新社会人の場合、23歳スタートで60歳定年とした場合、残り37年として、平均4年のブロックだと、9ブロックくらい。
40歳のミドルキャリアだと、残り20年として、5ブロックくらい。
定年は伸びるかもしれませんが、たかだが1ブロックの違いでしかない。
しかも、体力・気力が溢れて、多少の無理がきくのが50歳までだとすると、猛烈に吸収して、大いなる成長を遂げられる仕事経験のブロック数は少なくなります。
これを吸収度の高い「スポンジブロック」とでも呼びましょう。
そうなると、「スポンジブロック」の数はもっと限られるのです。
新卒だと7ブロック、40歳の人だと、わずか3ブロック・・・
この貴重なスポンジブロックをどう組むか、戦略的にデザインしておく必要があります。
2. 日本企業の「異動通知」の罠
ここで、こう思う人もいるかもしれません。
「でも日本企業だって、いろいろな部署を経験させてくれるじゃないか」
と。 まさにその通りです。
確かに、多くの日本企業は、新卒一括採用して、彼らを色々な部署に配置して、数年単位で、グルグルと回して、色々な仕事を経験させている。営業やって、企画やって、海外行って、はたまた人事……など。一見すると、仕事経験のブロックは、問題なく積み上がっているようにも見えます。
でも、そこには大きな落とし穴があります。
一つ言えることは、それは多くの場合、会社主導であるということです。「辞令通達」という言葉が象徴的にそれを物語っています。
それが意味することは何でしょうか?
それは、「あなた自身のキャリアがどうありたいか」ではなく、
「会社として、この人をどう育てて使うか」という視点で、
その時々の戦略に応じて、手駒として都合の良い配置をしているに過ぎないということです。
そのデザインの主人公は会社であって、「あなた」ではない。
キャリアのブロックを「戦略的にデザインする」のとは明確な違いがあるのです。
この違いを理解しておかないと、あなたは、会社にとって都合の良い配置ができる一人の従業員になってしまうのです。
3. 会社主導のキャリア形成で、あなたは生き残れるか?
会社都合で、キャリアが積み上がっていく。
ここに、もう一つ、落とし穴があります。分かりますか?
それは、ジョブ型の到来です。
日本企業もますます、大手を中心に「ジョブ型(職務内容を明確に定義し、それに合った人を採用・配置する雇用形態)」に移行していっています。
マーケティングならマーケティング、経理なら経理、という形で、「その道で価値を出せる人」が、ポジションを取りにいく時代です。
以前、リスキリングが掛け声で終わる会社の分かれ目という記事でも書きましたが、ジョブ型の広がりのなかで、「何のために学び、何のプロになるのか」を、個人が自分で言語化できるかどうかを、これまで以上に問われてきます。
中小企業はまだまだジョブ型移行は先かもしれませんが、外国人労働者が増えているという実態があります。彼らの母国での労働慣行はジョブ型です。いずれ、ジョブ型は来るでしょう。
ジョブ型の本質が何か、おわかりでしょうか?
法人営業、マーケティング、生産計画、人事、経理 なんでも結構です。
その機能において、プロじゃないといけないということです。
ジョブ型雇用のなかでは、色々なエリアで満遍なく70点が取れる人よりも、特定の分野で150点が取れる人のほうが重宝されます。
どのポジションや部門(ファンクション)になっても、その分野で150点が取れる人と競争になって負けてしまうのです。
ですので、会社主導で、あちこちの部署を、言われるがまま経験して、一応、一通り何でもできるようになっている、という状態。
これは、見方を変えれば、どの職種においても、突き抜けていない、ということになるのです。つまり、中途半端だということです。
日本的な組織で、このようにキャリアを会社に委ねてしまうのは、多大なリスクがあるのです。
ですので、「自分は何のプロになっていくのか? どこで突き抜けていくのか?という視点を常に持っていないと危ない」という意識を持つようにしたらいいと思っています。
ぜひこの問いを持っていましょう。
あなたは何のエリアで100点中、150点を叩き出す圧倒的なプロなのでしょうか。
4. デザインの方向性が分からなければ、配属先で思い切り頑張ってみるのも手
もちろん、「自分はこのエリアで圧倒的なプロを目指すのだ」という思いを持っていても、自分の見方が正しいとも限りません。
自分だけで、完璧に、キャリアの戦略的なデザインができるとも限りません。特に、新卒や若手の方については、そうだと思います。
あるいは、あなた自身に「やりたいこと」自体はあるかもしれません。
しかし、「やりたいこと」と「そこで光って一流のプロになれるか」とは別モノです。
他人の目から見て、適性ありそう、ということで配属されたのであれば、拘りがないのであれば、一度、そこを覗いてみる、そこで頑張ってみる、というのもありです。特に、新卒や若手社員の間は、残されたキャリアブロックも、まだ多いのです。
適性がありそう、と、他人が客観的に言ってくれたなら、食わず嫌いしなくてもいいじゃないですか。
ただし、その場合でも、「会社に置かれた」ではなく、「自分でこのブロックを使い切る」という意識は持っていたほうがいいと思います。
5. ミドルキャリアは、自分のキャリアの運転席に今すぐ座ろう
ミドルキャリアの方についてはどうでしょう。
残りのブロックは、若手ほど多くはありません。だからこそ、ここから先は「なんとなくの異動」ではなく、オーナーシップを持つと良いと思います。
残りの限られたブロックをどう有意義に組み立てるのか
そのブロックの中で、何を経験として得るのか。どんな圧倒的な実績を出すのか。
どんな専門性を積み上げるのか
これらを考えるといいと思います。その上で、最終的には、
自分は何屋さんなのか。
会社の看板を外した場合、その「◯屋さん」で仕事を取っていけるのか。
の答えを見つけるといいと思います。その上で、そして必要ならば、思い切って転職してみる、副業で自分が通用するのか試してみる、というのもありだと思います。
6. 私の体験談
私自身も、人事という道で、覚悟を決めてプロになっていくことを決めたのが、30代後半でした。そして、プロ人事として修行を積むために、外資という道を選びました。日本企業の人事システムは、ガラパゴスだから、です。37歳で初めての転職。しかも外資。大きな決断でした。
そして、40歳になる手前で、会社の看板関係なく、人事というプロでお金が稼げるのか、強烈に問いました。「●社のAkiさん」ではなく、「私」というキャラ、経歴、持ち味、専門性だけで、私のことを何も知らない市場は、この私を必要としてくれるのか。
そして、副業の個人事業主として開業したのが2024年の春。2年前でした。今、全国の中小企業のクライアントを持たせてもらっています。起業家との人脈を少しずつ広げ、いずれも自分で開拓したものでした。大切にお付き合いをさせていただきたいと思っています。
そして、専門性は常に高めないといけません。深さと幅です。本業でよりレベルの高い仕事をすることもそうです。深さという面では、コーチングの資格を取り、また、社会保険労務士の資格も取得しました。
幅を広げるという意味では、ファイナンスの勉強をしつつ、Executive MBAにも入学しました。人事の専門家として、経営者目線をより養いたいからです。マーケットで必要とされる人材になるための研鑽は一生涯続くものだという認識です。
7. まとめ:自分のキャリアの運転席に、会社を座らせるな
今回のポイントを整理すると、
キャリアは「なんとなく」ではなく、平均4年の「ブロック」の積み重ねとして考える
23歳なら残り9ブロック、40歳なら残り5ブロック。猛烈に吸収できる「スポンジブロック」の数になると、さらに限りがある
日本企業の異動は会社主導になりがち。ブロックを戦略的にデザインするのは、会社ではなく「その人主導」であるべき。そうでないと、会社の都合の良い駒になってしまう。
デザインの軸は「自分は何のプロになるのか」。ジョブ型雇用の広がりが、この問いをより切実にしている
配属ガチャに不安を感じる若手は多いが、方向性が定まらないなら、まずは、他人が言うところの「適性あり」を信じてみる。そこで「ブロックを使い切る」意識を持つのも一つの手
ミドルキャリアほど、残りブロックが少ない分、オーナーシップを持って考える必要がある
キャリアのブロックを有意義に使おうが、使うまいが、いずれ組織に所属して社会人をやる期間に終わりは訪れます。自分のキャリアのブロックは、どこかで使い果たします。だからこそ、その一つひとるのブロックに自分の意志を込める。自分のキャリアの車の運転席に座るタイミングは、早ければ早いほど、いいと思うのです。
あわせて読みたい
企業の人事担当者様・経営層の方向けの、キャリア開発・人材育成に関する研修・講演のご依頼も随時受けております。ご興味があればお気軽にお問い合わせください。
