見出し画像

円安シリーズまとめ版 — 1ドル163円の正体と、わしらの財布の守り方【全5回まとめ】

「先輩、円安シリーズ、全部読みました」

おう。ほんで、どうじゃった。

「……正直、読む前より不安になりました」

ええことじゃ。

「よくないですよ。安心したくて読んだんですけど」

安心したいだけなら天気予報でも見とけ。知らんまま安心しとる状態が、いちばん高うつくんじゃ。

「……その言い方、5回分ずっとそうでしたね」

今日は総まとめじゃ。5回分を1本にまとめて、最後に「ほんなら何をすりゃあええんか」まで持っていく。ここだけ読んでも分かるようにしたる。

「じゃあ最初からそうしてください」




5回分を1枚の地図にする

まず全体の流れじゃ。5回かけて、こういう順番で話した。

| 回 | テーマ | 一言で言うと |
|---|---|---|
| 第1回 | 円安の正体 | 値札が変わったんじゃのうて、円の方が変わった |
| 第2回 | 独歩安 | 全敗しとるんは相手が強いんじゃのうて、自分が弱い |
| 第3回 | 骨太ショック | 国の家族会議から「借金返す」が消えた |
| 第4回 | 日銀 | 財布を握る母ちゃんが、なんで政府と別におるんか |
| 第5回 | 市場 | 誰も黙らせられん最後の野党が、値段で採点しよる |

「……こう並べると、だんだん話がでかくなってますね」

逆じゃ。だんだん自分の財布に近づいてきとるんじゃ。


第1回の要点——円安は「誰の席か」の話じゃ

円安ゆうんは「円の価値が安くなる」ことじゃ。1ドル110円が163円になったゆうんは、同じ100ドルの物が11,000円から16,300円になったゆうこと。

物価が上がっとるように見えて、実は円が下がっとる。

「ここ、僕がいちばん誤解してたところです」

ほんでいちばん怖いんは、通帳の数字は1円も減らんゆうことじゃ。減らんまま、買えるもんだけが減る。

「怒る相手がおらんのですよね」

そうじゃ。給料泥棒がおったら怒れる。ほんでも円安は誰も盗っとらん。怒れんまま貧しくなる。これがいちばん厄介なんじゃ。

ほんで大事なんは、円安は「いい・悪い」で語るもんじゃないゆうことじゃ。誰が得して、誰が損するかで見る。

  • 得する側:ドルで稼ぐ輸出大企業、海外資産を持つ投資家、外貨の財布を持つ政府

  • 損する側:円で給料をもろうて、円で貯金して、輸入品で暮らす人——つまり大多数

「テレビで『円安は日本経済にプラス』って言ってる人がいた理由が、やっと分かりました」

嘘つきじゃねえ。見とる席が違うだけじゃ。じゃけぇまず、自分がどの席に座っとるかを確認せえ。


第2回の要点——全敗しとるのは相手のせいじゃない

「円安は中東情勢のせい」「ドルが強いだけ」——そう思いたい気持ちは分かる。ほんでも確かめる方法がある。

ドル円だけ見るな。ユーロ円も人民元円も見い。

為替は総当たりのリーグ戦じゃ。円はドルとだけ試合しよるんじゃない。ユーロとも人民元とも毎日試合しとる。ほんで今の円は——全敗じゃ。

1敗なら「相手が強かった」で済む。全敗は、おめえが弱いんじゃ。 これを独歩安ゆう。

「先輩、この回の停電の例えが分かりやすかったです」

夜中に電気が消えたら、まず窓の外を見い。町ごと真っ暗なら電力会社のせいじゃ。うちだけ真っ暗なら、うちのブレーカーが落ちとる。

今、真っ暗なんは日本の家だけよ。原因は外じゃのうて、家の中にある。

ほんで、この回でいちばん言いたかったんは「慣れ」の話じゃ。150円で驚いとったのに、163円で驚かんようになった。

「熱い風呂も入っとりゃ慣れる、って話でしたね」

慣れた瞬間から、値上げは「事件」じゃのうて「仕様」になるんじゃ。


第3回の要点——「借金返す」の一言が消えた

骨太の方針ゆうんは、国が毎年夏に開く家族会議じゃ。正式には「経済財政運営と改革の基本方針」。2001年から毎年出とる、税金の使い道の大方針よ。

今年のそれが市場を凍らせた。火種は3つ。

  1. 25年間毎年入っとった**「財政健全化」の5文字が消えた**

  2. 目標が「収支を黒字にする」から「債務残高対GDP比を下げる」へ変わった

  3. 日銀への口出しと読める文言、ほんで財源のはっきりせん大盤振る舞い

②を翻訳するとこうじゃ。ダイエットの目標を「体重を落とす」から「身長を伸ばしてBMIを下げる」に変えたんじゃ。

「身長が伸びなかったら、どうなるんですか」

残るんは減っとらん借金だけじゃ。

ほんで金貸しの立場で考えてみい。返せんことより「返す気がねえこと」の方が怖い。

「……それ、飲み屋のツケと同じですね。『来月払います』って言い続ける客と、何も言わなくなった客だと、後者の方が怖い」

よう分かっとるじゃないか。ほんで店は、後者にだけ「前金で」と言うようになる。国で言やあ、それが金利じゃ。

市場の返事は正直じゃった。原案が報道された翌日に1ドル162円84銭、5日後には長期金利2.830%。円と国債のダブル売りよ。


第4回の要点——母ちゃんが財布を握っとる理由

政府は金を使う側じゃ。日銀は金の価値を守る側じゃ。

政府は宴会好きの親父、日銀は財布を握る母ちゃん。

親父は金を使うほど人気が出る。母ちゃんは締めるほど嫌われる。ほんでも家を破産させんのは母ちゃんの方じゃ。

「なんで別々になってるんですか」

嫌われる仕事は、選挙に出とらん人間にやらせる——これが設計思想じゃ。ほんでこれは歴史の教訓でもある。戦時中に独立が壊れて政府が円を刷らせまくった結果が、戦後のハイパーインフレじゃ。

ほんで金の法則をひとつ覚えとけ。金利の低い通貨は売られる。 金に義理も人情も愛国心もねえ。利子のつく方へ流れるだけじゃ。円安の足元には、ずっとこの流れがある。

日銀は2026年6月16日に政策金利を1%へ上げた。約31年ぶりの水準じゃ。

「31年ぶりって、僕が生まれる前ですよ」

じゃけぇ今、現役世代はほぼ全員が「金利のある世界」の初心者なんじゃ。


第5回の要点——市場は最後の野党じゃ

野党は議席がなけりゃ黙る。国民も給付金をもらやあ、だいたい黙る。

ほんでも、たった一人だけ絶対に黙らん奴がおる。

市場じゃ。 忖度も義理も愛想もねえ。気に入らんかったら、翌朝には値段で採点しよる。

「2022年のイギリスの話が、いちばん怖かったです」

トラスショックじゃ。人気のあった首相が財源のはっきりせん大幅減税を打ち出して、通貨と国債のダブル安を食らって、45日で退陣した。

議会に負けたんじゃない。選挙に負けたんでもない。市場に負けたんじゃ。

日本でも今年、原案が売られて文言が修正された。ほんで大事なんはここじゃ——直したんは議論があったからじゃのうて、売られたからじゃ。


おめえは今、一頭の馬に全財産を賭けとる

ここからが本題じゃ。5回分を踏まえて、おめえの財布の話をする。

おめえ、給料は何で受け取っとる。

「円ですけど」

貯金は。

「円です」

年金は。

「……円ですね」

それ、一頭の馬に全財産を突っ込んどる馬券じゃ。

「……いや、賭けてるつもりは1ミリもないんですけど」

そこが怖いんじゃ。賭けとる自覚がないまま、いちばんでかい賭けをしとる。 日本に住んで日本で働いとったら、何もせんでも「日本円に全額ベット」の状態になるんじゃ。

「何もしないことが、賭けになってるんですか」

そうじゃ。円が強い時代なら、それでよかった。ほんでも今は独歩安じゃ。何もせんことが、いちばん攻めた選択になっとる時代なんじゃ。

「……その言い方はズルいです。何もしてないのに攻めてることになるんですか」

競馬場で「わしは賭けとらん」ゆうて、財布ごと1レース目の1番人気に置いてきたようなもんじゃ。

「置いてきてないですよ。生まれた時からそこにあるんです」

そうじゃ。じゃけぇ気づかんのじゃ。


ほんなら、明日から何をすりゃあええんか

ワシがこのシリーズで言いたいことは、3つだけじゃ。

① 仕組みを知る(これはもう終わっとる)

ここまで読んだ時点で、円安・独歩安・骨太・日銀・市場の関係は分かっとる。ニュースで「円安が進み」と聞いた時、頭が3秒止まらんようになったはずじゃ。

② 「円に全額ベットしとる」自覚を持つ

自覚があるかないかで、次の判断が変わる。自覚のない全額ベットは、ただの無防備じゃ。

③ 予想じゃのうて、分散じゃ

いちばん大事なんはここじゃ。

「先輩、結局、円はこれからどうなるんですか」

分からん。

「……えっ」

分からん。ワシにも、テレビに出とる専門家にも、日銀総裁にも分からん。分かるんなら、そいつはとっくに全財産を賭けて大金持ちになっとる。

「じゃあ、この5回は何だったんですか」

予想が当たらんでもええようにしとくためじゃ。為替がどっちに転んでも致命傷を負わん形にしておく。それが分散よ。

具体的にはこうじゃ。

  • 円だけで持たん。全世界株のインデックスを積み立てりゃ、勝手に外貨建ての資産を持つことになる

  • 一気にやらん。毎月同じ額を淡々と積む

  • 為替の予想で売り買いせん。予想せんのが最強の予想じゃ

「……最後、ちょっとかっこよく言おうとしましたね」

言うとらん。ワシは本気じゃ。


よくある質問

Q. 今から外貨や外国株を買うのは、高値づかみになりませんか

その心配は正しい。じゃけぇ一括じゃのうて積立なんじゃ。高い月も安い月も同じ額を買えば、平均に落ち着く。「今が高いか安いか」を当てにいく必要がなくなる。

Q. 円高に戻ったら損しませんか

戻ったら、おめえが持っとる円の力が上がる。輸入品も海外旅行も安うなる。円高でも円安でもどっちかが得しとる状態にしておくのが分散じゃ。片方に全部置くのをやめる、ゆうだけの話よ。

Q. 結局、何から始めればええんですか

まず自分の資産が今どうなっとるか書き出せ。ほとんど円じゃったら、それが出発点じゃ。次にNISA口座を作って、全世界株のインデックスを毎月少額から積む。金額より、始めることの方が大事じゃ。


結局、何が大事なんじゃ

  • 円安とは**「円の価値が安くなる」**こと。通帳の数字は減らんまま、買えるもんだけが減る。怒れんまま貧しくなるのがいちばん怖い

  • 円安は「いい・悪い」じゃのうて**「誰の席に座っとるか」**の話。損する側は、円で稼いで円で貯めて輸入品で暮らす大多数じゃ

  • ドルにもユーロにも人民元にも負けとる独歩安。全敗の原因は相手じゃのうて自分にある

  • 骨太の方針から**「財政健全化」の5文字が消えた**。返せんことより「返す気がねえこと」の方が、金貸しには怖い

  • 政府と日銀が別々におるんは歴史の教訓じゃ。金利の低い通貨は売られる。金に義理はねえ

  • 市場は最後の野党じゃ。誰も黙らせられん。ほんで日本も、議論じゃのうて売られたから文言を直した

  • おめえは今、日本円に全額ベットしとる。賭けとる自覚がないのがいちばん危ない

  • 為替は誰にも分からん。じゃけぇ予想じゃのうて分散じゃ。国の財布は選挙で、自分の財布は分散で守る

以上じゃ。

「……先輩、最後だけちょっといい話にまとめましたね」

5回付き合うたご褒美じゃ。ほんで明日からは、また値上げの話に戻る。

「戻らんでください」


今日の参考書籍

まず、この3冊は全シリーズ共通の土台じゃ

📚 「本当の自由を手に入れる お金の大学」 リベ大・両学長 著
Amazonで見る楽天で見る

貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う。円安の時代に自分の財布を守る5つの力が、全部この1冊から始まる。

📚 「ジェイソン流お金の増やし方」 厚切りジェイソン 著
Amazonで見る楽天で見る

「円だけで持っとくな、全世界に分散せえ」。このシリーズの結論を、いちばん短く言い切っとる本じゃ。

📚 「20代から始める新NISA 高配当株投資術」 プラズマコイ 著
Amazonで見る楽天で見る

分散の次の一歩、配当で受け取る形が漫画で分かる。読むのに体力が要らんのがええ。

ほんで円安シリーズの総まとめなら、この3冊じゃ

📚 「敗者のゲーム」 チャールズ・エリス 著
Amazonで見る楽天で見る

市場に勝とうとする奴が、なんで負けるんか。「予想じゃのうて分散」の教科書じゃ。50年読まれとる古典。

📚 「投資の大原則」 バートン・マルキール/チャールズ・エリス 著
Amazonで見る楽天で見る

分散・低コスト・長期。世界中の相場を見てきた2人が最後に残した原則だけが書いてある薄い本じゃ。

📚 「世界インフレの謎」 渡辺努 著
Amazonで見る楽天で見る

なんで世界中で物の値段が上がったんか。日本だけが違う道を歩いとる理由が、データで書いてある新書じゃ。


📚 本は「読む前に買う」もんじゃ

紹介した本が全部要るわけじゃない。1冊だけ選んで、今日カートに入れえ。

「明日でええか」と思うた本を、人は一生買わん。ワシがそうじゃった。

| どこで探すか | こんな人に |
|---|---|
| Amazon | すぐ読みたい。Kindleでもええ |
| 楽天ブックス | 楽天ポイントを貯めとる人 |
| ブックオフ | 同じ本が半額以下で見つかることがある |

👉 Amazonで探す楽天ブックスで探すブックオフで探す

中古で十分じゃ。 本の中身は、新品でも古本でも1文字も変わらん。


関連記事

NISAシリーズ第4回 — 何を買えばいいか(全世界株インデックスの話)

守る力シリーズ第5回 — インフレリスク(現金の価値が目減りする話)



出典


⚠️ 本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は自己責任で行ってください。また、本記事は特定の政党・政治家を支持または批判する意図はありません。
本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー