お客さまの声を集めた!! どう分析すれば理解につながるのか検証してみた
前回まで、
「なぜ、お客さまの声が必要になるのか」
そして、
「お客さまの声を、どう集めるのか」
について考えてきました。
アンケート。
インタビュー。
SNS。
レビュー。
そして、コールセンター。
お客さまとの接点は、たくさんあります。
そして、実際に声も集まります。
では、
集めたお客さまの声を、理解していますか ?
理解するために、どう分析していますか?
お客さまの声を集めた後、まず何をしていますか?
例えば、100件のお客さまの声が集まったとします。
Excelに入力して、
「この意見が30件」
「この意見が20件」
「この意見が15件」
と分類する。
そして、グラフにする。
これは、とても大切なことです。
何が多いのか。
どんな傾向があるのか。
数字で見ることができます。
でも、
ここで一つ、気になることがあります。
「一番多かった声が分かった」ことと、
「なぜお客さまがそう感じたのかを理解した」ことは、同じなのでしょうか?
「多かった声」と「本当に理解したこと」は違う
例えば、
「商品が分かりにくい」
という声が30件あったとします。
グラフを見れば、
「商品が分かりにくいという声が多い」
ことは分かります。
では、
なぜ分かりにくかったのでしょうか?
説明が足りなかったのでしょうか。
Webサイトの構成でしょうか。
商品の種類が多すぎたのでしょうか。
お客さまが期待していた情報と、企業が提供していた情報が違ったのでしょうか。
あるいは、
そもそもお客さまが商品を選ぶときに重視している価値そのものを、企業が理解できていなかったのでしょうか。
ここまで考え始めると、
単純な集計だけでは足りなくなります。
三層VOCで「声」の中身を見ていく
私は、お客さまの声を考えるとき、
三層VOC
という考え方で整理しています。
A層 状況・出来事
「何が起きたのか」
例えば、
「商品が分かりにくかった」
「返品したい」
「説明が見つからなかった」
といった、目に見える出来事です。
B層 意味・背景
「なぜ、そう感じたのか」
「何が困ったのか」
「その出来事を、お客さまはどう受け止めたのか」
を見ていきます。
C2層 価値観・動機
「そのお客さまは、何を大切にしていたのか」
「本当は何を実現したかったのか」
「何を期待していたのか」
まで見ていきます。
例えば、
「返品したい」
という言葉だけなら、
返品手続きを案内して終わるかもしれません。
でも、
「なぜ返品したいのですか?」
と確認していくと、
「思っていた使い方ができなかった」
さらに聞くと、
「自分のような初心者でも迷わず使えることを期待していた」
というところまで見えてくるかもしれません。
すると、
返品という要求の奥にある、お客さまの期待が見えてきます。
ここまで見えて、初めて「顧客理解」に近づいていきます。
では、
このようにして集めた声を、
どのように分析すればいいのでしょうか。
私は、ここで品質管理などで使われてきた考え方が、とても参考になると思っています。
特性要因図で、まず「何が原因なのか」を洗い出す
最初に使えるのが、
特性要因図
です。
一つの問題に対して、
「何が、この問題を引き起こしているのか?」
という視点から、要因を洗い出していきます。
例えば、
「お客さまが商品を理解できない」
という問題なら、
商品情報
Webサイト
説明方法
問い合わせ対応
商品そのもの
情報提供のタイミング
など、複数の方向から原因を考えることができます。
ここでは、
「原因かもしれないものを、漏れなく考える」
ことが重要です。
ただし、
特性要因図だけでは、
「原因と原因の間に、どんな関係があるのか」
までは十分に見えません。
そこで、次の方法を使います。
連関図法で、要因同士の関係を見る
次に、
連関図法
を使います。
洗い出した要因を並べ、
「この問題は、どの問題を引き起こしているのか?」
「この問題の背景には、何があるのか?」
と、要因同士の因果関係を整理していきます。
例えば、
「商品情報が分かりにくい」
という問題の背景に、
「企業が商品機能を中心に説明している」
という要因があり、
そのさらに背景に、
「お客さまが何を価値として選んでいるのかを把握できていない」
という要因があるかもしれません。
すると、
単に、
「商品説明を改善しよう」
ではなく、
「なぜ商品説明が、お客さまに届いていないのか」
まで見えてきます。
ここで、
A層の出来事だけでは見えなかった、
B層の意味や背景、
C2層の価値観や動機との関係が見えてきます。
系統図法で、「何を実現するために、何をするのか」を整理する
原因や関係が見えてきたら、
次に、
系統図法
を使います。
ここでは、
「最終的に何を実現したいのか?」
という目的から、
「そのためには何が必要なのか?」
「そのためには、さらに何が必要なのか?」
と、目的と手段を掘り下げていきます。
例えば、
お客さまが納得して商品を選べる
という状態を実現したい。
そのためには、
お客さまが重視している価値を理解できる
ことが必要。
そのためには、
価値観や動機を確認できる
ことが必要。
そのためには、
会話の中で適切な質問ができる
ことが必要。
というように、
目的から手段へ落としていきます。
これによって、
「何を改善すればいいのか」
が、少しずつ具体的になります。
PDPC法で、「実際に進めたときの壁」を先に考える
そして最後に、
PDPC法
です。
PDPC法は、
「この計画を実行したら、途中で何が起こるだろう?」
と、ゴールから逆算して、
起こり得る問題や障害をあらかじめ考えていく方法です。
例えば、
「お客さまの価値観まで理解できるようにする」
というゴールを設定したとしても、
実際には、
「人によって聞き方が違う」
「質問すること自体を忘れる」
「どこまで聞けばいいのか分からない」
「忙しいと深掘りできない」
などの問題が起こるかもしれません。
つまり、
分析して、理解しただけでは、会社の活動にはなりません。
理解したことを、
「実際の行動にどう変えるのか」
まで考える必要があります。
ここまでやると、「声」が「理解」に変わっていく
こうして考えてみると、
お客さまの声の分析は、
単に、
「何件あったのか」
を数えることだけではありません。
特性要因図
で、
「何が原因なのか」
を洗い出す。
↓
連関図法
で、
「それぞれが、どう関係しているのか」
を見る。
↓
系統図法
で、
「何を実現するために、何が必要なのか」
を整理する。
↓
PDPC法
で、
「実際に進めると、どこで問題が起きるのか」
を予測する。
この流れによって、
「お客さまから、こんな声がありました」
という情報が、
「なぜ、その声が生まれたのか」
そして、
「何を変えれば、お客さまの期待に近づけるのか」
という理解へ変わっていきます。
でも、もう一つ問題があります
ここまで分析すると、
おそらく複数の課題が見えてきます。
Aの課題もある。
Bの課題もある。
Cの課題もある。
では、
全部を同時に改善できるでしょうか?
企業が持っている、
人。
時間。
予算。
部門の対応力。
すべて有限です。
だから次に必要になるのは、
「どの課題から改善するのか」
を決めることです。
ここから、
お客さまの声は、
単なる「顧客情報」ではなく、
企業が次の行動を決めるための情報
へ変わっていきます。
そして次回は、
「理解したお客さまの声を、どう改善に使うのか」
を考えてみたいと思います。
お客さまの声を集める。
分析する。
理解する。
その先に、
会社として、どの課題から改善するのか。
ここまでつながって、
初めて「お客さまの声」が企業活動の中で生きてくるのだと思います。
