SoFiのワンストップサービスが生む「Winner Takes “Most”」-後編-
前編では、「Winner Takes All」がどのようなことを意味するのか、それがどのような構造で起きるのかを述べた。またWinner Takes Allを実現しているサービスに共通するのは、インターネットを活用した「プラットフォーム事業」であるということを論じた。
中編では、SoFiのサービスにおける「ネットワーク効果」「スケールメリット」「データの独占とサービス改善」について解説をした。
後編では、SoFiの「ブランドとロックイン効果」、またCEO Anthony Notoが度々発言する「Winner Takes “Most“」が実現するのかを見ていく。
・SoFiブランドとロックイン効果
「Winner Takes All」が起きる構造では、1位企業にますますシェアや利益が集中し、利便性が増す結果、それ自体にブランドや信頼が生まれ、ユーザーとしては、ほかのサービスに乗り換える動機を持ち得なくなること、すなわち「ロックイン効果」があると言われている。
加えて、SoFiは上場企業であり、NBA・TGL(ゴルフリーグ)などの各種スポーツにおけるスポンサー契約を締結し、またNFL 2チームのホームスタジアムであり、2028年ロサンゼルス五輪では開会式会場となる「SoFi Stadium」の命名権も保有するなど、ブランド力向上にも余念がない。
最近では、米国では有名で信頼性の高い企業評価調査「Axios Harris Poll 100」で41位となった(昨年まではランク外)。この調査は、知名度に加え、「好感度」「信頼性」「倫理観」「成長性」「ビジョン」などの要素を含むランキングとなっている。米国内でSoFiの総合的な評価が急上昇している証で、非常に高い評価に値する。
なお、SoFi以外の銀行では、JPモルガンが21位、Capital Oneが38位、Bank of America 79位、Wells Fargoが96位、Citibankはランク外と、銀行の中では堂々の3位だ。
こういったブランド形成に加え、SoFiのアプリであらゆるサービスが完結するようになると、ほかのサービスに乗り換える明確な動機が乏しくなっていくだろう。
<SoFiのWinner Takes “Most”の実現性>
SoFiが米国金融業界のすべてにおいて、Winner Takes “All”を実現することは不可能だ。事実、Robinhoodは「投資」、Affirmは「消費者金融(BNPL)」、Chimeは「預金」、PayPalは「決済」というように、特定領域に特化したビジネスモデルをもっている企業は多く存在する。
しかし、今のところ、SoFiのような、銀行免許を持ち、あらゆる金融サービスをワンストップサービスとして、正面から展開している企業は皆無だ。今年中に暗号資産の関連サービスも開始する。
Robinhoodは魅力的なサービス展開をしているのは事実だが、Robinhoodを利用するようなアクティブな投資スタイルのユーザーは、全体の投資人口においては少数派にすぎない。大多数の投資家にとっては、SoFi Investのような証券サービスで十分だろう。また、BNPL(Buy Now, Pay Later:後払い決済)、預金、決済といった機能も、数ある金融サービスの一部にすぎない。
SoFiのサービスが他社を圧倒するほど成長を続ければ、個別分野で尖ったサービスを持つ企業はあっても、最終的には、SoFiが金融サービスの多くを支配する「Winner Takes “Most”」が実現するかもしれない。
次回は、SoFiのプラットフォーム戦略を深掘りした“「金融スーパーアプリ」への挑戦──SoFiが描くプラットフォーム戦略”をお届けする。
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