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SoFi USDの衝撃⑤ ― USDC“短期暫定王者”が抱える構造的限界

前回は、暗号資産市場の流動性の多くを「米国大手LP」が担っていることを確認した。USDTは規制・準備金の両面で大きな弱点を抱えるため、米国籍LPは取り扱いを縮小せざるを得ない。USDTのシェア低下はすでに“始まっている事実”だ。

ではCircle社発行のUSDCはどうか。
結論は明確である。

USDCは、“短期暫定(ざんてい)王者”になる。
しかし、長期王者にはなれない。

今回は、その“制度的に避けられない理由”を解剖していく。

<USDCが短期“暫定王者”となる理由>
GENIUS Act施行後、USDTが規制面で立ち行かなくなると、市場は当然「よりクリーンな代替資産」を求める。その際にUSDCが選ばれる理由はシンプルだ。

・米国企業による発行
・準備金の透明性がより高い
・世界の取引所やアプリに幅広く統合されており流動性が高い
・USDTと比較し制裁・執行リスクが圧倒的に低い

※制裁リスク:制裁対象者や対象国と関与した場合に、米国政府当局から制裁措置を受けるリスク
※執行リスク:米国政府当局から罰金・業務停止などの強制措置を受けるリスク

実際、米国籍LPはUSDTからUSDCへの移行を進めている。つまり、USDTが空ける“巨大な穴”を最初に埋めるのはUSDCで確実だ。残念ながらSoFi USDには流動性・実績がまだない。

だからこそ、多くの投資家はUSDCが覇権を握ると誤解する。
しかし、そうはならない。

<USDCの本質:Circleが発行する“非銀行ステーブルコイン”>
USDCは表向き「1USDC=1USD」だが、銀行の「預金負債」とは根源的に異なる。

SoFi USDのような、銀行預金を裏付けとして発行されるステーブルコインは、裏付け資産が銀行制度の枠内(FDIC保護スキームの対象となる預金)に置かれるため、国家制度による安全性が担保される。

一方、USDCは裏付け資産こそあるが、法律上は「Circleという一企業が後で1ドルを返すと約束したデジタル資産」に過ぎず、銀行預金のような公的保護は一切ない。

このような一企業の信用に依存するデジタル資産を、米国籍LPが巨額に保有できるか?

答えは当然「No」――大量保有は“リスクが高すぎる”
会社のリスク管理ルールで禁止または強く制限される。

<USDCは永遠に“非銀行ステーブルコイン”>
Circleは全米信託銀行(National Trust Bank)チャーターを申請し、“銀行化”へ近づいているように見える。しかし、これは商業銀行になることを意味しない。

全米信託銀行(National Trust Bank)は“銀行”という名称が付いているものの、実態は「預金を扱えず、FRB口座も保有していない非銀行金融会社」である。

すなわち全米信託銀行は、
・商業銀行ではない(=預金口座を持てない)
・FRB口座を保有していない
・準備金は外部銀行・外部カストディアン(資産保管専門機関)に依存
外部銀行が信用不安に陥れば、SVBショックと同じ構造的リスクを抱える

たとえNational Trust Bankチャーターを取得しても、銀行の核心機能(預金・FRB口座)を持てない以上、USDCは永遠に“非銀行ステーブルコイン”のまま——これが制度上の宿命である。

<AML(資金洗浄防止)でも非銀行のステーブルコインは圧倒的不利>
AMLでもUSDCは制度上のハンディキャップを抱える。

非銀行発行ステーブルコインは、ブロックチェーン上でアドレスを追えるものの、KYC(本人確認)義務の範囲が「自社の直接の顧客」に限定される。そのため、USDCが二次流通すると、最終利用者を把握する法的・制度的・技術的枠組みを持たない。

結果として、制裁対象者・匿名者・マネロン資金が第三者経由でUSDCを換金しても、Circleは実体を特定できない。実際、米政府当局の開示でも、北朝鮮系ハッカー集団やランサムウェア組織がUSDCを悪用した事例が報告されている。

一方、SoFi USDは、発行主体が銀行であり、利用者すべてが銀行のAML・KYCの管理下に入る。二次流通した場合でも、法定通貨に換金する段階で、銀行システムを経由し、必ず本人確認が要求されるため、匿名者が出口を通過できない。結果として、SoFi USDは「誰が使っているか」を把握できる、唯一クリーンなステーブルコインとなる。

米国籍LPなどの米国金融機関は極めて厳しい規制の下、事業運営を行っており、違反すると多額の罰金・業務停止があり得る。保有する資産のリスクは低ければ低いほど良い。

どちらのステーブルコインが長期的に選ばれるかは自明である。

<USDCは“長期王者”になれない>
以上を踏まえると、USDCの未来は次のように整理できる。

短期(~2027年):USDT崩壊の穴を埋める“暫定王者”
・中期(2028年~):AML強化・規制本格化で頭打ち
・長期(2030年~):銀行発行ステーブルコイン(SoFi USD)に収れん

Circleの努力やPRで改善できる話ではない。
制度構造そのものに起因する“越えられない壁”だからだ。

これはUSDCだけの問題ではない。PYUSD(Paxos)など、すべての“非銀行発行モデル”に共通する構造的制約であり、長期的な信頼性を確立することは制度上不可能だ。

<長期の勝者は誰か――答えはSoFi USD>
長期でLPが大量保有できるステーブルコインはただ一つ、
“FRB口座で裏付け資産を保管できる、銀行発行モデル”
市場はここに必ず収れんしていく。

では、SoFi USDがどのように市場へ浸透していくのか。
次回は、この“最高品質の通貨”が採用されていくプロセスとその理由を具体的に見ていく。

※編集後記:前回はUSDTについて、今回はUSDCの限界を改めて調べました。以前、2030年において、Circle(USDC)、Tether(USDT)が70〜90%のシェアを維持することを前提に、収益インパクトを算出していましたが、2社のシェアはより低く、SoFiのシェアは「より高くなる」と確信を強めています。

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