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2025年間ベストいろいろ


ベストアルバム

10. Addison - Addison Rae
9. MUSIC - Playboi Carti
8. Marty Supreme (Original Soundtrack) - Daniel Lopatin
7. caroline 2 - caroline
6. Baby - Dijon
5. LUX - ROSALÍA
4. DeBÍ TiRAR MáS FOToS - Bad Bunny
3. Vanisher, Horizon Scraper - Quadeca
2. Gen - 星野源
1. Prema - 藤井風

昨年の大晦日に星野源が死んだ眼で「世界は ひとつじゃない」「本物はあなた わたしも本物」と歌った時点で、すでに2025年のムードは決定づけられていた。星街すいせいよろしく、社会が「もうどうなってもいいや」的な諦念で溢れかえった2025年に、私の印象に残ったアルバムを10枚選びました。大まかな選出基準は、「私が好んで聴いたか」「2025年の空気感を捉えているか(世界と日本)」「ポップであるか」です。

米タイム誌が「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に「AIの設計者たち」を選んだように、今年は一般市民も実感できるほどのテクノロジーの転換年。そこで問われた身体性の有無は、ポスト・インターネットというテーゼのもとで、さまざまな音楽に表れた。

たとえば、Jane Remover(『Revengeseekerz』)やKmoe(『K1』)、Kuru(『Stay true forever』)らを擁するレーベル deadair に代表され、特に Charli xcx『BRAT』以降のポスト・ハイパー・ポップを牽引するデジコアの作品や、インターネットと同化するダンス・ミュージックの Ninajirachi『I Love My Computer』、デジタルでもリアルでもないその先の深淵が顔を覗かせるようなゴス・ドローンの Ethel Cain『Perverts』など。私はこれらの作品を、インターネットの向こう側(知らない世界の向こう側)から流れ出る音楽として、同じカテゴリーで聴いていた。

Playboi Carti『MUSIC』もそうだ。『Die Lit』のアートワークでバク宙(人間の身体運動)をし、『Whole Lotta Red』で吸血鬼(非人間)になった彼は、2025年についにデジタルの2進数となり、「音楽」という概念そのものになった。『MUSIC』のあのザラついたサウンドがインターネット(=無限に張り巡らされた情報網)に溶け込み、その特性ゆえにどこにでもアクセスできる拡散可能性を彼は得た。そう、彼はポスト・インターネット時代の Dr. マンハッタンになったのだ。

Daniel Lopatin(aka Oneohtrix Point Never)の『Tranquilizer』はデジタル・フォークであり、私は一足先に先行上映で観れた映画『Marty Supreme』で彼が手がけたサウンドトラックも、主人公の生き様を描くフォークになっていた。同映画は50年代と80年代のポップスを劇中歌として使い分けていて、アナログの50年代とデジタルの80年代の揺らぎがあるからこそ余計に、主演 Timothee Chalamet の身体演技が強烈に映った。懸命に生きる最低な男に捧げられたデジタル・フォークは、つまり現実を生きる現代の我々にも捧げられている。

ポスト・インターネットとフォークの交わるところに、Quadeca『Vanisher, Horizon Scraper』はあった。元 YouTuber ということもあってインターネットとの親和性が高いのはもちろんだが、このアルバムはその先の景色を描いている。詳しくは他記事を参考にしていただきたいが、まるで天地が深く息するような、大きなうねり。海が割れ、風が吹き抜け、空が広がる。この啓示を受けたような感覚こそ、ポスト・インターネットに並ぶもうひとつの大事な軸になる。

貧しいや不安なとき人は信仰にすがると言うが、おそらくそうだと思う。『Vanisher, Horizon Scraper』は、宗教的としか言い表せない光景をダイナミックに音像化していた。ROSALÍA『LUX』も信仰と啓示のアルバム。インテリ音楽家による、ハイカルチャーな音楽作品。ヒップホップがメインストリームから撤退したこともあって、今年はその傾向が顕著だった。新しいフェーズに入った Bon Iver『SABLE, fABLE』をそこに含めてもいいだろう。

日本国内の信仰で言えば、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』、『国宝』、日本人ファースト、奈良の鹿、労働問題、外交問題などを通して、日本という国の輪郭が再度問われた年だった。日本の文化や宗教観、政治を通していろんな人がいろんなことに氣づいた。推し活市場は膨れ上がり、誰もが自分の推し(≒神様)を見つける時代が到来。Mrs. GREEN APPLE は2025年の紅白歌合戦のトリで、仏教と生死についての曲「GOOD DAY」を歌うらしい。日本はこんな変な国であり、グローバルとは異なる形で、日本は特有の信仰文化が今また花開いている。

そこに、独自のスピリチュアル観をもった藤井風が登場した。己の宗教観とスタイルを貫いたポップスはこんなにも端正で美しいのかと、私も氣づいた。かつて「あんたとこのままオサラバするよか 死ぬのがいいわ」と歌っていた彼は、今年「今は死ぬ時じゃない、生きなければ(Now is not the time to die, I must be alive)」と歌った。死が冗談にならず、スカした冷笑はすでに機能停止。『もののけ姫』がリバイバルヒットした今年、「生きろ。」というキャッチコピーが強く響いた。

信仰と言いつつ、実際に人は何を信じるのか。私は、未来である。明日も生きるための命である。100年後にも世界を残すための新しい命である。ただし、命と希望はイコールではない。命は続いていくと信じることが希望なのである。星野源『Gen』に唯一込められた細やかな希望は、わからない中で右往左往しながらもとりあえず生きて、とりあえず信じてみることであった。

未来はますます予想不可能になって、相対的に現状認識の重要さが増した。過去から学びつつ、いかに今を生きられるか。とはいえ人は後悔もしてしまうもので、Bad Bunny は「君といるときにもっと写真を撮っておけばよかった(Debí tirar más fotos de cuando te tuve)」とも歌った。インターネットの向こう側、世界の向こう側も大事だが、何よりも今近くにいる人を思いやること。HANAが「未来のことなんて 今だけは言わないで」と、一夏の恋を噛み締めていたように。

2025年のベストソング29曲(+特別枠1曲)も選んでSpotifyのプレイリストにしたので併せてどうぞ。


ベスト映画

10. メガロポリス (フランシス・フォード・コッポラ監督)
9. 劇場版 チェンソーマン レゼ篇(𠮷原達矢監督)
8. ブルータリスト(ブラディ・コーベット監督)
7. エディントンへようこそ(アリ・アスター監督)
6. 旅と日々(三宅唱監督)
5. 罪人たち(ライアン・クーグラー監督)
4. F1®/エフワン(ジョセフ・コシンスキー監督)
3. アフター・ザ・ハント(ルカ・グァダニーノ監督)
2. ワン・バトル・アフター・アナザー(ポール・T・アンダーソン監督)
1. 名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(ジェームズ・マンゴールド監督)


ベストTVシリーズ

3. 機動戦士Gundam GQuuuuuuX
2. Pluribus
1. The Bear(Season 4)

ベストnote

・【COLUMN】Mk.geeはギターのトレンドを変えた。だが、彼しかそれを持っていない。(hiwatt氏)


・クソリプを減らす方法を大正時代に見つけた話(谷頭和希氏)


・福山雅治でいいのか
(紫藤春香(はるちん)氏)


ベストライブ

5. caroline @ WWW X
4. KATSEYE @ SUMMER SONIC TOKYO
3. 星野源(MAD HOPE)@ 愛知 SKY EXPO
2. J Balvin @ SUMMER SONIC TOKYO
1. Fred again.. @ 立川ステージガーデン

Fred againはあんまり好きでもなかったので特に期待もせず観に行ったら、泣いて帰ってきました。啓示。祈り。一人で来ていた右斜め前のお姉さんが、軽く踊りながら泣いていました。それを見て私も泣いていました。

Fred again.. @立川ステージガーデン


ベストPodcast

コンテンツ過剰接続(私はこーへ氏&キムラ氏)
『#18 & 19 特集:あのちゃん「ミスiDと『ちゅ、多様性。』」 』

複数の事象を横断して語ることで、とても重要で大きな話をすることに成功されています。一人で細々とポッドキャストを始めた身としては、心が折れるくらいにすごいことをやられているので、ぜひ。

ベストYouTube

「東浩紀無料雑談#8あるいは13 今回は選挙特番ないので雑談、あるいは日本の雑種性について」(ゲンロン【公式】)

「というわけで、今日は無でやっていきます」「無だよ、すべてがな」「無って言えば排外主義ですよね」から始まり、最後は「子供が生まれることの素晴らしさ」を語って終わる神回。5時間弱ありますが。


ベストパーソン

文芸評論家・三宅香帆

↓ 文句なしです。noteも書きました。


ベスト本

今年は小説、新書、文芸書含めて新刊を全く読めなかったので、今年読んで印象的だった旧作を一冊だけ。

『Hマートで泣きながら』ミシェル・ザウナー著(雨海弘美訳)


ベスト飯

・らーめん ぶん治(JR日野駅)

・先輩がプレゼントしてくれた和牛3種食べ比べセット(幸せの味した)
・数年ぶりに食べたシナボンのシナモンロール(悪魔の味した)

ベスト演劇

ダウ90000 第7回演劇公演「ロマンス」

↓ レビュー/感想はこちらのnoteで書きました。


ベスト鑑賞

佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)@ 横浜美術館

↓ 私のポッドキャスト「M-1から一人喋りポッドキャストを考える」回でも、佐藤雅彦展で感動したポイントについて話しています。



最後までありがとうございました!

みなさん、今年もよく生きました。
来年もちゃんと生きてね!

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いとう アマチュアのnoteは全部赤字です

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