#104 マレーシア留学とオーストラリア留学の決定的な違い。我が子に合う国を見極める3つのポイント
先日、子どもの留学先について「マレーシアとオーストラリアで迷っている」というご相談をいただきました。
わが家の長男は12歳の中1(厳密に言うと11歳、小6の3学期)から、単身でオーストラリアの学校に留学しています。周りではあまり例を見ないケースかもしれません。
いま留学先として熱いのが「マレーシア」ですよね。 単身で行かれているお子さんもいるし、母子留学や、家族丸ごと移住という形で渡航されている方も本当によくお見掛けします。
わが家もかつてマレーシアに住んでいた時期があり、長男の留学先としても最初はマレーシアを最有力候補として検討していました。しかし、最終的には本人の「大どんでん返し」によって、オーストラリアへと舵を切った経緯があります。
マレーシアとオーストラリアって、
どうちらも時差も日本と1〜2時間程度だし
フライト時間も1〜2時間しか変わらないよね
最近の円安で、かつて「格安」が売りだったマレーシアの物価や学費も上がってきている…
それならオーストラリアも選択肢に入るかも……!
ご相談をくださった方も、そんな思考回路から、わが家に声をかけてくださったのかもしれません。
マレーシアのインター校見学にも6校ほど行き、現在はオーストラリアの現地校に1年半通わせているわが家の視点からのみになりますが、
私がその時にお話しした結論からお伝えすると、
マレーシア留学とオーストラリア留学は、根本的な仕組みがまったく違うから、教育方針と子の適性による
ということでした。
いったいどんなことが違うのか。
以下で、3つに分けて解説していこうと思います。
⚠️ 最初にお読みください
今回の話は「中学から留学して高校卒業まで6年間滞在する場合」を想定しています(短期留学には当てはまりません)。オーストラリア留学に関しては、私費で「サブクラス500(学生ビザ)」を取得して渡航するケースを前提としています(交換留学や駐在同行は含みません)。どちらの国が優れているかという優劣の話ではなく、あくまで「仕組みの違い」です。ご家庭の教育方針やお子さんの適性と照らし合わせる材料にしていただければ幸いです。
① 学校の仕組みの違い:マレーシアは「インター校」、オーストラリアは「現地校」
◆ マレーシア留学=海外のカリキュラムを学ぶ
マレーシアへの中高留学は、基本的に「インターナショナルスクール(国際学校)」へ通うことになります。
インターナショナルスクールとは、イギリス式やアメリカ式など、本来その国のものではない海外の教育カリキュラムを別の国で履修するための学校です。
つまり、マレーシアという土地を借りて、世界水準(英国式など)のカリキュラムを多国籍な環境で学ぶというスタイルです。そのため、国際バカロレア(IB)などの場合、将来もし別の国へ移動することになっても、同じカリキュラムのままスムーズに学びを継続できるというメリットがあります。
◆ オーストラリア留学=現地の教育にどっぷり浸かる
一方で、オーストラリア留学は基本的に「現地校(ローカルスクール)」に入学します。つまり、地元のオーストラリア人の子どもたちが普段通っている学校のなかに直接飛び込んでいくスタイルです。
もちろん、現地校のなかにもIBコースを提供している学校や、留学生の比率が高い学校は存在しますが、ベースはあくまで「オーストラリアの教育カリキュラム」。そのため学校生活だけでなく、日々の文化や現地の習慣そのものにどっぷりと浸かる環境になります。
② 英語フォローの違い:「学校内の補講」vs「本科に入る前の専門コース」
◆ マレーシアのインター校:通常授業と並行して学内でサポート
マレーシアのインター校では、英語を第一言語としない生徒のために「EAL」や「ESL」と呼ばれる英語フォローの時間が用意されています。
ほとんどの学校では、通常の時間割にある授業のうち何コマか英語サポートの授業に差し替えて、校内で完結させる形(完全なサポートクラスがある学校も)。国際学校である以上、英語を第一言語としない生徒を受け入れて育てるノウハウが学内に組み込まれている印象です。
もちろん学校によってサポートの手厚さに差があり、「ちょっと違った」という話も聞きますが、基本的には学校側のカリキュラムの範囲内で英語を伸ばしていくシステムです。
◆ オーストラリアの現地校:基準に達するまで「HSP」でサバイバル
対するオーストラリアの現地校は、普通のオーストラリア人が通う場所なので、本科の授業に入ってからの英語フォローは必要最低限です。
その代わり本科の授業に参加する前の段階として、「HSP(High School Preparation course)」という、留学生向けの語学学校に所属することになります。 ここで授業に必要な英語力を鍛え上げ、学校が指定する英語スコア(基準)をクリアできたら、ようやく本科のクラスへ。
私立校の場合、キャンパス内に付属のHSPコースを持っている学校(校舎も本科とは違う)もありますが(そういった学校は比較的留学生が多い印象)、学内にない場合は、学校から指定された提携先の語学学校へ通うよう指示されます。
このHSPコースは「半年通えば自動的に本科に上がれる」というようなものではありません。学校側の提示するスコアに届かなければ、期間はどんどん延びていきます。場合によっては「1年間ずっと語学学校のままだった」というケースも。
「中学1年生の丸1年間、学校の授業を受けずに語学学校に通うなんて、貴重な義務教育の期間なのにもったいない」と感じる親御さんもいるでしょう。高校留学の場合も、3年間という限られた時間の最初の1年を語学学習だけに費やすのは、時間の無駄のように思えてしまうかもしれません。
ちなみに、わが家の長男はこのHSP期間をスキップして、最初から直接本科に入ることを目指していました。そのため、渡航前に留学生用の英語試験である「AEAS」を受け、学校が求めるスコアを気合でクリアしたため、HSPには通っていません。
しかし、そうして一歩本科に足を踏み入れると、週2回ほどのEAL(英語サポート)の授業はあるものの、決して手厚いとは言えないのが現実。
学校側のスタンスからは、暗に「試験をパスして本科に入ってきたんだから、もう英語の授業が分からないなんてことはないよね?」という空気感が伝わってきます。
※学校によっては独自の判断でHSPを免除したり、AEASのスコアが不要なところもありますが、すべての学校がそうではないため、今回は長男の通う学校の事例をもとにしています
③ 将来の進路(出口)の違い:「世界へ広がる国際規格」vs「国内メインのオーストラリア規格」
◆ マレーシアのインター校:世界の大学への選択肢とタイムラグのなさ
マレーシアのインター校は、学校によってAレベル(英国式)、IB(国際バカロレア)、AP(アメリカ式)など、バラエティ豊かな世界規格のカリキュラムから選択できます。
これらの成績をきちんと修めることができれば、卒業後は日本への帰国子女受験はもちろん、イギリス、アメリカ、オーストラリアなど、世界中のあらゆる国の大学へと進学できる可能性が広がります。
また、多くの学校がイギリスやアメリカと同じ「8月(9月)始まり」を採用しているため、海外大学へ進学する際に入学時期のタイムラグが少ないのも大きなメリットです。
「子どもに合うのはIBか、それともAレベルか」という悩みは尽きませんが、世界中の多様な進路の選択肢を探れるのがマレーシアの強みです。
◆ オーストラリアの現地校:オーストラリア国内への進学が基本線
オーストラリアの現地校でもIBを選べる学校はありますが、基本的にはオーストラリア独自の教育カリキュラムを履修します。
高校卒業時は、各州の試験結果から算出される「ATAR」という共通スコアをもとにオーストラリア国内の大学の合否が決まるシステムになっているため、卒業生の進路も必然的にオーストラリア国内の大学に進む人が多数。
また進路を日本の大学に切り替える場合や、アメリカ・イギリスの大学を目指す場合、オーストラリアは「1月始まり&11月(12月)終わり」の学期制度のため、他国の「9月入学」や日本の「4月入学」の帰国入試日程とは相性があまり良くないというデメリットがあります。
もちろん、オーストラリアのATARスコアや州の卒業資格は世界的に高い信頼性があるため、海外の大学に留学することが不可能なわけではありません。
決してガラパゴスな世界ではなく、目指そうと思えば道は開かれていますが、環境としては「そのままオーストラリア国内大学を目指す」のが最も敷かれたレールに乗りやすい、ということです。
まとめ

一見すると、「時差が日本とほとんどない」「なんか温かそう」「留学ビジネスがさかん」といった共通点も多いマレーシアとオーストラリア。
しかし、中高という多感な時期に数年間じっくり腰を据えて留学する場合、その「核となる学びの中身(カリキュラム)」と、卒業後の「出口(大学進学ルート)」はまったく異なる性質を持っています。
世界中の大学を見据えて、多国籍なインター環境で世界標準を学ぶ「マレーシア」
英語圏のリアルな社会に飛び込み、現地のローカルコミュニティの一員として揉まれる「オーストラリア」
どちらの国が優れているかという話ではありません。それぞれの仕組みに明確な利点と特徴があります。 大切なのは、お子さん自身のキャラクターや適性、そして「どんな風に生きていきたいか」という将来のビジョンを総合的に擦り合わせ、納得のいく選択をすることだと思います。
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12歳でオーストラリアに単身留学した長男のことを、準備・寮生活・学び・ホリデー&一時帰国に分けて書いています。
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