外注さんへの指示書づくりに毎回45分。その45分、"叩き台まで"をAIに預けると15分になります
人に仕事を頼むとき、いちばん時間を食うのは作業そのものではありません。
「どう説明するか」を考えている時間です。
画像の加工を1件お願いしたい。やることは自分の頭の中で完全に見えている。なのに、チャットの入力欄で手が止まる。
「えっと、サイズは……あ、余白の話もしないと」「拡張子ってどう書けば伝わるだろう」「これ、前回もめたやつだ」
書き終わって送信するまで、45分。作業を自分でやったら20分で終わる内容でした。
だから結局、自分でやってしまう。
指示書が重いのは「文章力」の問題ではありません
ここを取り違えると、いつまでも減りません。
指示書が重いのは、頭の中にある前提を、全部言葉にしなければいけないからです。
自分にとっては当たり前すぎて、意識にすら上っていないことがあります。
「白背景」と書けば伝わると思っていたが、相手は薄いグレーを白と呼んでいた
納期を書き忘れて、3日後に「まだですか」と聞くことになった
使ってほしくないフォントがあったのに、それは書いていなかった
抜けは、書く力が足りないから起きるのではありません。「自分が知っていることを、知らない人の目で見直す」工程が入っていないから起きます。
AIに渡すのは、この工程です。
何を頼むかは自分で決める。決めたことを「他人が読んで迷わない形」に組み直す作業だけ預ける。この線を引いておけば、任せて事故る余地はほとんどなくなります。
■1つ目:しゃべった内容を、そのまま投げる
きれいに整理してから渡す必要はありません。整理するのがいちばん重い工程なので、そこを渡さないと意味がないからです。
新しいチャットを開いて、これを貼ってください。
━━━━━━ ここからコピー ━━━━━━
■ あなたは、私が外部の人へ出す作業指示書を組み立てる担当です。
■ これから私が、頼みたいことを思いついた順に話します。整理されていません。
■ それを、作業者が読んで迷わない指示書に組み直してください。
■ 構成は/①目的(何のための作業か) ②やること ③手順 ④してほしくないこと ⑤完成の条件 ⑥納期と提出先
■ 私が話していない項目は、勝手に埋めないでください。【要確認:〇〇】 と書いて残してください。
■ 専門用語は、作業者が知らない前提で言い換えてください。
■ 長い前置きや挨拶文は入れないでください。
━━━━━━ ここまでコピー ━━━━━━
貼ったら、あとは思いついた順に話すだけです。
「商品写真を30枚、背景を白にしてほしい」「サイズは正方形」「あ、ロゴが写り込んでるやつは避けて」——箇条書きにしなくて構いません。順番もばらばらで大丈夫です。
一番効くのが 【要確認:〇〇】 の一行です。
これを入れておかないと、AIは納期も提出先も"それらしく"埋めてきます。埋めさせないと決めておけば、指示書は「穴が空いた状態」で出てきます。穴を埋めるのは自分の仕事、という分担になります。
■2つ目:出てきた指示書は、必ず一度"疑う"
ここが今日いちばん大事なところです。
AIが出してくる指示書は、読みやすいです。見出しが揃っていて、番号が振ってあって、日本語も整っている。
だから、正しく見えます。
でも、読みやすいことと、抜けがないことは別の話です。整った文章を見ると人は安心してしまうので、「きれいに出てきた=できている」と思い込むのが、いちばん多い失敗です。
そのままの続きのチャットで、こう頼んでください。
━━━━━━ ここからコピー ━━━━━━
■ いま作った指示書を、あなたが「その作業をまったく知らない外注さん」になったつもりで読み直してください。
■ 読んでいて手が止まる箇所を、3つ挙げてください。
■ それぞれについて、「どう解釈すればいいか分からないか」を具体的に書いてください。
■ 良い点は書かなくて構いません。迷う箇所だけ挙げてください。
■ 最後に、この指示書のまま出した場合に起きそうな行き違いを1つ予想してください。
━━━━━━ ここまでコピー ━━━━━━
これをやると、だいたい自分でも気づいていなかった穴が出てきます。
私の場合は「"白背景"が、切り抜いた透過なのか、白く塗りつぶすのかが分かりません」と返ってきました。前に一度もめた箇所そのものでした。
**チェックする役を、書いた本人がやってはいけません。**自分は前提を全部知っているので、抜けが抜けとして見えないからです。書かせたAIに、読む側の立場でもう一度読ませる。工程を分けるだけで、精度がはっきり変わります。
■3つ目:一度作った型は、次から使い回す
指示書が1本完成したら、最後にこれだけ足してください。
━━━━━━ ここからコピー ━━━━━━
■ いまの指示書から、次回も使える空欄つきの雛形を作ってください。
■ 案件ごとに変わる箇所は 〔 〕 にしてください。
■ 毎回同じでよい箇所は、そのまま文章として残してください。
━━━━━━ ここまでコピー ━━━━━━
これを保存しておけば、次からは〔 〕を埋めるだけになります。
2件目以降の作業はこうなります。
雛形を貼る
今回の中身を思いついた順に話す
出てきた指示書に「読む側で読み直して」をもう一度かける
【要確認:〇〇】 を埋めて送る
1本あたり15分ほどです。
ここまでやると、何が変わるか
私の場合、45分が15分になりました。ゼロにはなりません。何を頼むか決める・最後に自分で読む、は残ります。そこは残していい作業です。
ただ、時間より効いたのは別のところでした。
頼めるようになったことです。
指示書を書くのが45分かかると、頭の中で「説明する時間を考えたら自分でやったほうが早い」という計算が働きます。その計算が毎回勝つので、いつまでも人に渡せません。
15分なら、計算はひっくり返ります。
自分でやれば20分。頼めば15分+相手の作業時間。しかも次からは雛形があるので、もっと短くなる。ここまで来て、はじめて「渡す」が現実の選択肢になりました。
任せられない理由は、相手のせいではなかった、という話です。
次の1本
同じやり方は、社内向けの手順書にもそのまま効きます。①目的 ②やること ③手順 ④してほしくないこと ⑤完成の条件——構造はまったく同じです。
違うのは「読む側で読み直して」の相手を、外注さんから「入ったばかりの人」に変えるところだけです。
今日やることは、チャットを1つ開いて上のコピー枠を貼るだけです。頼みたいことを1件、思いついた順に話してみてください。20分あれば、雛形まで出来上がります。
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