SoFiUSDは年内に1億ドル事業へ?――ノトCEOが語った“想定外の収益化スピード”
「SoFiUSDの収益が“年内”に1億ドルに到達する可能性」をCEOアンソニー・ノトが示した。
YouTube動画ということで、リップサービスもあったのかもしれない。しかし、それを加味しても、想定をはるかに上回る早い展開である。
先日登壇したJ.P.モルガン主催のイベント(第54回 Annual Global Technology, Media and Communications Conference)や、YouTubeでの配信動画(CEO of SoFi, Anthony Noto | Basis Points)から、アンソニー・ノトのコメントを拾っていく。
<ノトCEOが語ったSoFiUSDの収益ポテンシャル>
◆J.P.モルガン主催のイベント
・4つの大きな事業は、LPBが急速に立ち上がったように、かなり早い段階で容易に1億ドル規模の売上事業になり得ます。
※4つ事業:SoFi Plus、SoFiUSD、Big Business Banking、そして暗号資産取引および暗号資産レンディング(暗号資産を担保にお金を借りられるサービス)
・SoFiUSDについては、時間の経過とともに数十億ドル規模の取扱高になり、そこから1〜2%の純金利収入を得ることを期待しています。
◆YouTube配信動画
・SoFiUSDは、「年末までに」文字通り1億ドル規模の事業になり得ます。
・仮に50億ドルに到達し、3.8%の利息を得られるとします。そのうち1.8%程度を還元し、残り2%がSoFiに残るとします。これは、ほぼ一晩で1億ドル規模の事業になるということです。
※「ほぼ一晩で1億ドル規模の事業になる」とは、文字通りの意味ではない。一定の発行残高が積み上がれば、FRB口座に置かれた裏付け資産からすぐに金利収入を得られる収益化の速さを示した表現と解釈している。実際、ステーブルコインにはこのような収益モデルがある。
<SoFiUSDはどこで使われるのか>
また、ノトは、SoFiUSDを「企業向け・個人向けの双方で使われる新しい決済インフラ」として位置づけ、利用用途として、主に以下4点を述べている。
1.暗号資産取引所・マーケットメーカーとの間で資金をやり取りする際、「SoFiUSD」を使う構想が示されている。つまり、SoFiの会員が暗号資産を売買する裏側で、取引相手との決済にSoFiUSDが使われる。
2. Mastercardとの提携では、現在の平日中心の決済に、SoFiUSDを組み込むことで、24時間365日の決済を実現しようとしている。これは、Mastercardとその加盟店・小売パートナー向けの「B2Bソリューション」となる。
3. Galileoの既存ネットワークで処理されている年間80億件のACH・デビット取引も、SoFiUSDへ移行させたいと語っている。
4.個人向けでは、SoFiアプリ内で近日中にSoFiUSDが購入できるようになり、またアプリ上ではトークン化された「預金」のように扱う構想も示されている。この場合、預金に準じた扱いとなるため、利息やFDIC保険の対象になる。一方、外部への支払いに使う際には、利息やFDIC保険の対象から外れ、決済用ステーブルコインとして送金される。
つまりSoFiUSDは「アプリの中では預金、外に出たら高速決済ツール」という二つの顔を持つステーブルコインとなる。
【補足】
・トークン化預金:銀行預金をブロックチェーン上で動かせるようにしたもの。
・ステーブルコインの発行体が保有者に利息を払うことは禁止され、さらに取引所などの仲介業者が「保有するだけで利息を支払う」ことも禁止する方向で議論が進んでいる。しかし、SoFiは銀行のため、「連邦預金保険法」に基づき、アプリ上での保有を「預金」として設計できる可能性がある。これは銀行免許を持たない発行体には、絶対に真似できない優位性となる。
・「アプリ上でのSoFiUSDを預金として扱う」という設計が、規制当局に正式に承認されたという情報は確認できない。ただし、SoFiは銀行としてOCCの監督下にあり、この仕組みを公表している以上、当局と一定の整合を取っている可能性が高い。
<SoFiUSDが他のステーブルコインと違う理由>
さらにノトは、SoFiUSDの強みとして、一般的なステーブルコインが抱え得る3つのリスクを抑えられる点を挙げている。
1.信用リスクがない:SoFiUSDの裏付け資産は、100%現金として管理されるため。
2.流動性リスクがない:SoFiは商業銀行であり、FRBのマスター口座にアクセスする権利を保有する。そのため、必要な資金を即時決済することが可能である。
3.デュレーションリスクがない。裏付け資産を国債などで運用するのではなく、100%現金として保有するため、金利変動による価格下落リスクを抱えない。
つまりSoFiUSDの特徴は、SoFiの銀行免許を活用し、裏付け資産をFRB口座で管理できることにより、上記3つのリスクがない形で運営できる点にある。これは現時点で「唯一無二のステーブルコイン」である。
またSoFiUSDは、SoFiが「確固たる会員基盤」「Galileoなどを通じたカード発行・処理基盤」「SoFi Cryptoなどの商品群」を持ち、これらサービスに組み込む形で、自ら流通量を生み出せるのも大きな強みである。
<株価に織り込まれるタイミングは早まるのか>
以前「SoFiUSDは株価にいつ織り込まれるのか?3つのシナリオ」というブログを書いた。
ここでは、このSoFiUSDが株価に織り込まれていく過程を、
「1.材料相場、2.アナリストモデル 3.評価軸の書き換え」
という3つのシナリオに分けて整理をしている。
仮に年内に発行残高が50億ドルに到達し、1億ドルもの収益が見込めるようになれば、想定より1年も早く、「2」の段階に到達することになり得る。
ノト曰く、「これらの4つ事業(SoFi Plus、SoFiUSD、Big Business Banking、そして暗号資産取引および暗号資産レンディング)のいくつかが2026年後半に結果を出して世界を驚かせるかもしれない」とのことである。
また、SoFiが特筆すべきなのは、実質的に2026年から始動した4つの新事業への投資を継続しながら、現在の驚異的な売上・利益成長を実現している点である。
将来にますます期待が持てるようになった講演と動画であった。
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