銀河フェニックス物語<出会い編> 第二十四話(4) 展覧会へようこそ
・第一話のスタート版
・第二十四話(1)(2)(3)
会社のお昼休み。
ティリーは同期の女子三人で、ランチを食べていた。

「アレンカトゥーナ展覧会へ行かない?」
チャムールがわたしとベルを誘った。
「アーサーからチケットをもらったのよ。会場でレイターが警備しているんですって」
最近、レイターの姿を見ないと思ったら、そんなところで働いていたんだ。
あんな有名な展覧会に、厄病神が出てきたら大変だろうな。

「楽しそうじゃん。行こうよ。興味あったんだ」
ベルの反応が意外だ。
「ベルって美術が好きだったの?」
「ミュージアムショップが充実してるんだってさ。情報ネットで見た『永遠の輪と悲しみ』の、レプリカのペンダントが欲しいんだよね」
ベルは買い物が趣味だ。納得する。
「ナリエリ星系の秘宝ね。『永遠の輪と悲しみ』が星系の外へ持ち出されたのは初めてだから、話題になってるわ」
とチャムール。
ニュースでは展覧会に長蛇の列ができていると伝えていた。
「すごく、混んでるんでしょ」

「並ぶのは嫌よ。ショップだけ行きたいな」
チャムールがのんびりと提案した。
「週末は避けて、平日の会社帰りはどう? 午後十時まで開館しているのよ」
「それならいいかも」
会社帰りに、三人で美術館へ出かけることになった。
*
週末ほどではないけれど、平日の夜も結構人出は多かった。
アレンカトゥーナ展覧会は『宇宙は一つ』を謳うだけあって、各星系の名画や彫刻が一堂に集められている。
ふるさとのアンタレスの作品も出品されている。
ソラ系は銀河中から人が集まっている。
祖国の作品に触れたい、という人もたくさんいるのだろう。
展示作品の数も多い。
入り口でもらったデジタルパンフレットに載っている順路に沿って、見始めたのだけれど、とにかく会場が広すぎる。
「チャムール、どれ見ればいいの?」
あまりの多さに、ベルがぼやいている。
「好きなものを見ればいいのよ、どれも素晴らしい著名な作品なんだから」

おそらくは、それぞれの星系で教科書に載るような作品なのだろう。
けれど、気がつくと、絵の下に書かれているタイトルばかり確認していた。
あ、このタイトル知ってる。有名だ。ちゃんと観よう。
といった感じ。
頭の中が芸術品で飽和状態を起こしていた。
噛み切れていないのに、次のお肉を口に入れてしまったようだ。
*
会場中程にあるアリオロンの展示室は、順番待ちになっていた。通路で待つ。
「げっ、すごい列じゃん」

嫌そうな顔をするベルを、チャムールが諭す。
「連邦と戦争中のアリオロンの絵画なんて、次はいつ観られるかわからないのよ」
手にしたデジタルパンフレットを見る。
表紙には『山河の春』というアリオロンの風景画が使われている。
『宇宙は一つ』と書かれた題字が、一際目立って点滅していた。
チャムールが続けた。
「それに、ここの展示室にレイターがいるんですって」
「じゃあ、ちゃんと働いてるのかチェックしなくちゃ」
ベルの声が明るくなった。
「そうね」
わたしは相槌を打った。
もちろんアリオロンの絵画を見に来たのだけれど、警備中のレイターにもちょっと興味がある。 (5)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」