僕が思う「仕事ができる人」とは
こんにちは。chef+(シェフプラス)の米澤文雄です。
この前の記事から、僕の料理人人生で大きな転機となった、ニューヨークの星付きレストランJean George(ジャンジョルジュ)との出会い、そしてスタジエ(タダ働き修行)への挑戦について書いています。
以前の記事↓
無駄なことなんてない
さて、ジャンジョルジュのカジュアルライン、ヌガティーヌの地下キッチンでのスタジエのスタートは、やはり全て雑用から!膨大な量の皮剥きにカット作業、葉物の掃除などなど……!
そんな中、僕がヌガティーヌで一番最初に任された仕事は 「アスパラガスの皮剥き」でした。
2ケース渡されて、まな板に印をつけられて 「この長さに切り揃えて、ここまで皮剥いて!後はよろしくな!」って感じ。
正直「お、これはいい仕事が来たな!」と心の中で思いました。
なぜなら、アスパラの皮剥きは大得意なんです。僕。
恵比寿のイルボッカローネ時代、春になると大量のアスパラを剥いていたのです!茹でたアスパラに目玉焼きを落として、パルミジャーノを削るあの料理の為に!

イルボッカローネ修行時代の記事にも何度か登場している、当時のシェフ甲斐さんは本当に厳しい人で「同じところを二度剥くなよ!丸いアスパラをきれいに、1箇所、1回だけ剥くんだ!そうすると形がいびつにならないぞ!」と耳にタコができるくらい言われました。
でも、これが本当に大切な事で、最終的に料理になったとき、言われた通りにやるとやらないとでは、見た目が全然違うんです!
だけど、これが中々難しい!何回怒られたかなー……笑
甲斐さんに「 お前へたくそだから、もうやらなくていい!」と言われるたびに「いや、やらせてください!」と抵抗する僕。すでに怒られ慣れてたから、もうほぼ条件反射で食い下がってました。笑
甲斐さんが「面倒くせーなー。じゃあやっていいから、きれいに剥いてくれ!」ってやらせてくれるのがどこかでわかってたから、何度も挑戦できてたというのもありますが。
あの頃は、後から絶対役に立つ!なんて頭になくて、ただ目の前の仕事をがむしゃらにやっていただけでしたが、こんなところで役に立つとは!
……そんなことを思い出しながら、ヌガティーヌでの初仕事、アスパラの皮剥き終えて、早速シェフのところへ持っていくと……
「え?もう終わったの?」とキョトン。そして剥き上がったアスパラを見て、目をまん丸にして「なんでこんなきれいに剥けるんだ?!」と大騒ぎ。
すぐに冷蔵庫から別のアスパラを持ってきて「ちょっと、ここでもう一度剥いてみて貰えるかな? 」と言われ、僕は何が何だか分からないまま普通に皮剥きをすると「なんでお前こんなに上手いんだ? ビビるんだけど! 」と、この上ないくらいの賞賛をいただき、シェフがあまりに騒いでるもんだから、キッチンの奥から皆が「なんだなんだ!?」と見学に来る始末。
今だからこそ僕もわかることですが、アスパラの皮むき、玉ねぎのみじん切り、キャベツの千切り、ヤリイカの掃除などなど……誰にも出来る仕事の仕上がりからこそ、その人がどれぐらい仕事が出来るのかが、大体はわかってしまうんです。(大体ですけどね!)
ちなみにここでいう仕上がりというのは、丁寧さだけではなくて、スピード含めての「仕事としての仕上がり」のこと。そこには、その人の仕事に対するマインドが詰まっているのです。
「丁寧」と「効率」を両立させるためのマインド
ここで少し、目線を変えた話を書いてみます。
今、我々の飲食業界は慢性的な人不足と言う事もあり、入ってきた子にすぐに「料理」を教えてしまいがちです。
「仕込み」はバイトだったり、下処理済のものを買ったり、はたまた上の人がやる、なんてことも増えていると聞きます。
人材不足の時代になんとかして入ってきてくれた若手。料理を教えれば戦力になってくれるし、地味な仕事を押し付けてすぐに辞められても困るし、目先のことだけ考えれば店のためかもしれないですが……
僕は、その子の料理人としての将来を考えた時に、ここでしっかりと下ごしらえや仕込みを、地道に、責任を持ってもらうべきだと考えています。
もちろん料理と仕込み、どちらも任されるとなると、負荷はかかってしまう。仕事量が増えるので、どうやって終わらせるのか?も並行して考えなくちゃいけない。時にその子のキャパシティを越えてしまうこともあるでしょう。(その時は上の人が責任を持って適切にサポートしましょう)
でも、だからこそ、少しでも早く・ 少しでもきれいに・ 少しでも効率よく! という事を、常に考えて仕事をする「仕事ができる思考グセ」がつくんです。
この考え方のクセづけが、料理人としてやっていくにあたり(そしてきっと料理人以外の仕事でも)めちゃくちゃ大切だと思っています。ここで僕が学んで欲しいのは「努力を最大限に活かす効率の良さ」です。
生きていると「何をやってもできる人」に出会うことがありますよね。 僕もたくさんのできる人を見てきた中で、その人達に共通している点があると思っていて、それはゴール設定が非常に上手だということ。
例えば、
アスパラの皮剥きってなんのためにやるんだっけ?アスパラのビスマルク風だな!だったら、皮剥きはは指示されたけど、あのグラタン皿に並べることになるから、長さも切り揃えたほうが良さそうだな!今日の予約はどれくらいだろう?なるほど満席か、だったら、ここにある分は全部剥いた方が良さそうだな、全部剥くとしたらバットが1つじゃ足りないから、先にもう一つ用意しておこうか……
のように、ゴールから考えると、その手前の手順の最短ルートが見えてくるんです。
それらを常に整理しながら仕事に臨むことで、自然と余計な仕事が削ぎ落とされていく。 余計な仕事がなくなると、シンプルに、きれいに、そして早く仕上がる。
この積み重ねが、いわゆる「仕事ができる」状態だと考えています。
そして、考えた上での行動だったら、例えそれが結果的に間違えていたり失敗したって、無駄な事などひとつもないんです。 振り返った時にダメだった理由がわかるから。これが何も考えてないと「考えてなかったから」という全然成長しない理由にしかならない。
多分これって、人生においても本当に大切な事だと思ってます。
こんなこと言うと、古くせー事言ってんじゃねーよ!笑 とか、思われそうだけど、もし料理を仕事にしたいんだったら、料理をしながらこういうことを身につけていく方が、一周回って効率的なんじゃないかな?
そして、無意識に、自然にこのマインドを発動させるためには、この考える過程で泣くくらい悔しい経験をしないといけない気がしてます。やっぱり考え抜いた上で、悔しい経験している人って強いので。ちなみに僕は泣きましたよ!笑
自分を振り返ってもだし、仲間を見ていても思うし、お客様の話を聞いたりしていてもそう思います。
それくらいやってこそ、どんな窮地に立たされてもやり抜く仕事人になれるんじゃないかなあ。そんなことを思います。
転がるチャンスを掴むための積み重ね
さて、アスパラ剥きで褒められた僕に「じゃあ次はこれやってみて!」とヌガティーヌのシェフから渡されたのはそら豆。またここで僕は心の中でガッツポーズ。笑
なぜかというと、僕、そら豆の皮むきも死ぬほど早いんです。ボッカローネでたくさん怒られながらやってたので!笑

早速その手際を披露し「お前そら豆も剥くの早いのかよー!?」と、やや見せ物状態になりながらも(笑)あの時ちゃんとやってて良かったなー!と感謝もしつつ、黙々と雑用をこなしているうちに終業時間。今日は何を食べさせてもらえるんだろう?と思っていると、スーシェフのマークがやってきて
「FUMIO!最後に、lineにちょっと入ってみるか?」と驚きの提案をしてくれたんです!
lineというのは、キッチンのホット料理を作る場所の事。
初日からlineに入れてもらえるの!?と僕は大興奮! 「こいつ、もしかして料理も結構出来るんじゃないか?」と思わせる事が出来たみたい。
目の前の仕事にがむしゃらになりつつも、どこを目指しているんだっけ?というゴール意識を常に持ち、常に逆算して考えること。そうすることで、無駄が少しずつ減って、ただ闇雲に消耗することなく、仕事が洗練されていく。
そしてそれを繰り返すことで、失敗もしっかり自分のものにできるし、Jean Georgeでアスパラとそら豆の皮剥きで一目置かれることになった僕のように、ふとした時に現れるチャンスを自分のものにできる機会が増えていくんじゃないかな。 そんなことが伝わったら嬉しいです。
No Codeのご予約について
ご予約は下記サイトから承っています。
Tablecheck
OMAKASE
店名:No Code
営業時間:(2部制※各回一斉スタート) 17:00~ / 19:45~
料金:料理 おまかせコース 13,500円(税込サ別) ドリンク ペアリング 10,000円(税込サ別) ※ファーストドリンク別 ※ドリンクはグラス、ボトル共にアラカルトオーダー可能、ノンアルコールペアリングは御座いません。料理:メキシカン-フレンチ
予約:電話、ネット予約※テーブルチェック推奨
座席:8席(カウンターのみ)
ドレスコード:スマートカジュアル
キャンセル料:~1週間前30% / 前日50% / 当日100%
※2025年6月時点の情報です。最新の内容は予約ページなどをご確認ください。
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(arranged by 菅原きこ)
