SoFi USDの衝撃⑧ ― 収益構造を読む前に知っておくべき“市場の前提”
※前回からの続きとなります。
次回以降の暗号資産取引市場(B2B)における収益を読む前に、改めて以下を理解して欲しい。
<必要な前提理解①:収益構造>
・Tether社がステーブルコイン事業から巨額の運用収益を生んでいること。
・Circle社もステーブルコイン事業から巨額の運用収益を生み出していること。Circle社は2025年第3四半期において、ステーブルコイン発行残高740億ドルに対する裏付け資産(準備金)から7.11億ドル(= 約28億ドル/年)の運用収益を上げている。※SoFiの2025年通期ガイダンスの最終利益は4.55億ドル


ただし、USDCはCoinbase社との“共同事業”であるため、運用収益の約6割が、Coinbase社を中心とする流通パートナーへ分配される結果、Circle社に残る利益は構造的に限定される。またCircle社の費用項目として、Compensation Expenses(株式報酬費用を含む人件費)が大きくなっている。
一方SoFiの場合、Circleとは異なり、収益分配は不要である。また事業基盤を構築済みであるため、ステーブルコイン事業を開始したからといって、人件費が追加で大きく膨らむ可能性は極めて低い。
すなわちSoFiでは、ステーブルコインの運用収益がCircleのように外部へ分配されたり、人件費として希薄化することもなく、ほぼそのまま利益として残る構造を持つ。
したがって、Circleの利益水準だけを見て「ステーブルコイン事業はそれほど儲からない」と結論付けるのは正しくない。
<必要な前提理解②:競合環境>
・2025年12月現在、DefiLlamaのデータによるとUSDT60%、USDC25%のシェアと、USDT/USDCの寡占市場となっている。

・しかし、USDTは高い確率で勢いを失っていく。
・USDTの穴をUSDCは埋められない。端的にそれを示すのがSVBショックだ。
・GAFAMがステーブルコインを発行する可能性は極めて低い。
・大手銀行のJ.P.モルガンやシティグループなども、ステーブルコインの実証実験を進めている。しかし、これらはいずれも法人向け決済など限定的な用途にとどまり、一般ユーザーも使用可能な汎用的ステーブルコインの発行は(少なくとも当面は)ない。
・Visa/Mastercardが自らステーブルコインを発行する可能性も極めて低い。
・米国で銀行免許を持ち、高い技術力を持ち成功しているフィンテックはSoFiのみ。
・SoFiは2026年1月に最高品質のステーブルコインをリリースする。
それでは、次回以降、収益構造を公開していく。
【編集後記】
上のリンク先と被る個所がありますが、役立つ内容はいろいろ詰まっていると思いますので、お時間がある際に、過去掲載分を改めて読んでいただけると嬉しいです。(市場構造を理解いただいてから次回以降を読んでいただく方が、より確信が深まると思います。特に以下の③~⑥は事前理解としておすすめです。)
1. 決済革命2026:SoFi USDの衝撃―序章「時価総額1兆ドル企業へ」
2. SoFi USDの衝撃① ― 銀行だけが到達できる“暗号資産フロートの秘密”
3. SoFi USDの衝撃② ― SoFi vs Robinhood:明暗を分ける“銀行免許”
4. SoFi USDの衝撃③ ― “怒涛”のB2B市場進出開始 ― FTX崩壊からの教訓
5. SoFi USDの衝撃④ ― 影の主役“LP”が引き起こす「USDT」の凋落
6. SoFi USDの衝撃⑤ ― USDC“短期暫定王者”が抱える構造的限界
7. SoFi USDの衝撃⑥ ― “銀行発行のステーブルコイン”へ収れんする日
8. SoFi USDの衝撃⑦ ―【前菜】“SoFi Crypto”からの期待収益
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