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銀河フェニックス物語<出会い編> 第二十二話(4) 地球人のディナー

第一話のスタート版 
第二十二話(1)(2)(3)(4

 怒ったカノオ君は、ベルを指さしながら言った。
「後で後悔するなよ。俺はお前とは絶対に結婚しない。俺は、俺を見下ろすような女は嫌いなんだ」 
「背が高くて助かったわ」

n45前目笑う2

 笑顔で応じるベルを見て、レイターがぷっと噴き出した。

 今のやりとりって何?
 カノオ君が好きなのは、背の低い女子ってこと?



 地球という星は、青く美しい宝石のようだ。
 修学旅行で一度だけ、来たことがある。あの時は、銀河連邦議事堂を見学した。 

 カノオ君が予約した地球のレストランは、高級街のビルの最上階に入っていた。

 レイターが運転するエアカーから、カノオ君と降りる。

 エアカーの助手席でベルが手を振った。
「じゃあ、ティリー。九時に迎えに来るから、楽しんできてね」
 小さなため息が出た。

n12正面色その2がっかり

 できることならベルと代わって欲しい。


 センスの良い店内。
 窓際の席で、カノオ君と向かい合って座った。
 緊張する。
 何と言っても、地球の高級レストランなのだ。

 きらびやかな夜景が目に染みる。

 現金を十万リル用意してきた。
 事前に検索したところ、この店の平均予算は一人五万リル。

 万一、カノオ君の分まで立て替えることになっても大丈夫なように、大目に準備した。こんなに使うことにはならないと思うけれど。

「この店は、子どもの頃からよく来てるんだ」
 カノオ君が言うのは嘘ではないのだろう。給仕長を呼びつけた。
「おい、裏メニューを言われる前に持ってこい」

n230カノオ怒り

「申し訳ございません」
 自分の家の召使いと間違えているんじゃないだろうか。居心地が悪い。

「ワインはボトルで頼もう」
 とカノオ君が言い出した。
「わたし、そんなに飲めませんから」
 やんわり断る。
「いや、俺は平気だ」

 今度はソムリエを呼びつけた。
「カノオ様、お待ちしておりました」
 カノオ君がテイスティングをする。その様子は慣れていた。
「地球産か、まあまあだな」
「恐れ入ります」

 カノオ君がわたしを見ながら言った。
「俺は、普段から一流の物に触れるよう親父から言われている。本物を見極める目が養えるんだ」

 カノオ君のお父さんは、正しいことを言っていると思う。
 なのに、冗談にしか聞こえない。

 カノオ君と乾杯する。
 このワインが美味しいのかどうか、正直よくわからない。
 カノオ君がウンチクを垂れているから、ありがたい物なのだろう。

 出てきた料理は美味しかった。
 このお店は地球産の食材を使っていると言う。
 初めて食べる味なのに、どこか懐かしい後味。スープをおかわりしたくなった。

 けれど、会話は最悪だった。

 カノオ君は地球で生まれて、わたしも知っている地球の名門校に小学校から入って、大学までエスカレーターで進んで、という自分史を延々と語り出した。

 ベルが想像した通りの自慢話。
「すごいわね」
 と適当に相槌を打つ。

 カノオ君がさらに盛り上がる。

 話は就職活動に差し掛かった。

 白身魚のソテーが運ばれてきた。
「言っておくがティリー、俺の入社はコネじゃない」
「そうなんだ」
 意外な気がした。

「もちろん、クロノスと取引のある親父が、俺のことを事前に社長に話したが、俺は普通に試験を受けて入ったんだ」
 いや、それって絶対、コネ入社でしょ。

「知ってるかティリー、レイターは将軍家のコネでクロノスに入社したんだぞ」
 カノオ君が、勝ち誇ったような顔をした。

18会社員1@大

「知ってるわ」
 その話は本人から聞いたことがある。

「卑怯な奴だな」
 はいはい。ソテーをナイフで切りながら適当にうなづく。

「その上、処分が出て退社になったんだ。最悪だぞ」
「そうね」
 無敗の貴公子をレースで破って社内を騒がせたのよ。って教えてあげようかと思ったけれど、やめておいた。

 レイターに対抗意識を燃やしているカノオ君に、何を話しても面倒なことになりそうだ。     (5)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」