銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十一話(14) 恋の嫉妬と仕事の妬み
・第一話のスタート版
・第三十話 まとめ読み版① ② (11)(12)(13)
そもそも、レイターは今回、わたしのボディーガードではなく、サブリナのボディーガードだった。
サブリナは無事契約を終えただろうか。
わたしにはバチが当たったんだ。

厄病神の船で出かけて、サブリナの契約がうまくいかなければいい、なんてことを願ったからだ。
アンタレスの神様は、わたしの肩の上で『行いの書』を書き続けている。人の不幸を望んだことへの報いを受けたんだ。
わたしはここで死んでも天国へは行けず、アンタレスの地獄の炎に焼かれ続けるのだ。

故郷の両親の顔が浮かんだ。パパ、ママ、ごめんなさい。
立てこもり犯のワトキンスさんが、イライラしながら通信機の音声スイッチを入れた。
「交渉人、社長とロットリンダはまだか?」
アーサーさんの落ち着いた声がした。
「ワトキンスさん、お待たせして申し訳ございません。社長は出張中のため、到着に時間がかかっているそうです」

今のわたしにできることは、ワトキンスさんとアーサーさんとの交渉を見守ることだけだ。
「ロットリンダはどうした?」
「今、研究所からこちらへ向かっております。ただ、避難命令が出ている中、そちらへ向かわせることには、躊躇がありまして」
「人質がどうなってもいいのか!」
怒声とともに唾が飛んでくる。わたしの身体が固まる。
「いえいえ、とんでもありません。ワトキンスさんは、ロットリンダ研究員に謝罪を求めるということでしたが、まさか、危害を加えるおつもりじゃないですよね」
「そんなことわかるか!」
「・・・」
アーサーさんが黙った。
沈黙が怖い。
ワトキンスさんが怒鳴りだした。

「ロットリンダは、殺されても仕方がないほどのことをしたんだ! わしの実験結果を、命より大切なデータを盗んだ産業スパイなんだ」
知らなかった。
「ワトキンスさんはそのことを、社会に明らかにしたいというお考えでいらっしゃるんですね」
「その通りだ」
「お気持ちはよくわかりました。そのためには、ロットリンダ研究員に、きちんと謝罪させた方がよろしいですよね」
「もちろんだ」
「脅された状況の謝罪では、ワトキンスさんのご主張を証明できなくなってしまいますので、フラットな状態で、謝罪をさせないといけないですね」
「あ、ああ・・・」
「では、ロットリンダ研究員には危害は加えられない、という約束でそちらへ向かうように説得してみます。少々お時間を下さい」
そこで、アーサーさんの通信がいったん切れた。
ワトキンスさんは、口の中でブツブツつぶやき、反論しようとしたけれど、うまく言葉にできないでいた。
* *
アーサーたちが現場を離れ警察署へと移動した後も、レイターはコッペリ社地下一階の警備室に残っていた。
特殊部隊に借りた対刃防弾の戦闘服に着替える。
犯人のワトキンスを刺激させねぇように、防犯システムのスイッチを落としたから、ズラリと並ぶモニターは死んでる。
十五階の状況を把握するため、悪いがティリーさん、盗聴させてもらうぜ。

ティリーさんは携帯通信機をカバンの中に入れている。その通信機に盗聴ソフトを送り付けてリモートで立ち上げる。
つながった。
ティリーさんの通信機のマイクを通して、くぐもったアーサーの声が聞こえた。感度を上げる。
「フラットな状態で、謝罪をさせないといけないですね」
アーサーの奴、訳の分かんねぇこと言って、ワトキンスを言いくるめてやがる。
「では、ロットリンダ研究員には危害は加えられない、という約束でそちらへ向かうように説得してみます。少々お時間を下さい」
ワトキンスとの会話がいったん中断した。 (15)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」