銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (44)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40)
・ 永世中立星の叛乱 (41) (42) (43)
神殿内の構造は俺の頭に入っている。
この奥の隠し小部屋を抜ければ、ほとんど使われないエレベーターがある。
隠し小部屋のドアを開けると奥に人影があった。俺たちに背を向けて端末に向かって作業をしている。
この部屋に人がいるのは想定外だった。
女性か。我々に気がついたようだ。
だが、近衛兵と勘違いしている。このまま通り抜けられるか。
「大変なことが起きているわ」
その声は俺のよく知っている声だった。俺はつい声に出してしまった。
「アドゥール」
「オルダイ! あなた・・・どうして」
* *
オルダイの後ろからレイターは二人のやりとりを見ていた。
王弟秘書のアドゥールさんか。相変わらずお美しい。
元王室近衛隊長のオルダイと知り合いでも不思議じゃねぇな。
「あなたがやったのね? 重力制御装置の管理ができなくなっている。パスワードが書き換えられているわ」
アドゥールさんがオルダイを問い詰める。

「そうだ」
「これが何を意味するか、あなた、わかっているわよね? この星が滅ぶのよ。これは、あなたを止められなかった私の責任ね」
この二人、ただの仕事仲間という関係じゃねぇな。
俺は声を掛けた。
「はぁい、アドゥールさん」
アドゥールさんが驚いた表情で俺を見た。
「あなた、クロノス社のボディーガード?」
「覚えていてくれたかい。うれしいねぇ。悪いが、重力制御装置は今、連邦軍の管理下にある」
「まさか、連邦軍の特命諜報部・・・」
「頭の回転が早い女性って好きだなぁ。ライロットのじいさんから何か聞いてる?」
アドゥールさんの白い肌がさらに青ざめた。
「オルダイ、この人たちがラールシータをめちゃくちゃにしようとしているのよ」
「おいおい、ライロットに何を吹き込まれたか知らねぇが、そっちが先に連邦軍の機密を盗んでおいてそれはねぇぜ」

アドゥールさんが唇をかんだ。困った表情もきれいだ。
「ラールゼットを破壊したのもあなたたちなのね」
アーサーたちはうまくやったようだな。
「でも、もう遅いわ。アリオロン同盟への加盟を円卓会議は決議したのよ」
「知っている」
オルダイが言った。
「この決議によってあなたたち反王室グループが求めている望みが叶うのよ」
「どういうことだ?」
「アリオロンによる資金援助で一律税の導入を廃止するの」
「なんだと?」
オルダイが動揺している。
ライロットのやることは抜かりがねぇな。
「ラールの民のためにアリオロンと手を握ったのよ」
「この星の自主自立と中立の伝統はどうなる」
「私だってやりたくてやった訳じゃないわ。では聞くけれど、ほかに手はあるの。あなたたちは一律税に反対と言っているけれど、この星を立てなおすための財源はどうするのよ。銀河連邦に入ったら何かしてもらえると言うの」
「・・・・・・」
「あなたは重力制御の管理権を握って事態を混乱させようとしているだけだわ」
オルダイは反論せず、アドゥールさんに背を向けて歩き出した。
「レイター、この先のエレベーターで外へ出る」
俺はオルダイの後に続いた。さて、どうするか。 (45)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」