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銀河フェニックス物語 <恋愛編>  第八話 雪が生まれる場所で(4)

銀河フェニックス物語 総目次
第八話 雪の生まれる場所で (1) (2) (3)
<恋愛編マガジン>

「現在流行しているウイルスはおそらく実験段階の不完全体だ」
「不完全体?」
「ウイルスの遺伝子情報を解析したところ完全体の強毒性であればヒトは感染から四十八時間で死亡する。そして、完全体へ変異させるのはそれほど困難ではない」
 背筋に寒いものが走った。天才の頭ん中では強毒性ウイルスの製造法がわかっているっていうことだ。
「テロかよ?」

「証拠は無い。感染ルートは掴めていない」
「薬はどうなってんだ?」
「連邦研究所で抗体の検出を急いでいるがまだ見つかっていない。つまり今のところ治療薬はない。だが通常のウイルス性感染症と同じように細胞洗浄装置にかければ治療は可能だ」
 細胞洗浄装置はフェニックス号に積んである。もし、ティリーさんが強毒性ウイルスに感染しても命に関わることなく済む。だが……
「こんな田舎星に細胞洗浄装置ってあるのかよ」
 かなりの高度医療機器だ。俺は将軍家の中古をもらって修理したが、地方じゃ病院に一台あるかどうかだ。
「ロヤ星の大統領が、連邦通じて各星系に洗浄装置の提供をかけあっているところだ。と言っても、実際に大流行が発生していない段階では、強制力を持って回収できない。とりあえず、ジェームズに頼んでつてのある星系からかき集めてもらっているが」
 細胞洗浄装置は他の星系でも必需品だ。簡単に融通してくれるとは思えねぇな。
「今、強毒性ウイルスがばらまかれたらどうなる?」
「住民の九割が死亡し、七十二時間で星としての機能を失う」
「マジかよ。一体誰がやってんだ?」
「それを見つけるのがお前の任務だ」
「……」
 めんどくさい仕事をふってきやがって。
「そいつらの目的は?」
「ロヤ星の崩壊」
「こんな小さな星を崩壊させてどうしようってんだ? 恨みでもあるのか」
「小さいが連邦加盟星系だ。崩壊となれば各所に影響はでる」
「じゃあ、銀河中から細胞洗浄装置を集めろよ」
「ロヤ星は小さく、崩壊したとしても連邦の政治や経済圏に影響を与えない。費用対効果を考えると、ロヤ星を切り捨てるという選択肢もあるということだ」
「ちっ、胸くその悪くなる話だ」

**

 相変わらずアマンダは有能だ。仕事が想定以上に早く終わった。ブリ・アルについて本社の研究所と直接やりとりしてもらったら、引き継ぐことはほとんどなかった。

「ねえ、夕ご飯を一緒にどこかで食べない? 厄病神もついてきちゃうけど」

 久しぶりにアマンダと話がしたくて誘ってみた。
 ソラ系にいた頃、アマンダと食事をする機会は少なかった。彼女はいつも仕事で忙しそうにしていたからだ。でも、きょうはアマンダのおかげで仕事が終わったし、積もる話もいろいろある。
(5)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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