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円安シリーズ第5回(最終回)— 市場は最後の野党じゃ。ほんで、わしらの財布はわしらで守る


野党は議席がなけりゃ黙る。国民は給付金をもらやあ黙る。ほんでも、たった一人だけ、絶対に黙らん奴がおる。それが市場じゃ。忖度も義理も愛想もねえ、最後の野党じゃ。


「先輩、ついに最終回ですね。で、結局あれからどうなったんですか」

時系列の続きからじゃな。閣議決定は7月14日の予定じゃった。ほんでも揉めに揉めて、1週間ずれ込んで7月21日。ほんで出てきた最終版はな——修正の文言は足してあった。ほんでも**「財政健全化」の5文字は消えたまま。大盤振る舞いもそのまま**じゃった。

「市場の返事は」

**1ドル163円台。**このシリーズの第1回に戻ってきたわけじゃ。

「……あの163円って、そういう意味だったんですね」

そうじゃ。国のマスタープランが正式決定して、世界がそれを読んで、突きつけた返事が163円なんじゃ。

「第1回で先輩が正座してた理由が、5回目にしてやっと分かりました」

分かるまでに5回かかる話じゃけぇ、5回に分けたんじゃ。




4年前に同じ映画をやった国がある——トラスショック

ええか、実はこの映画な、4年前にイギリスで一回上映されとるんじゃ。

「え、続編どころか、リメイクだったんですか」

2022年、イギリスで大人気の首相が誕生した。トラスさんゆう人じゃ。議席も取った、人気もある。ほんでその人が高らかに宣言した。「皆さんを救うために、大幅減税をやっちゃいます!

「うれしいやつじゃないですか」

うれしいんよ。ほんで「財源はどうするんですか」て聞かれて、返した理屈がこうじゃ。「パーティーをやりゃあ、みんな元気になって、いっぱい稼いでくれる。その金で賄えます」

「……あれ? それ、どこかで聞いた身長を伸ばす話に似てますね」

気づいたか。ほんで結果どうなったか。世界の投資家が「この人、深う考えとらんな。財源がねえな」ゆうて、ポンドを売って、イギリス国債を売った。通貨と国債のダブル安じゃ。ほんでトラスさん、就任から45日で退陣した。

「45日って、夏休みより短いじゃないですか」

議会で負けたんじゃねえぞ。選挙で負けたんでもねえぞ。市場に負けたんじゃ。

「先輩、それって、民主主義的にはどうなんですか。選ばれてない人たちが首相を辞めさせたってことでしょ」

……おめえ、今日はぼっけえええ質問をするのう。

「たまには褒めてくださいよ」

その疑問は正しい。ほんで答えはこうじゃ。市場は首相を辞めさせる権限なんぞ持っとらん。あいつらがやったんは「金を引き上げた」だけよ。

「引き上げただけ」

貸しとった金を引き上げる。買うとった通貨を売る。それだけじゃ。ほんでもな、国ゆうんは金を借りて回っとるけぇ、貸し手が一斉に手を引いたら回らんようになる。

「……止められないってことですか」

止められん。選挙は4年に1回じゃが、市場の投票は毎日じゃけぇな。


信用と利子は反比例する——飲み屋のツケの法則

「先輩、そもそもなんで『国債が売られると金利が上がる』んですか。前回から気になってたんですけど」

よう覚えとったの。これはな、飲み屋のツケで考えりゃ一発じゃ。

「また急に飲み屋の話」

20年通うとる常連の大将にはな、店は「ツケでええよ、利子もいらん」ゆうんじゃ。必ず返す奴じゃと知っとるけぇな。ほんでも初見の千鳥足がな、「ツケで頼むわ〜」ゆうてきたらどうする。

「断るか……前金でお願いしますね」

じゃろ。ほんでどうしても貸すんなら、「利子を乗せさせてもらいますで」になる。信用と利子は反比例するんじゃ。信用がある奴ほど安う借りれて、疑われとる奴ほど高うつく。

国も同じよ。国債ゆうんは国の借金の証文じゃ。「日本は必ず返す」と世界が信じとる間は、安い利子で金を借りれる。ほんでも「この国、返す気あるんか?」て疑われた瞬間、世界がツケを渋りだして、利子を要求してくる。長期金利2.9%ゆうんは、そうゆう意味なんじゃ。

「日本、常連の大将から、千鳥足側に移動しかけてるってことですか」

移動しかけとるように見られた、ゆうことじゃ。ほんで為替も国債も、「どう見られるか」が全てなんじゃ。

「実態じゃなくて、見られ方」

実態は後から効く。見られ方は今日効く。今日の金利を決めるんは、見られ方の方じゃ。


市場は最後の野党じゃ

「でも先輩、こういうのって普通、野党とかが止めるもんじゃないんですか」

ええとこ突くのう。ほんでも考えてみい。野党は議席がなけりゃ黙るしかねえ。国民は給付金をもらやあ、なんとなく黙る。マスコミも祭りやゴシップに忙しい。ほんならもう、誰も止める奴がおらんのか——ゆうたら、一人だけおるんじゃ。

「誰ですか」

市場じゃ。世界中の投資家、年金、銀行、ファンド。円を買うか売るか、日本国債を買うか売るか、毎日投票しとる連中じゃ。こいつらはな、選挙もねえ、任期もねえ、忖度もねえ、義理も愛想もねえ。「この国に未来はあるか、わしは儲かるか」——それだけで動く。

「冷たいですね」

冷てえ。ほんでもな、冷てえけぇ正直なんじゃ。人気取りの言葉も、巧妙な言い回しの保険も、市場にゃ効かん。トラスさんを45日で退陣させたんも、こないだの原案に163円を突きつけたんも、この最後の野党じゃ。

「なんか、頼もしいような、怖いような」

両方じゃ。**味方じゃねえけぇな。あいつらはワシらの生活なんぞ1ミリも考えとらん。**ただ、嘘だけは見抜く。それだけの存在じゃ。

「……で、先輩。国の話は分かりました。分かったんですけど、僕はどうすればいいんですか。僕の財布は誰が守ってくれるんですか」

誰も守ってくれん。**じゃけぇ、自分で守るんじゃ。**ここからが、このシリーズで一番大事な話じゃ。


わしらにできる3つのこと

その1。仕組みを知ること。もう終わっとる。

おめえはこの5回で、円安が何か、誰が得して誰が損するか、なんで円だけが安いんか、全部知った。「なんか高いなあ」ゆうて茹でられる側から、「ああ、こうゆう仕組みで高いんじゃな」ゆうて風呂の温度計を読める側に移った。これがスタートじゃ。

「知っただけで、何か変わるんですか」

変わる。怒る先が変わる。値札に怒っとった人間が、構造を見るようになる。ほんで構造が見えりゃ、打つ手も見える。

その2。自分が「日本円に全額ベット」しとることに気づくこと。

ええか。給料も円、貯金も円、年金も円——それはな、応援でも愛国でもねえ。気づかんうちに、日本円ゆう一頭の馬に、全財産を突っ込んどる馬券なんじゃ。

「馬券って。僕、ギャンブルやってないですよ」

やっとるんじゃ、全員な。「賭けとらんつもり」が一番危ねえ。円が安うなるゆうんは、その馬券が毎日ちょっとずつ目減りしとるゆうことじゃけぇの。

「第1回でも同じこと言われましたね」

5回のうち2回言うたゆうことは、それが結論じゃ、ゆうことよ。

その3。通貨を分散すること。ほんで、これは実はもうやれる。

「え、外貨預金とかFXとか始めるんですか。怖いんですけど」

ちげえわ。もっと地味で、もっとまともな方法があるんじゃ。全世界株のインデックスファンド——NISAで積み立てとる、あれよ。あれはな、世界中の会社の株を、世界中の通貨で持つゆうことなんじゃ。アメリカの会社、ヨーロッパの会社、アジアの会社。円が安うなっても、世界側の資産が円建てじゃ膨らんでくれる。

「あ……僕が毎月コツコツやってるあれ、円安対策にもなってたんですか」

なっとったんじゃ。詳しゅうはNISAシリーズ第4回で話しとるけぇ読み返せ。

「なんか、急に自分がちゃんとした人間に思えてきました」

調子に乗るな。ほんで一個だけ、ぼっけえ大事な注意じゃ。為替がこの先どうなるかは、誰にも分からん。

「誰にも」

誰にもじゃ。円高に戻るかもしれん。ワシにも、テレビで解説しとる先生方にも、総理にも分からん。「円安はまだまだ続く」ゆう予想を信じて全額ドルに替えるんも、同じ種類のギャンブルじゃ。

「あ、そっちもダメなんですね」

そこが肝心なとこじゃ。片方に全額ベットしとる状態を、逆側の全額ベットに乗り換えるんは、解決じゃのうて席替えよ。

「……席替え」

じゃけぇやるんは**「予想」じゃのうて「分散」**なんじゃ。どっちに転んでもええようにしとく。それだけが、わしら普通の人間にできる、まともな備えじゃ。

「予想じゃなくて、分散」

そうじゃ。ほんで、インフレから資産を守る話は守る力シリーズ第5回でやっとるけぇ、そっちも読んどけ。


結局、何が大事なんじゃ

  • 7月21日の閣議決定は「財政健全化」の5文字が消えたまま。市場の返事は163円台——正式なNOじゃった

  • 4年前のイギリスで同じ映画が上映済み。トラスショック——大盤振る舞い宣言→通貨と国債のダブル安→45日で退陣

  • 市場は首相を辞めさせる権限を持っとらん。ただ金を引き上げるだけじゃ。ほんで選挙は4年に1回、市場の投票は毎日

  • 信用と利子は反比例する。飲み屋のツケと同じで、疑われた国は利子を上げられる

  • 野党が黙り、国民が黙っても、市場だけは黙らん。忖度ゼロの最後の野党じゃ。ただし味方でもねえ

  • わしらにできるんは3つ。①仕組みを知る ②「日本円に全額ベット」しとる自覚を持つ ③予想じゃのうて分散——全世界株の積立は、実は通貨の分散でもある

  • 全額ドルに乗り換えるんも同じギャンブル。それは解決じゃのうて席替えじゃ

文句をゆうんは自由じゃ。怒ってもええ。ほんでも、文句と怒りじゃ財布は守れん。**国の財布は選挙で、自分の財布は分散で守る。**それがこのシリーズの結論じゃ。以上じゃ。

「先輩……最終回だけ、ちょっとかっこいいのが腹立つんですよね」


今日の参考書籍

まず、この3冊は全シリーズ共通の土台じゃ

📚 「本当の自由を手に入れる お金の大学」 リベ大・両学長 著
Amazonで見る楽天で見る

貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う。円安の時代に自分の財布を守る5つの力、全部この1冊から始まるんじゃ。

📚 「ジェイソン流お金の増やし方」 厚切りジェイソン 著
Amazonで見る楽天で見る

「円だけで持っとくな、全世界に分散せえ」。このシリーズの結論を、いちばん短く言い切っとる本じゃ。

📚 「20代から始める新NISA 高配当株投資術」 プラズマコイ 著
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分散の次の一歩、配当で受け取る形が漫画で分かる。読むのに体力が要らんのがええ。

ほんで今回のテーマなら、この2冊じゃ

📚 「敗者のゲーム」 チャールズ・エリス 著
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市場に勝とうとする奴が、なんで負けるんか。今日の「予想じゃのうて分散」の教科書じゃ。50年読まれとる古典。

📚 「投資の大原則」 バートン・マルキール/チャールズ・エリス 著
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分散・低コスト・長期。世界中の相場を見てきた2人が、最後に残した原則だけが書いてある薄い本じゃ。


📚 本は「読む前に買う」もんじゃ

紹介した本が全部要るわけじゃない。1冊だけ選んで、今日カートに入れえ。

「明日でええか」と思うた本を、人は一生買わん。ワシがそうじゃった。

| どこで探すか | こんな人に |
|---|---|
| Amazon | すぐ読みたい。Kindleでもええ |
| 楽天ブックス | 楽天ポイントを貯めとる人 |
| ブックオフ | 同じ本が半額以下で見つかることがある |

👉 Amazonで探す楽天ブックスで探すブックオフで探す

中古で十分じゃ。 本の中身は、新品でも古本でも1文字も変わらん。


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⚠️ 本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は自己責任で行ってください。また、本記事は特定の政党・政治家を支持または批判する意図はありません。


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