【英国文豪、令和を歩く】第41回:Basketball, we ball, hear the call—shoot and score, give it your all!
京都、寺町通の片隅にある、琥珀色のランプが灯る古風な喫茶店。使い込まれた革の椅子に、華やかなスカーフを巻いた現代的な女性姿のウィリアム・シェイクスピアと、ツイードのジャケットを羽織り、パイプの代わりに珈琲を嗜むアーサー・コナン・ドイルが向かい合っている

……ふふ、ドイル。この『カッフェー』という場所は、かつてのロンドンの喧騒を忘れさせてくれるわね。鴨川のせせらぎが、まるで劇の幕間に流れるリュートの調べのようだわ。……ところで、さっき窓の外を通り過ぎた若者たちを見た? あの、オレンジ色の大きな球を弾ませていた一行を

ああ、ウィル。あれはバスケットボールという競技の道具だよ。この時代の若者たちを熱狂させている、極めて論理的かつ動的なスポーツだ。五人の人間が一つの意思の下に動き、あの高い位置にある網に球を投じる……。実に観察しがいのある光景だと思わないか?

バスケットボール……。ええ、見ていたわ。あの球が宙を舞う軌道は、まるで恋人たちが交わす、触れそうで触れられない視線のよう。一度放たれたら最後、運命の輪のようにリングの縁を彷徨い、天国(ゴール)へ落ちるか、あるいは無情にも地へ撥ね返されるか……。一つの籠を巡って、十人の男女が汗を散らし、声を枯らす。それはまさに、一つの舞台(コート)の上で繰り広げられる、台本のない喜劇であり、悲劇だわ

相変わらず詩的だね、ウィル。だが、私の視点から見れば、あれは高度な心理戦の連続だよ。相手の視線の配り方、足の運び、筋肉の弛緩……それら全ての断片から次のパスを予見する。ホームズなら、相手のガードが次に右へ動くか左へ動くか、その靴の擦り減り具合だけで言い当てるだろう。実に合理的だ

あら、理屈だけでは測れないのが人生であり、劇(ゲーム)よ、ドイル。あの『ダンク』という所業をご覧なさいな。重力という名の宿命を一時(いっとき)忘れ、翼なき人間が天に手を伸ばす。あれはロミオがバルコニーへ駆け上がろうとする熱情、そのものだわ。もし私が今、新作を書くなら、結末は毒薬ではなく、試合終了のブザーに委ねるかもしれないわね

ははは! それはまた、観客が腰を抜かすような大団円になりそうだ。しかし、あの競技には確かな『ルール』という名の秩序がある。我々の時代の決闘とは違い、審判の笛一つで激情が制御される。この現代の京都という街も、古き伝統と新しい秩序が混ざり合っているが、あのスポーツもまた、野性と知性の絶妙な調和の上に成り立っている

ええ。でもね、ドイル。どんなにルールで縛っても、あのオレンジ色の球には魔物が棲んでいるわ。最後の一秒、祈りを込めて放たれた球が描く放物線……あれを見守る人々の瞳には、かつてグローブ座で見かけた観客と同じ、純粋な『驚異』が宿っている。……ねえ、今度二人で、あの籠球の試合とやらを観に行かない? あなたはスコアボードを分析し、私は選手たちの表情から裏切りと忠誠の物語を読み解くのよ

それは名案だ。私の手帳に、また新しい事件……いや、素晴らしい観戦記が刻まれることになりそうだ。ウィル、君の隣なら、どんな複雑な試合展開も、最高にドラマチックな謎解きになりそうだよ。さて、まずはこの珈琲を飲み干してから、次の目的地を推理しようか
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