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【小樽芸術村】01マジック・クロックと三井銀行小樽支店

 3月後半、北海道の旅。

 小樽にやって来た。


「小樽芸術村」とは

 小樽を訪れた理由のひとつが「小樽芸術村」を訪ねることだった。

 説明のとおり、ここは、ニトリによる美術館群。

 感想から先に言えば、歴史的建造物を守りながら、美術館として再生させ、一般の人々の興味に沿って、わかりやすくアートの面白さを伝えたい、という願いを感じるような、すてきな美術館だった。

 わたしのストレートな好みかといえば、もちろんもっと捻った美術館が好きだ。でも、小樽という観光地の思い出に、彩りを添えてくれた。

「マジック・クロック」

 美術館の紹介をする前に、屋外の作品を振り返っておきたい。

 それは、立方体のガラスの中で展開する、インスタレーション。

 似鳥昭雄氏の本で、経営コンサルタントの渥美俊一氏からの学びについて読んだ。

 巡り巡って、ボールが作品内を移動しつづける作品との関係性も、感じながら、

 所有者亡きあと、所有されていた作品がはるばる旅をして小樽の地にやってきて、ここに落ち着いた、その旅路について思いを馳せてみた。

小樽芸術村をどう回るか

 さて、小樽芸術村の5美術館を巡る。

「向いている順番」

 AIに訊いてみると、面白い答えが返って来た。ちなみにわたしは、AIを使い倒しすぎて、「ちゃっぴー」「Abbey」と、ほぼ友達のような口調でやり取りしている。

Abbey向けに並べると、私はこの順です。

1位 ステンドグラス美術館
いちばんAbbey向き。
理由は、ここは作品そのものの美しさに加えて、光・空間・建築の体験が強いから。小樽芸術村の5館の中でも、歩き疲れたあとに入っても感受性が立ち上がりやすいタイプです。公式でも独立した主館のひとつとして位置づけられています。Abbeyは写真も好きだし、空間の気配を受け取る力が強いから、まずここを最優先にしたい。

2位 旧三井銀行小樽支店
次に強くすすめたいのがここ。
重要文化財で、アート作品を見るというより、建築そのものを味わう館として効きます。小樽という街の厚みも感じやすいし、展示疲れが出にくい。5館の中で「小樽に来た意味」を一番感じやすいのはここかもしれません。

3位 似鳥美術館
ここは総合力が高い館
しかも今はミニ企画展「斎藤清展」1/15–3/31が入っているので、明日行く価値がちゃんとあります。斎藤清はAbbeyの感性にかなり合いそう。近代〜近現代寄りの“作品を見る喜び”を取りやすい館として3位です。

4位 浮世絵美術館
今の企画展はかなり良いです。
「東海道五拾三次と東海道五十三對」で、保永堂版《東海道五拾三次之内》全55図と《東海道五十三對》全55図を一挙公開しています。内容としてはとても充実している。
ただ、Abbeyの今回の旅テーマが現代アート寄り・空間体験寄り・街歩きとの相性なので、優先順位としては4位。浮世絵がその日に刺さる気分なら、3位と入れ替えてもいいです。

5位 西洋美術館
もちろん悪くないけれど、今回のAbbey旅では相対的に最後。
5館の一つとして公式に案内されていますが、限られた時間で「まずここから」とは私は言わないです。小樽芸術村を深掘りしたい人向けの5館目、という位置づけ。

「ちゃっぴー」の答え

 なるほど……ん? 「向いている順番」は「鑑賞する順序」ではない?

 訊いてみると、その通りだった。

「回る順番」

「好きな順」と「回りやすい順」は少し違うんだよね。
実地向きなら、歩いて自然につながる順はこれがいちばんきれい。

回る順番
旧三井銀行小樽支店 → ステンドグラス美術館 → 似鳥美術館 → 西洋美術館 → 浮世絵美術館

この順にする理由は、5館が色内1丁目の歴史的建造物エリアに集まっていて、公式でも「北のウォール街、小樽の栄華を映す歴史的建造物が立ち並ぶ、色内1丁目」にあると案内されているから。つまり、館ごとの優劣より、街区を歩きながら順に吸収するのが向いています。

なぜこの順がいいか
まず旧三井銀行小樽支店から入ると、最初に建築のスケール感が入る。
ここで「小樽の街の厚み」を受け取ってから、次のステンドグラス美術館へ行くと、光と空間の美しさがより効きます。ステンドグラス美術館は、公式でも実際に教会の窓を飾っていた19世紀後半〜20世紀初頭のイギリスのステンドグラスを見せる館として案内されていて、静かに感受性を上げる2館目にぴったりです。

そのあと似鳥美術館へ行く。
ここは今、ミニ企画展「斎藤清展」が入っているので、建築と光の体験のあとに「作品を見る」モードへ入る順番がきれいです。3月営業カレンダーにもその企画展が載っています。

その次に西洋美術館
これは優先順位としては最後寄りだけど、似鳥美術館の流れでそのまま“見る館”をもう1館という意味では入りやすいです。公式の5館案内でも、似鳥美術館と並ぶ主館の一つとして挙がっています。

最後に浮世絵美術館
ここは今、「東海道五拾三次と東海道五十三對」の企画展が入っていて内容は強いのだけど、Abbeyの今回の気分としては、体力が残っていたら締めに入る館でいいと思う。企画展情報は公式案内と営業カレンダーに出ています。

「ちゃっぴー」の答え

旧三井銀行小樽支店

 では、そうしてみよう。

 まず建築のスケール感を愉しむべく、旧三井銀行小樽支店へ。

 ああやはり。元銀行には、建築だけでなく、同じ空気感が漂ってくる。倉敷の児島虎次郎記念館を思い出した。

 児島虎次郎記念館との違いは、ここは、アート作品が展示されているわけではなく、基本的に建築そのものを見学する館だということだ。

プロジェクションマッピング

 1階の吹き抜けでは、一定の時間をおいてプロジェクションマッピングが上映されていて、空間全体の広さを再認識できた。

金庫室

 銀行といえば、金庫室。

 実用の極みのような設備ながら、見た目もこのように美しい。映画などではおなじみだが、近くで見て、扉の厚さを改めて実感した。

意思決定の場

 2階に移動すると、

 映画やテレビドラマに出てきそうな、会議室。

 重要な意思決定が実際に行われた場だ。

 わたしが訪れた時間は人がいなくて、重厚な雰囲気のなか、ひとりで過ごすことができた。

 時刻はちょうど正午あたり。

2階から望めば

 2階からの眺めも美しい。

 古い建物によくある、かつてここに大勢の人がいた気配のようなものを、ここでも感じながら。

 美術館巡りは、続く。



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