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SoFi USDの衝撃⑦ ―【前菜】“SoFi Crypto”からの期待収益

※前回からの続きとなります。

それでは、今まで見てきたSoFiの暗号資産ビジネスにおける収益インパクトを具体的に見ていく。

今回のシミュレーションでは、SoFiが2025年11月に再開した暗号資産サービス「SoFi Crypto」の売買取引量を月間10億ドル(=年間120億ドル)とし、同サービスの収益構造を試算する。

【10億ドル/月をサンプルとする理由】
・口座数:Robinhood 2,790万、SoFi Invest 300万(2025年9月末)
・暗号資産月間取引量(個人):Robinhood百数十億ドル ※2025年1月~11月実績平均

SoFi Investの口座数はRobinhoodの約9分の1であるため、Robinhoodの月間取引量を概算で10分の1にしたものを試算値として扱っている。

※補足:よりアクティブユーザー比率の高いRobinhoodとSoFiのユーザー特性は異なる。またSoFiは暗号資産サービス再開直後であり、本取引量はあくまで“将来的な目安”である。2026年時点で安定的に10億ドル/月を達成できるとは想定していない。

なお金利は今後の低下を織り込み、保守的に2%を前提とする。

1. 取引手数料・スプレッド収益
取引手数料は「ゼロ」とし、その代わりにスプレッド(ユーザーに提示する買値と売値の差)から収益を得るのが主流のモデルである。暗号資産売買代金の0.5〜1.0%程度が実効的な収益となるのが一般的だ。

※参考:RobinhoodやPayPalなどの主要ブローカーでは、実効スプレッドが0.5〜1.0%となるケースが多い。

よって、以下がスプレッド収益の概算となる。
・10億ドル/月 × 0.5% × 12か月 = 6,000万ドル/年

2. 通常フロート(決済ラグ型)
通常フロートとは、注文処理や清算の時間差によって短期的に資金が滞留する構造のこと。暗号資産取引では、月次取引量の10〜20%がフロートとして滞留するとされる。

10億ドル/月の取引量が年間継続し、そのうち1億ドルがフロートとして滞留すると仮定すると、以下がフロート収益となる。

・1億ドル × 金利2% = 200万ドル/年

3. 銀行フロート(預金滞留型)
銀行フロートとは、ユーザーが暗号資産を購入するために入金したUSDが銀行預金として長期間滞留する構造のこと。

CoinbaseやBinanceなど主要暗号資産プラットフォームでは、月間売買高の30〜70%が「預り資産残高(暗号資産+現金)」として滞留すると言われる。

SoFiは取引所への取次ぎを行うブローカーである一方、銀行でもあるため、待機資金が預金として残りやすい。したがって大手プラットフォームの滞留率は参考になる。

ここでは、
・売買高10億ドル × 滞留率50% × そのうち現金比率20% = 1億ドル
とおき、

1億ドル × 金利2% = 200万ドル/年となる。

4. 清算時フロート
「内部マッチング」が続く場合、SoFi USDは循環し続ける。

【内部マッチング】
ユーザーA(USD入金)→ SoFi(SoFi USDへ変換:運用開始)→ ユーザーA(買い)/ユーザーB(売り)→ SoFi(ユーザー間でSoFi USDを付け替え:運用継続

一方でLP・取引所との外部清算が必要な場合もあるが、LP・取引所側もSoFi USDを受け入れるインセンティブが強いため、清算後もSoFi USDが循環しやすい

【LP・取引所との外部決済】
・ユーザーA(USD入金)→ SoFi(SoFi USDへ変換:運用開始) → ユーザーA(買い)→ 外部LP・取引所へSoFi USDで支払い → SoFi(運用継続

ただし、月間取引量10億ドルが全額滞留するわけではない。たとえば、ユーザーAとBが二人の間で100ドルのビットコイン売買を10回繰り返した場合、売買高は1,000ドルになるが、滞留するSoFi USDは100ドルのまま、二人の間を往復するだけである。

そこで保守的に、10億ドルの10%(=1億ドル)が常時滞留すると仮定すると、以下となる。

1億ドル × 金利2% = 200万ドル/年

<まとめ>
■売上収益:6,600万ドル/年
内訳
 スプレッド収益:6,000万ドル/年
 通常フロート:200万ドル/年
 銀行フロート:200万ドル/年
 清算時フロート:200万ドル/年

■営業利益:3,540万ドル
内訳
 スプレッド収益:6,000万ドル × 利益率50% = 3,000万ドル
 フロート収益:600万ドル × 利益率90% = 540万ドル

※利益率は以下より算出
 スプレッド収益:金融サービス事業から50%
 フロート収益:実質的な原価はほぼないことから90%

■最終損益
3,540万ドル×(1-25%)=2,655万ドル ※実効税率25%

したがって、最終損益は約2,500万ドルの押し上げ効果となる。会社ガイダンスの2025年最終利益4.55億ドルの約5%の上振れに相当する。

もちろん、上記はあくまで“前菜”である。

SoFiにとっての本命は「手数料・スプレッド」でも「フロート収益」でもない。決着を分けるのは、暗号資産市場(B2B)においてSoFi USDがどこまで浸透するかである。

そこで描かれるシナリオが現実味を帯びた場合、今回の2,500万ドルという数字は、“2桁違う”驚愕の収益シナリオへと書き換わる。

次回以降は、2030年に暗号資産市場(B2B)へSoFi USDがどこまで食い込めるかを検証していく。

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