住宅ローン「借りられる額」と「借りていい額」は違う|銀行が教えない安全ライン

銀行に「5,000万円まで借りられます」と言われて、そのまま借りた知人がいます。
今、その家族は食費を削り、子どもの塾代を諦め、家族旅行にも行けなくなっています。 実は、銀行が教えてくれる「借りられる額」は、あなたが「安全に返せる額」ではありません。
この記事では、銀行が言う金額ではなく、実際に借りても普通の生活が送れそうな金額を、私の経験も交えてお伝えします。
他の記事の紹介もありますが、有料記事を複数読みたい場合は、マガジンでまとめて購入するのがお得なケースもありますので、気になる方は最下部のまとめ記事からマガジンをご確認ください。
1. 導入:住宅ローンで一番危険な勘違い
①私も勘違いしていた「借りられた=安全」という思い込み
マイホーム購入を考え始めたとき、まず気になるのが「いくらまで借りられるか」ですよね。
銀行に相談すると「年収の7倍まで融資可能です」「5,000万円まで借りられますよ」と言われて、つい安心してしまう。私もそうでした。
でも、ここに最大の落とし穴があります。
銀行が教えてくれる「借りられる額」は、あなたが「安全に返せる額」ではありません。
銀行が提示しているのは、あくまで「銀行のリスク基準で貸せる上限」であって、「あなたの生活を守れる額」とはまったく別物なのです。
この記事では、銀行の審査の裏側を解説しながら、本当の意味で安全に返済できる「借りていい額」の計算方法を、具体的な数字とともにお伝えします。
なお、今回の話と「審査に通ること」は別問題です。
私自身が審査に落ちたときの経緯と理由は、こちらの記事にまとめています。
→【完全保存版】住宅ローン審査で落ちた原因と、信用情報を回復するまでの全記録
2. 住宅ローンの「借りられる額」はどう決まるのか
①年収倍率と返済比率の仕組み
銀行が融資額を決める際、主に見ているのが以下の3つです。
1. 年収倍率
一般的に年収の7〜8倍程度まで借りられるケースが多いです。年収500万円なら3,500万〜4,000万円という計算ですね。
2. 返済比率(DTI)
年収に占める年間返済額の割合。一般的な基準は:
- 年収400万円未満:返済比率30%以下
- 年収400万〜600万円:返済比率35%以下
- 年収600万円以上:返済比率35〜40%
3. 審査金利
ここが重要なポイント。実際の変動金利は0.3〜0.5%程度ですが、銀行が審査に使う金利は3.0〜4.0%と高めに設定されています。
これは将来の金利上昇リスクを織り込んだものですが、「審査は通った=返せる」という誤解を生む原因になっています。
②銀行が見ているのは「額面年収」
もう一つの大きな問題が、銀行の審査基準が「額面年収」ベースだということ。
実際に使えるのは「手取り」なのに、税金や社会保険料が引かれる前の金額で計算されます。

額面の35%を借りると、手取りの45%近くがローン返済に消えます。これ、かなり危険な水準です。
住宅ローンでつまずく人は、実はこの「銀行基準」と「生活基準」のズレから始まります。
審査前後でどこに落とし穴があるのかは、こちらの全体図も参考になります。
→住宅ローン"失敗ルートMAP"――審査に落ちる人/通っても詰む人の分かれ道
3. 「借りられる額」が安全ではない理由
・理由①:銀行は生活費を見ていない
銀行の審査は、あくまで「統計的に破綻しにくい範囲」を計算しているだけ。
あなたの家族構成、子どもの進路、趣味、実家への援助など、個別の事情は一切考慮されません。
・理由②:教育費という爆弾
子どもが成長すると、教育費は確実に増えます。
【進路別教育費の総額(幼稚園〜大学)】
- すべて公立+国立大学:約820万円
- 高校まで公立+私立文系大学:約970万円
- 高校のみ私立+私立理系大学:約1,280万円
- 中高私立+私立医歯系:約3,000万円以上
これに塾代が加わります。
都市部で中学受験をする場合、小学4〜6年生の3年間で200万〜300万円。大学で一人暮らしをさせるなら、仕送り月10万円×4年間=約480万円。
子どもが大学生になる頃(親は40代後半〜50代)、教育費がピークを迎えます。この時期は本来、老後資金を貯めるべき時期。ここで住宅ローン返済に追われていると、家計は完全に赤字化します。
私自身も「月10万円なら大丈夫」と思って借入額を決めましたが、数年後にかなり後悔しました。
そのリアルな経緯は、こちらに書いています。
→住宅ローン、「月10万円なら大丈夫」と思った私が、5年後に後悔した理由
・理由③:修繕費・管理費の値上がり
マンションの場合
新築時は修繕積立金が月5,000〜8,000円程度でも、10年後、20年後には月2万円以上に値上がりすることも。
国土交通省の調査では、マンションの修繕積立金平均は月13,054円。さらに36.6%のマンションで積立金が不足しており、大規模修繕時に数十万〜100万円の一時金徴収のリスクもあります。
戸建ての場合
築30年までの修繕費平均は約530万円。月換算で約1.5万円を、ローンとは別に積み立てる必要があります。
主な修繕項目:
- 外壁・屋根塗装(10〜15年ごと):100万〜150万円
- シロアリ防除(5年ごと):15万〜20万円
- 水回り交換(20年前後):200万〜300万円
- 給湯器交換(10〜15年ごと):20万〜40万円
4. 「借りていい額」を決める現実的な計算方法【保存版】
ここからが、この記事の核心部分です。
①基本は「手取りから引き算」
銀行のような「足し算(年収×倍率)」ではなく、「引き算(手取り−生活費)」で考えます。

②ボーナス払いは原則NG
固定負債を変動収入に依存させる構造は危険。ボーナス払いという仕組みはボーナスが必ず現状もしくはそれ以上にもらえる前提があって成立します。会社の業績が悪くなってボーナスが一部でもカットされたり、何かの事情でボーナスのない会社に転職したりすれば、一気に追い込まれます。
③適正返済比率は「手取りの20〜25%」
手取り月収30万円の場合→住居費は6.0万〜7.5万円が理想

我が家は、私単独で見れば30%超ですね…。世帯年収なら25%前後ですが、共働き必須の家計になっています。
④将来のコスト増を織り込む
マンションなら修繕積立金が月1万〜2万円上がることを想定
5. 金利によって安全ラインは変わる
①変動金利 vs 固定金利
変動金利:現在0.3〜0.5%程度、将来の金利上昇リスクは借り手が負担
固定金利:現在1.5〜2.0%程度、返済額が確定している安心感

③「5年ルール」「125%ルール」の落とし穴
借りていい額を決める際は、最低でも金利1.5〜2.0%になっても返済比率25%以内に収まるかを確認しましょう。
なお、変動と固定どちらを選ぶべきかは、実際に2020年に借りた我が家の数字で検証しています。
金利選びで迷っている方は、こちらも参考にしてください。
→【2026年最新】住宅ローンは変動と固定、結局どっち?2020年に借りた我が家の数字で検証してみた
6. 団信も借入額の安全性に影響する
①団信の種類とコスト
団体信用生命保険(団信)は、死亡・高度障害時にローン残高がゼロになる保険です。一般的なものとしては以下の種類があります。

②団信による返済額の変化
4,000万円借り入れで金利が0.2%上がると、35年間の総負担増は約150万円
③健康状態と「ワイド団信」
健康に不安がある場合、金利コスト増を相殺するため、借入元本を減らす調整(物件価格を下げる、頭金を増やす)が必要になります。
団信については、健康診断D判定でも通った実例や、告知欄に何を書いたかを別記事で詳しく解説しています。
団信審査が不安な方はこちらもどうぞ。
→【住宅ローン団信】健康診断D判定でも通った話|告知欄に何を書いたか公開
7. 結論:住宅ローンは「借りられる額」ではなく「生活が守れる額」で決める
①家を買う判断は人生設計そのもの
住宅購入はゴールではなく、新しい生活のスタートです。無理なローン返済で家族の選択肢を狭めてはいけません。
そもそも住宅購入そのものをどう判断するかは、マンションと戸建てで迷い続けた私の判断基準も参考になると思います。
→家を買うという決断――マンションと戸建てで迷い抜いた末に、私が戸建てを選んだ本当の判断基準
②安全ラインを確保するための5つのアクション
1. 「手取り」を正しく把握する
2. 未来のコストを先取りする
3. 金利上昇を織り込む
4. ボーナス払いに頼らない
5. 「世間体」ではなく「自分軸」で選ぶ
③最後に
「借りられる額」と「借りていい額」は違います。
銀行が貸してくれるのは、あくまで「銀行のリスク基準での上限」。
あなたとご家族の生活を守れる本当の安全ラインは、自分で計算し、自分で決めるしかありません。
安全な住宅ローンとは、「借りられる額」ではなく、「生活が守れる額」。
この原則を堅持することが、不確実な時代において、家計の自由と安全を守る唯一の方法です。
※この記事の情報は一般的な目安であり、個別の状況により異なります。具体的な判断はファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
ご感想やご質問などありましたら、コメントなどで教えていただけると幸いです。
他の記事は以下にまとめてありますので、興味のある方はご覧ください。
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでいただきありがとうございます!いただいたサポートは、今後の記事制作の活動資金として大切に使わせていただきます。温かい応援をよろしくお願いします!