SoFiのワンストップサービスが生む「Winner Takes “Most”」-中編-
前編では、「Winner Takes All」(ある市場において、一部または1社が、シェアや利益をほぼ独占する構造)がどのように起きるのかを、主に以下の観点から論じた。
・ネットワーク効果:あるつながりが別のつながりを生み、それぞれが正のスパイラルで有機的に成長していくこと
・スケールメリット:ユーザーが増えてもコストはあまり増えることなく、サービス提供が可能なこと
・データの独占とサービス改善:膨大なデータ蓄積によるサービス改善で、ユーザー満足度が向上し、新たなユーザーが集まってくることで、さらに膨大なデータが蓄積されていく構造
・ロックイン効果:上記の組み合わせにより、1位企業にますますシェアや利益が集中し、ユーザーが、ほかのサービスに乗り換える選択肢を持ち得なくなること
また、Winner Takes Allを実現しているサービスに共通するのは、インターネットを活用した「プラットフォーム事業」であるということを論じた。
中編では、SoFiのサービスにおける「ネットワーク効果」「スケールメリット」「データの独占とサービス改善」について見ていく。
<SoFiのワンストップサービスにおけるWinner Takes “Most”>
・SoFiのネットワーク効果
SoFiのワンストップサービスにおいては、Facebookのようなユーザー同士がつながること自体が価値となる「直接的なネットワーク効果(direct network effects)」は存在しない。たとえば、ほかのユーザーがSoFiに銀行口座を開設したからと言って、自分自身に何の価値も生まれない。
しかし、各サービスが連携して価値を高め合う「間接的なネットワーク効果(indirect network effects)」は強く存在する。以下が主な具体例である。
1.ユーザーの増加が各サービスの品質を高め、各サービスの品質向上が、さらなるユーザーを呼び込む。それと同時に、各サービスの品質向上が、同じユーザーに対するクロスセル比率を高め、それがさらに各サービスの品質向上につながり、複数の経路で好循環が生まれる。
2.SoFiのローン事業が拡大すると、利益拡大により、それが預金者に対する高い金利の支払いにつながり、高金利で預金者が増えれば、さらにローン事業が拡大する。加えて、最近ローン事業からの派生ともいえる「Loan Platform Business(LPB)」が急伸している。
これはSoFiではなくとも、ほかの銀行のローン事業でも同じと思うかもしれないが、【SoFiを最強フィンテックに変えた理由「銀行免許」】で見たように、大手銀行など、好循環が働いていない企業も多い。
3.SoFiが自社で展開する金融サービス事業が拡大していけばいくほど、外部に提供するBaaS(Banking-as-a-Service)のサービス品質も向上し、外部パートナーの増加が期待できる。また外部パートナーが増えると、SoFiにも好影響を与え、金融サービス事業のさらなるサービス品質の向上につながる。
・SoFiのスケールメリット
一度作ったアプリは、ユーザーが増えてもそれほどコストが増えることなく、1ユーザーあたりの単価が下がっていくというのは、SoFiのサービスも同様である。
加えて、SoFiの場合、BaaSを通じて、外部パートナーにサービス提供を行うことで、サービス品質やコスト競争力がさらに向上し、スケールメリットが加速していく。さらにそれがSoFi本体のサービス品質やコスト競争力にも好影響を与えていく、という正のスパイラルは、他企業にはない大きな特徴である。
・SoFiのデータの独占とサービス改善
SoFiには、多くのユーザーの信用情報、各サービスにおける取引履歴が蓄積される。この膨大なデータに対して、AIやアルゴリズムに活用することで、より精度の高い与信審査・リスク管理が可能となり、またユーザーにより良いプランや商品を自動提案し、ユーザー満足度の向上が図れる。そして、これがまた新たなユーザー獲得につながり、さらに膨大なデータが蓄積されていく。
後編へ続く。後編では、SoFiの「ブランドとロックイン効果」、またCEO Anthony Notoが度々発言する「Winner Takes “Most”」が実現するのかを見ていく。
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