銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (45)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40)
・ (41) (42) (43) (44)
宇宙空港の西ゲートはタラ行きの臨時便に乗ろうという人であふれ返っていた。
「これは手続きを早くしないと乗れなくなるぞ、急ごうティリー君」
フレッド先輩が人ごみをかき分けて進んでいく。はぐれないようについていくので必死だ。
こんなに大勢の人が乗れるわけがない。搭乗カウンターにたどり着けるのかすら不安だ。
と、その時、人の波に押されバランスを崩した。
「きゃあ」

倒れる、と思った瞬間。誰かがわたしの腕をつかんだ。
レイターの顔が一瞬浮かんだ。
違う。知らない青年だった。
「大丈夫ですか?」
「ありがとうございます」
学生さんのようだ。左腕に赤い腕章をしている。
その後ろに同じように腕章をした五人程度の若者が立っていた。
「クロノス社のフレッドさんとティリーさんですね、こちらへどうぞ。安全な場所までご案内します」
どうしてわたしたちのことを知っているのだろう。学生運動のグループに知り合いなんていない。
「いやあ、助かります」
フレッド先輩が若者について歩き出した。わたしも後に続く。
彼の案内で簡単に制限区域へ入ることができた。
反王室派と学生運動グループが連携していた。
落ち着いたところで彼に声をかけた。
「あの、どうしてわたしたちのことを知っていらっしゃるんですか?」
「申し遅れました。私はガーディア社の技師長ガロンの弟でマイヤと言います。学生自警団のリーダーをつとめています」

「ガロン技師長の・・・」
技師長が弟さんのことを心配していたことを思い出した。無事だったんだ。よかった。
「フレッドさん、あなたは兄の命の恩人と聞きました」
「ええ」
フレッド先輩がうなずいている。
「私もあの現場にいたのですが、自分のことで精一杯で兄を救えませんでした。ほんとうにありがとうございました」
マイヤさんが頭を下げる。
「人として当然のことをしたまでですよ」
「いや、あの状態でなかなかできることではありません。非常時にどういう行動をとるかで人間としての幅や器の大きさがわかるというものです」
マイヤさんの言葉が重たい。
わたしは逃げる事しか考えられなかった。
でも、レイターは・・・。

「本当に尊敬いたします。お役に立てることがあったら何でも言ってください」
マイヤさんの言葉に即フレッド先輩が応じた。
「ありがとうございます。さっそくで恐縮なのですが、我々をタラ行きの臨時便に乗せてもらえるよう交渉をお願いできませんでしょうか」
「わかりました。すぐ手配します」
何だか、落ち着かない。
「先輩。ガロンさんを助けたのはレイ・・」
わたしの言葉をさえぎって先輩は小さな声で言った。
「僕たちも彼を置いていかずに待っていたじゃないか。同じだよ」
納得いかないわたしに先輩は続けた。
「こうした縁は将来の仕事にも役立ってくるから、大切にしたほうがいいんだよ。しかもこれなら臨時便に乗れるぞ。人助けはするもんだよね」
「・・・・・・」
先輩に返す言葉が見つからなかった。 (46)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」