#創作大賞、読むぞ 宣言⑨『高級寿司と小説『方舟』に共通する“あえて目立たせない美学”について。』 神崎さやかさん
とても読ませるエッセイを書く人だと思いました。
高級寿司と小説『方舟』に共通する“あえて目立たせない美学”について。 神崎さやかさん
結婚20周年のお祝いに娘さんを連れて、人生初の回らない寿司屋さんへ。
しかも旦那さんの奢りで。
生まれて初めてのイベントに思いは千々に乱れて、いろいろと緊張する作者の様子を微笑ましく読み始めました。
情景がいちいち目に浮かぶのは、実際に作者が見たものの切り取り方が上手いからです。
さらにそれを表す言葉の選び方と組み合わせ、見たものと感じたことを語る順番、文章の長短、硬軟、改行のバランスが良いからだと思いました。
エントリーを見たら、フードエッセイ部門とありました。エッセイ部門とは別なんですね。
美味しい寿司を食べながら『方舟』のことに思いを巡らすなんて、小説好きには至福の時間です。
でもまさかあの名作ミステリーの話題をフードエッセイに持ってくるとは驚きました。グルメな人もミステリー好きもニヤリとするでしょう。
私はエッセイにも何かしらオチや発見を求めてしまうのですが、この作品では『方舟』がそれでした。
神崎さん、自由ですね。それともエッセイの構成上の効果を計算してのことなのでしょうか。
確かに『方舟』の話が家族の話に挟まれているから、このエッセイに奥行きと読み応えが生まれたのだと思います。
あえて目立たなくても幸せ、そんなことも、うっすら感じました。
もう一つ、数年前に書かれたエッセイです。
40歳を過ぎると「子ども産みませんか?」と細胞が語りかけてくる。
タイトルが気になって読んだのですが、こちらもやはり家族の情景がまざまざと目に浮かんできました。
冒頭の子どもや赤ちゃんの描写が可愛すぎて、ついコメントをしてました。
このエッセイ、思わず見入ってしまいました。読んだというより見入った感じです。私も最近初孫ができて頭の中に孫が浮かぶのです。とても実感が湧くエッセイでした。
「10代から20代くらいの子が、ごはんを食べている姿を見るのが好きになったのだ。」
なんとなくですが、わかりました。女性ならもっと実感が湧くのでしょう。
こういうきれいな感性を持ち合わせていて、それを巧みな文章にすると優れたエッセイができあがるのだなと思います。
今回紹介した二つのエッセイの間には、さまざまなことがあったようです。家族と一緒に乗り越えた神崎さん、これからも楽しいエッセイを書いてもらいたいと思いました。
書くことは救いであり、書き続けることは癒やしではないかと思うのです。
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こちらは別の方のフードエッセイです。
スーパーのそうめんぜんぶ茹でて一番最高の夏をキメる。野やぎさん
野やぎさんは以前の創作大賞でも、良い作品を書く人だなと思いました。
今回もとても楽しく読みました。こういうのりが大好きです。
以上、【#創作大賞、読むぞ 宣言】 9週目でした。また来週末に。
