🌿 【第2回】BESSの家と13年。手放す決意の理由とは?
「程々の家」ってどんな家?
──“我が家らしさ”が詰まった住まいのかたち
「無理をしない。けれど、妥協もしない。」
そんな不思議なバランス感覚から生まれたのが、BESSの「程々の家」です。
我が家は、2011年の震災後に、仙台の郊外に建てました。
木をふんだんに使った家づくりに惹かれ、小さな子どもたちと、
のびのび過ごす為に選んだのがこの住まいです。
そして今、私はこの家を手放そうとしています。
◆ 程々の家とは?
「きちんと暮らす」より、「ごきげんに暮らす」
BESSの公式サイトには、そんな言葉がありました。
程々の家は、“ログハウス的な骨太さ”と“日本の民家らしい穏やかさ”を併せ持った、不思議な存在。
床にも天井にも梁にも、木の温もりと香りがあふれています。
部屋の一角には薪ストーブ。
「炎を眺める時間が、家族をひとつにする」
そんな設計思想が、随所に感じられる造りです。
◆ 我が家の暮らしとは
この家を建てるとき、私たちが大切にしたのは
• 自然と共にあること
• 子育ての場であること
• 暮らし力を育てる事
① 家族の気配が響く間取り
我が家では、あえて子供部屋という“個室”を設けませんでした。
その理由のひとつは、子どもが小さいうちは
家族みんなが生活の「音」や「気配」を感じながら過ごすことが、
豊かな成長につながると考えたからです。
料理をする音、薪がはぜる音、聴いている音楽、香り……
こうした五感の記憶が、「家族と共にある安心感」へとつながると信じています。
そして子供たちが今、何をしているのか、
小さな音や気配から想像するのもまた楽しい時間でした。
やがて子どもたちは巣立っていきます。
そのときがきたら、夫婦の趣味に合わせて空間をアレンジするという設計をしたのです。

② 吹き抜けと天窓がつなぐ“ひとつ屋根の下”
2階までつながる吹き抜け。
そこから天窓を通して、やわらかな自然光が家の中心に差し込みます。
季節や時間によって光の角度が変わり、家の中に「時間の流れ」が生まれます。
2階の壁にはステンドグラスも。
床に落ちるカラフルな光を見つけると、
日常がちょっとだけ特別に感じられました。

③ 対面キッチンとホーロー壁
キッチンはL字型の対面式。
調理をしながら家族の様子が見渡せます。
壁にはホーロー素材を採用。
マグネット付きの缶に調味料を入れて、見える収納を楽しんだり、
冷蔵庫に貼るように、予定表やレシピ、子供のお絵かきを自由に貼ることができます。
人工大理石の作業台も、手入れがしやすく見た目もかわいい。
「家事」ではなく「暮らしの一部」として、料理が楽しくなる空間を意識してます。

④ リビングの主役、薪ストーブ
リビングには、薪ストーブを設置。
冬になると、炎の揺らめきが家全体を包み込みます。
子どもたちと一緒に薪を割り、ストーブの上で料理をする。
火のそばで過ごす時間は、いつもよりゆっくり流れていた気がします。


◆ “阿吽の門”と日常のリセット
我が家の門灯には、2体のシーサーがいます。
『阿(あ)』と『吽(うん)』を唱える、沖縄由来の守り神。
『阿』で始まり、『吽』で終わる。
それは、一日の始まりと終わりに通る、大切な扉のしるしです。
家に帰ったら「ただいま」と一声。
外の喧騒を忘れ、心をリセットして、
ただ「今」を感じる時間が、そこから始まります。
シーサーたちが見守るこの門は、
日常と非日常をつなぐ、小さな境界線なのです。

◆ “住むほどに馴染む”という体験
この家は、住めば住むほど、味わいが増していきました。
無垢材は傷がつきやすく、反りやすい。
でもそれが「家族の歴史」として残っていきます。
床や壁の木目模様や傷、その一つひとつに思い出があります。
無いものを求めるのではなく、
あるものに感謝することが、豊かさにつながる。
そんなことを教えてくれたのが、
BESSの「程々の家」であり、我が家だったのです。
◆ 次回予告:「庭と外構」──外に広がる、もうひとつの“暮らしの部屋”
次回は、家の“外”についてご紹介します。
自然とともにある庭。広縁のある外観。
DIYで作ったアプローチや、無肥料無農薬の小さな畑の話も。
暮らしは、室内だけで完結しません。
空の広さ、土の匂い、風の音——
そこに、もうひとつの「我が家」があるのです。
