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【とんま村の物語】第13話:それ、村のモノです。〜チャ~リン発行益と運用益の持ち主〜

🍃登場どうぶつ紹介とあらすじ
🍃前話:「足りない一枚は、最初からなかった。~バクの桁直しと、カメの一言~

🌻解説:①「通貨発行権とは何か?―基本編
🌻解説:②「通貨発行の仕組みが格差の“種”を生む?ー通貨発行権(応用編)
🌻解説:③「税収でも国債でもない入口はつくれるか-公共通貨を、法律の内側で制度化する条件
🌻解説:第12〜13話総括「お金や経済の仕組みを一枚で見る―競争・成長・追加借入が義務にならない社会へ

🐝前話+第13話サマリー

前話、とんま村のどうぶつたちは、桁ばかり大きくなったチャ~リンを丸めながら(通貨切り下げ)、ようやくそもそもの仕組みの根っこにたどり着きました。
みんな最初から利子という「足りない一枚」を追いかける仕組みの上で走らされていたこと、そしてチャ~リンを作って出す力が、総裁アリクイの側に偏っていたことを知ったのです。

そして今話。
バクは次の疑問に向かいます。
みんなが“足りない足りない”と追いかけていた一方で、いったい何が“余っていた”のか。
13話は、「足りない一枚」の裏側で静かに積み上がっていた“余り”の持ち主をめぐる、少し感じの悪い捜査の記録です。


①天の声

「……日曜日の夜、皆さんは“足りないもの”ばかりを見て眠りにつくでしょうか。
足りない時間。足りないお金。足りない元気。
けれど、ときどき本当に厄介なのは、“足りない”と騒いでいるその頭の上で、べつの何かが静かに“余っている”ことです。
ここ、とんま村のどうぶつたちは、ようやく気づきました。
自分たちが追いかけていた『足りない一枚』は、最初からそもそもなかったのだと。
……ならば、次に残る問いは、たったひとつ。
では、その反対側で、今まで“余っていた分”は、どこへ行っていたのでしょう。
これは、そんな『余り』の持ち主をめぐる、ささやかで、少し感じの悪い捜査の記録なのです」


② バクの「ネコババ捜査(趣味)」

広場のはし。
バクが、アリクイのハシゴの下でしゃがみこんでいました。

その横には、例のマジック。
そして、やけに立派な金色のビン。
『最高級プレミアム・熟成マヨネーズ 金のしずく』

バク
「……ねぇ、アリクイさん。これ、趣味で調べたんですけど」

アリクイ
「……おーおー。またその“趣味で調べた”かぁ……。
その言い方のときって、だいたい僕の都合が悪いんだよねぇ……」

バク
「……君、村でチャ~リンを出すたびに、差額のところで取り分を取ってたよね。“手間賃”だの何だのって言って」

カモ
「……あ、はい。そこは、私も覚えています。
前(第8話)に総裁は、
“村が『あとで返します約束(国債)』を書く”
“その紙はアリクイさん(中央銀行)が預かり、新しくチャ~リンを作る”
……そう言ってました」

ライオン
「うん」

カモ
「……それで、アリクイさんは、
“利子がはいる”
それとは別に、
“数字を並べたり、ハンコ押したりで手間がかかるので手間賃がほしい”
とも……」

シマウマ
「ほんとに言ってたんだ……」

アリクイ
「……い、いや。だってほんとに腰は痛かったんだよ……」

イグアナ
「……出ました。“腰痛”と“村の仕組み”を、ほぼ同じ重さで語る総裁でございます」

バク
「……まず、チャ~リン発行益(通貨発行益)
アリクイ君が“チャ~リンを出せる側”にいることで取ってた分だね。
それとは別に、村の『あとで返します約束(国債)』には、利子もくっついてた」

バクは、小箱をとんと指でたたきました。

バク
「……しかも、問題はそこで終わらない。
アリクイさん、チャ〜リンただ持ってただけじゃないよね。……隣の村の株、買ってたでしょ」

シマウマ
「株」

ライオン
「株!?」

カモ
「……あ、やっぱり……」

アリクイ
「……い、いや。あれは、その……。もっと増やせるかなぁって……」

バク
「……うん。でも、増えたらまず君のポッケがふくらむ形だったよね。……そっちがチャ~リン運用益

イグアナ
「……すばらしいですねぇ。“村のため”と言いながら、まず自分の資産運用から始める総裁でございます」

アリクイ
「いや、ちがうってぇ!最初はほんとに、マヨネーズとマッサージくらいだったんだよ!でも、余ってたから!置いとくだけじゃ、もったいないじゃない!」

バク
 「……そう。余ってたんだよね」

バクは静かに立ち上がりました。

バク
「……じゃあ、その余りは、誰のモノなんだろう


③ 地の声:突撃インタビュー(イグアナ)

イグアナ
「……あ、ちょっと失礼。
いま、とんま村では、“どうぶつたちは足りない足りないと走らされていたのに、上の方では発行益や利子や運用益が積み上がっていた”という、たいへん都合の悪い事実が見つかりました。
アリクイ総裁、率直にいかがですか」

アリクイ
「率直に言うと、耳が痛いねぇ……。
……でもさぁ、僕だって最初から“村の敵になってやろう”なんて思ってたわけじゃないんだよ?ちょっと書いて、ちょっと得して、ちょっと偉そうにしてたら、思ったより大きくなっちゃっただけで……」

イグアナ
「……出ました。“世界を左右する仕組みが、だいたい軽い気持ちから始まっている件”でございます」

イグアナ
「……ではもう一つ。その発行益も、保管料も、運用益も、総裁の取り分にしてよい理由はありますか」

アリクイ
「……いや、理由っていうか……。僕が書いたし?僕が持ってたし?」

バク
「……インクは君のでも、村で使う数字は君ひとりのモノじゃないでしょ

イグアナ
「……はい、終了です。
“書いた本人のモノ論”、ここに静かに退場です」


④ カメの長老の「カメ視点(≠神視点)」

その時、広場の隅の岩が、もぞ……と動きました。

カメの長老
「……あ、代表です」

アリクイ
「うわっ、また岩がしゃべった!」

カメの長老
「……今の話、そんなに難しくありません。
村のみんなが使う数字から生まれた発行益なら、まず村のモノです。
『あとで返します約束』についていた保管料も、村の仕組みの上に乗っていたものです。
そして、それを回して増えた分も、元をたどれば村の側に返るのが自然です

ライオン
「じゃあ、そのへん全部……」

シマウマ
「アリクイさんのモノじゃなくて……?」

カメの長老
「……はい。少なくとも、総裁の高級マヨネーズと豪華なマッサージだけで終わってよい話ではありません

アリクイ
「言い方ァ!」

カメの長老
「……ただし。だからといって、次はバクさんが勝手に配ればいい、という話でもありません。“村のモノ”だと分かっただけで、まだ“どうみんなに戻すか”は決まっていないので」

バク
「……うん。そこを雑にやると、また別のアリクイが生まれるだけだね」

アリクイ
「“別のアリクイ”って何!?僕、自然現象みたいに言われてる!?」


⑤ バクの没収と、次回への石

バクは、アリクイの横の小箱と帳面を抱えました。

アリクイ
「えっ、ちょ、ちょっと待って!
それ、僕の“がんばったぶん”も多少は入ってるよ!?」

バク
「……多少なら、プレミアム版のマヨネーズで十分でしょ」

シマウマ
「没収だ……」

ライオン
「没収だね……」

カモ
「一度ちゃんと村で預かった方がよさそうです……」

バク
「とりあえず、これは村で預かるよ。まだ配らない。どうやってみんなに戻すか、ちゃんと決めないと、また変なところに溜まるから」

アリクイ
「うわぁ……。僕のポッケ、急に風通し良くなったぁ……」

カメの長老
「……あ、代表です。村のモノだと分かったのなら、次は“どうやって、誰が見ても納得する形で戻すか”ですね。こっそりやると、だいたいまた面倒ですので……」

バク
「……だね。じゃあ次は、“こっそりできない形”を考えようか」


⑥ エンディング

イグアナは岩の上に、するすると登り直しました。
広場を見下ろして、いつもの少し乾いた声で言います。

イグアナ
「……えー、とんま村、ささやかな家宅捜索の結果をお伝えします。
どうぶつたちが“足りない足りない”と走らされていた、その上の方では、発行のときの取り分、
『あとで返します約束』にくっついた保管料
そして、それをさらに回して増やした運用益が、わりと静かに積み上がっておりました。
……しかも、それらはどうやら、総裁の高級マヨネーズと豪華なマッサージだけに消えてよいお金ではなさそうです。
まずは、村のモノ。ここまでは、どうやら確定した模様です。

ただし問題は、その先です。
“村のモノ”だと分かったからといって、次は別の誰かが気分で配ればいい、という話でもありません
……いやはや。お金というのは、隠し場所が変わるだけでも、すぐ顔つきが悪くなりますねぇ。

……さて次回。
広場には、妙にまぶしい石板が置かれるようです。
どうやらとんま村、“こっそりできない仕組み”の方へ進みはじめる模様です。……それでは、次回もどうぞお楽しみに」


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