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銀河フェニックス物語<出会い編> 第二十八話(6) 放蕩息子と孝行息子

第一話のスタート版 
第二十八話(1)(2)(3)(4)(5
第二十八話のまとめ読み版

 画面に映ったエースが子供っぽい。

「若いわぁ」
「エースが十八ん時だからな」

n62エース18歳正面線画@

「でも、やっぱりかっこいい!」

 ああ、ドキドキしちゃう。

 第一レーサーが突如出られなくなり、デビュー前のエースが代理で出場したのだ。
 そして、優勝。
 エースが一躍有名となった伝説の一戦。

 やっと全編見ることができる。

 船がスタートした。

「まだまだ甘いなあ」
 レイターがつぶやいた。
「うわっ、旋回もゆるゆるだ。これで史上最速、ってレベルが低すぎるぞ」
 例の罵倒が始まった。 

「ちょっとレイター、人が気持ちよく見てるんだから、静かにしてくれない」
 エースの文句を言われると腹が立ってくる。

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「そう言うけどさ」
 レイターは映像を止めてカーブのポイント点を指で指した。
「俺ならここまで詰められるぜ」
 レイターの指摘はわかった。

 でも関係ない。
「しょうがないじゃない、初レースなんだから!」
「ったく、あんたほんとにエースが好きなんだな」
 あきれたようにレイターは肩をすくめた。

「そうよ、わたしは彼に憧れてクロノスに入ったんだから」
「そこについては、俺もエースに感謝してんだ。おかげでティリーさんに会えたからな」
 それだけ言うと、もうレイターは何も言わなかった。

 わたしはエースのレースを満喫した。

「ほれ」
 レイターがわたしに薄いディスクを投げた。
「コピーだ」
「もらっていいの?」
「十万リル」
「えええーっ」
 思わずわたしは大声をあげた。

「ったく本気にするなよ、やるよ。でも、あんたなら十万でも払ってくれたかもしれねぇな」
「あ、ありがとう」
 わたしはディスクを抱きしめた。十万は高い。でも、エースのためなら払ったかも。


 S1プライムという宇宙船レースが開催された際、わたしはエース本人の付き人の仕事をした

n61エース逆@真面目

 本物のエースはテレビで見ていたイメージと全く同じ、というわけではなかった。

 さらに『無敗の貴公子』が実は負けたことがあったことも知った。
 しかも、その相手がこのレイターだということも。

 それでも、エースがわたしの憧れであることに変わりはない。
 好き、という気持ちは続いている。

 きっと、レイターもそうなのだ。

「レイターは、フローラさんのことが今も好きなのね」
 と、口にした瞬間、レイターは黙り込んでしまった。

 聞いてまずかっただろうか、この間のフェニックス号と似た空気が漂う。沈黙が息苦しい。

 ポツリとレイターが言った。
「あいつのこと、嫌いになりようがねぇし・・・」

 亡くなった人は美しい思い出のまま、記憶に保存される。

n200フローラ笑顔カラー

 新たな情報が上書きされることもない。

 レイターは言葉を選ぶようにして続けた。
「俺以外みんな、フローラとの結婚式をままごとだと思ってた。でも、俺はあの時、真剣に宇宙の神様に誓ったんだ。『一生、フローラを愛します』ってな」
 一生、というのはいつまでを指すのだろう。

「俺は『銀河一の操縦士』になって、あいつを宇宙へ連れてってやる、って約束したのに果たせなかった」

ピアノ@緩ネクタイ真面目

 レイターの言葉からフローラさんへの愛が伝わってきた。
 
 その横顔を見ていると、胸が締め付けられるように苦しくなった。
 悲しい話だから、レイターに同情しているのだろうか。

 いや、何かが違う。怒りとも苛立ちともつかない、嫌な気持ち。
 どうしたんだろう。わたし?   

「その点、ティリーさんはいいよな」
 レイターは振り返ると、にやっと笑った。  

 いつものレイターに戻っていた。
「『銀河一の操縦士』の船でいつでも宇宙を飛べるんだぜ、幸せもんだよなぁ」
「わたしは関係ないでしょ!」
 つい声を荒げた。    最終回へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」