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J.P.モルガンも目指す「トークン化預金」の未来 ─ SoFiUSDの未来 Part4🚀

前回は、SoFiUSDを支える強みとして、
・商業銀行免許
・FRB口座
約1,500万人の会員基盤
・GalileoとTechnisys
などについて見てきた。

そのなかでも、「預金」と「ステーブルコイン」を融合しようとする構想は興味深い。今回は、その鍵となる「トークン化預金」と「SoFiUSDの利回り構想」を見ていきたい。

<利回り禁止の時代が始まろうとしている>
ステーブルコイン業界では現在、大きな転換点が訪れようとしている。

2025年に成立したGENIUS Actは、支払用ステーブルコインの法的枠組みを整備した法律である。この法律で、ステーブルコイン発行体が「直接」保有者へ利回りを支払うことが禁止された。背景にあるのは、「同じ機能なら同じ規制」という考え方だ。

商業銀行は、
・自己資本規制
・流動性規制
・FDICによる預金保険制度など、
厳格な規制の下で預金を集めている。

一方、ステーブルコイン発行体は商業銀行ではないため、同様の厳しい規制を受けていない。そのため銀行業界からは、「実質的に預金と同じ機能を提供しているのに、同じルールが適用されていない」という批判が強まっていたのである。

<消えていない利回り>
しかし、実際には現在でもUSDC保有者は「Coinbaseを通じて」利回りを受け取ることが可能だ。これは一見するとGENIUS Actに矛盾しているように見えるものの、法的には整理が異なる。

つまり、
・Circle → 準備金収益の一部をCoinbaseに分配 → Coinbase → 利用者へ還元
という構造になっており、Circleが「直接」利回りを払っているわけではない。

そのため、現時点では法的に利回り提供が可能と考えられている。ただし、この仕組みは「USDCを保有するだけで利回りが得られる」という結果は変わらないため、銀行業界から強い批判を受けている。

そこで現在議論されているのがCLARITY Actである。この法案では、発行体だけではなく、取引所や仲介業者を通じた「保有するだけで利回りが得られる仕組み」も制限する方向で議論が進んでいる。

<SoFiの構想は少し違う>
ここで興味深いのがSoFiである。アンソニー・ノトCEOは、SoFiUSDについて特徴的な構想を語っている。

・「アプリ内ではトークン化された預金」として扱い、利息や保険の対象とし、
・外部へ送金する際は「決済用ステーブルコインとして利用する」
※トークン化預金:銀行預金をブロックチェーン上で動かせるようにしたもの

つまり、「アプリ内では預金」「アプリ外ではステーブルコイン」という二重構造である。

<なぜSoFiだけがそれを目指せるのか>
ここで整理したい。GENIUS Actが規制しているのは「支払用ステーブルコイン」である。一方、「銀行預金」は連邦預金保険法や銀行法が規制している。

これらは全く別の法律の下にある。

SoFi Money口座の残高に利息を付与する。これは完全に合法である。商業銀行が預金へ利息を支払うことは当然認められているからだ。

つまり、もしSoFiがアプリ内のSoFiUSDを法的に預金として位置付けられるなら、それは「ステーブルコインへの利回り」ではなく、「預金への利息」になる可能性がある。

ただし、その具体的な法的・会計的な取り扱いは開示されておらず、詳細な設計は今後明らかになるだろう。

しかし、少なくともSoFiは商業銀行として預金を扱う資格を持っている。

もっとも、トークン化預金そのものは新しい概念ではない。実際、J.P.モルガンのJPM Coinなど、銀行業界でも同様の取り組みが進んでいる。ただし、これらは主に銀行間決済や法人向けに利用されるクローズド型の仕組みである。

一方、SoFiが目指しているのは、個人向け決済や暗号資産取引まで含めた、より広いパブリック型の用途展開である。そのため、非商業銀行系ステーブルコイン発行体やクローズド型のコインにはない選択肢を持っていることは間違いない。

また、SoFiは商業銀行としてOCC(米国通貨監督庁)の監督下にあり、この仕組みを既に公表している以上、当局と一定の整合を取っている可能性が高い。

(原文)
Building the ability for SoFi members to convert SoFiUSD into tokenized deposits, allowing members to earn interest and access FDIC insurance on the deposits. Separate deposit account terms will apply.
(日本語訳)
SoFi会員がSoFiUSDをトークン化された預金に変換できる機能を構築し、会員は預金に対して利息を得たり、FDICの預金保険を利用できるようになります。預金口座には別途利用規約が適用されます。

SoFiプレスリリースより抜粋

<この構想の本当の凄さ>
金融商品として見たとき、預金とステーブルコインは長年トレードオフの関係にあった。

・預金は安全で利息や預金保険が付く。しかし送金が遅い・高い。
・ステーブルコインは送金が速い・安い。しかし利息や預金保険がない。
どちらかを選ぶしかなかったのである。

ところがSoFiが目指しているのは、その二択そのものをなくすことだ。

アプリ内では預金として保有する。利息も受け取る。預金保険で保護もされる。そして必要になれば、そのまま決済や送金へ利用する。

もし実現すれば、「預金の安全性」と「ブロックチェーンの利便性」を一つの仕組みの中で両立させる新しいステーブルコインとなる。

そして、これは商業銀行免許を持つSoFiだからこそ目指せる「離れ業」とも呼べる構想であり、実現すれば大きな差別化要因になり得る。

さらに、この仕組みは利用者の行動を変える可能性がある。

現在、暗号資産や決済に利用する資金は、銀行預金と取引口座・ウォレットの間を行き来することが一般的である。しかし、もしアプリ内のSoFiUSDが預金に準じた扱いとなるのであれば話は変わる。預金・決済・暗号資産投資の境界線がなくなり、一つのアプリ内で、利用者にとって最適な形で完結することになり、USDCなどの競合に対してSoFiの魅力が増す要因になり得る。

もしこの構想が実現すれば、SoFiUSDは単なる決済手段を超えて、SoFiの金融エコシステム全体を支える基盤通貨として機能していく。

では、そのような特徴を持つSoFiUSDは、現在の王者であるUSDTやUSDCに対して、どのような優位性を持つのだろうか。

次章では、USDT・USDCとの比較を通じて、SoFiUSDの競争力について詳しく見ていきたい🚀

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