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続・「府民の声」から考える大阪・関西万博の課題  「安全」という言葉を信じられますか?

先日書いた大阪・関西万博に関する記事に、府民の方がコメントを書いてくださいました。さらに、記事の下に「おすすめ記事」として紹介されていた中に、万博の問題について中学生が書いた記事を発見。今回は、この2つから見えてきたことを書いてみました。

地下鉄「夢洲駅」に行ってみた保護者の感想

いつも私の記事を読んでくださっている「とーるちゃん」さんから、先日の記事にコメントをいただきました。

お子さんを持つ保護者として夢洲駅に行ってみて感じたことは、とても参考になります。

万博側が「安全です」と言ってもそれを鵜呑みにせず、自分で確かめてみることがまさに探究の始まりだと思います。以下、とーるちゃんさんのコメントを元に、不安要素をあげてみました。

・JR沿線に住んでいる場合、弁天町駅で地下鉄に乗り換えて夢洲駅に行くことになり、夢洲駅は終点。つまり弁天町駅方面からしか、行くことができない。

追記:
JR桜島駅からシャトルバスもありますが、団体予約は検討中とのこと。
各説明会の質疑応答で寄せられたご質問と回答(2024年8月6日の回答)

https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/shitsugi_naikaku.pdf

大阪・関西万博公式サイトより

https://www.transport.expo2025.or.jp/route/metro/

OsakaMetro中央線への乗り換えは、本町駅(御堂筋線)弁天町駅(JR大阪環状線)に集中すると予想されますので、時間に余裕をもってご来場ください。

https://www.transport.expo2025.or.jp/route/metro/

公式サイトにも書かれていますが、限られたルートだと混雑が予想されます。朝のラッシュ時などは、子どもたちが集団で乗ることは難しいでしょう。

・夢洲駅にはトイレは1箇所。 毎日、何万人も来る想定の駅ではない様に思われる。

夢洲駅の構内図を見ると、確かにトイレは1箇所。


https://subway.osakametro.co.jp/news/library/20241219_yumeshima_syoukai/yumeshima_kounaizu.png

混雑は予想できるのに、なぜ1箇所しか作らなかったのでしょうか。

・夢洲の南側は海底トンネルで歩けない。北は夢舞大橋で1/19から歩けるようになったが、アクセスはこの片側3車線の道一筋と地下鉄だけ。

毎日新聞(2024/4/13)より

https://mainichi.jp/articles/20240413/ddm/012/040/118000c

さらにとーるちゃんさんは、非常に重要な指摘をされています。

・もし地下鉄が止まったら、歩いて帰れる一番近い駅は夢舞大橋を渡って阪神電車の伝法駅まで約8キロ。子供には過酷な距離です。

地下鉄は様々な理由で止まります。すぐに復旧するとも限りません。そうなったとき、学校単位で訪れた場合、どのような対応をするつもりなのでしょうか。

とーるちゃんさんが「素人が見て感じただけでも不安は沢山湧いてきます」と言うように、どんなに万博側が「安全です」と言っても不安は払拭できていません。

会場建設費にしても、当初は1250億円だったのに2350億円に膨れ上がりました。2019年に誘致委員会が行った会見で松井一郎府知事(当時)は、会場建設費約1250億円について「厳しく見積もりしており、(膨張は)しないようにする」と述べています。国と大阪府市、経済界で3分の1ずつの負担予定だが、「投資に見合うリターンが十分期待できる」として財源確保に問題はないとの認識も示していました(下記参照)。

それなのに2度も増額して(下記参照)、「管理が甘かった」「想定外だった」と言っているのです。

さらに2024年12月時点では、2350億円に変更はないとしながらも、「当時予見できなかった事象への対応」が新たに見込まれています。

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/expo_budget_monitoring/pdf/006_06_00.pdf

このようなことが平気で行われているとなると、安全面についても「想定外」は起こり得ると思います。

追記:
とーるちゃんさんのnoteで、夢洲駅に行ってみた動画が公開されました!


中学生が着目した万博の問題点

前回の記事の下に出てきた「おすすめ」に、日本中学生新聞さんが書いた下記の記事がありました。記事を読んで中学生が書いていることに驚いたのですが、とても重要なことが書かれています。

記事には、豊中市内に住む児童とその保護者が集まる「万博郊外学習を心配する親子の会」が1月31日、市民から寄せられた手書きによる署名2259筆を豊中市長と豊中教育長に提出し、会見では保護者と市立小学校の教員4人も参加し、関西万博への校外学習を強制しないでほしいと訴えたことが書かれています。

保護者だけでなく、教員の立場としての意見も書かれているので、ぜひ皆さんに読んでいただきたいです。

彼が書いた別の記事も読んでみたのですが、これが本当の探究だと感じました。ぜひ学校の先生方をはじめ多くの人に読んでいただきたいので、ポイントだけ紹介します。

冒頭に、下記の記事が紹介されています。

大屋根の落雷リスクに関する上記の記事を読んだ中学生は、当初から市民団体が懸念していたメタンガス爆発火災が3月に起きたことに触れます。

そして、万博会場デザインプロデューサーが自身のXで不安の声をデマと一掃し、「落雷時もリングの下は安全です」と書いていることに着目。防災基本計画初版で落雷の欄を見ると、「リングの下は安全です」とは書かれていなかったので、彼は確かめるための行動を起こしたのです。

そこから、中学生の自発的な行動の素晴らしさに対して、万博協会広報課の対応の酷さが際立つやりとりについて詳細に書かれています。

最初に日本国際博覧会協会広報課に電話をしたのが8月2日で、折り返す、打ち合わせ中、外出中、会議中、電話対応中・・・などと言われ続け、8月22日にやっと話ができたのですが、そのやりとりも酷いものです。

広報部はメディアの対応部門であって、法人のメディア対応をしている部門だから個人の対応はしていないと。彼はそれで納得せずに、1人の発信者として次の行動に出ます。知人のフリーライターに相談し、公開質問状を送ったのです。

4つの質問に対する回答も掲載されているので、ぜひ読んでみてください。

彼が回答を得られたのは9月でしたが、NHKの記事(2024年10月4日付)では、大屋根の落雷リスクについて下記のように書かれていました。

大屋根リング 落雷のリスクは?
A:リングには避雷設備があり、リング下では「感電リスクはない」としている。一方、リング上は落雷リスクがあり、雷雲の接近時には、来場者を退避させる予定。万博会場のシンボルでもある「大屋根リング」は、会場内で最も高い場所となるため、落雷のリスクがあります。

博覧会協会によると、リングの先端には「水平導体」と呼ばれる、雷を受け止めるアルミ製の板が、ぐるりと一周、設置されています。また、手すりもスチール製で、水平導体の役割を果たします。そこに雷が落ちた場合には、引き下げ導線を通って、地中に流す仕組みです。

寺院などの文化財の保護でも使われる方法で、博覧会協会は「仮にリングの下で雨宿りをしていても、感電するリスクはない」としています。

ただ、リングの上に人がいた場合には、落雷のリスクがあるため、協会は「リング上からの退避や立ち入り制限をする」としています。

具体的には、雷雲の接近を検知するセンサーを会場に設置するほか、民間の気象会社からの情報も参考に、雷雲が近づくと判断した場合には、リング上にいる人を誘導して下に下ろすということです。

ただ、具体的な基準や避難誘導の手順はまだ決まっていません。

残り半年で詰めていく必要があり、訓練なども必要です。

リングの上に人がいた場合には、落雷のリスクがあるため協会は「リング上からの退避や立ち入り制限をする」と言っていますが、「具体的な基準や避難誘導の手順はまだ決まっていません」とのこと。開催まで約半年となった時期に「まだ決まっていません」と堂々と言えることが恐ろしいです。

これについて最新情報を調べたのですが、防災基本計画は2024年9月に改定されたものが最新のようです。

2025年日本国際博覧会 防災基本計画(2024年9月)

3 落雷
(1) 大阪の雷日数
2022 年の雷日数は大阪では 18 日で、そのうちでも、雷の原因となる積乱雲が急激に発達しやすい夏季(7~9月)が 13 日と多い。

https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/01_bosaikihon_kaitei.pdf

大屋根リングそのものへの被害は「想定されない」としつつも、リング上に人がいると「人体へ雷が飛び移る危険性が想定される」と書かれています。

初めて行く人たちばかりの中で、避難訓練などもできないのに、スムーズに避難できるとは思えません。それなのに、このリングが目玉とは・・・。

NHKの検証記事では、「南海トラフ巨大地震 孤立したらどうする?」も気になります。課題になるのが「屋内の避難スペースの確保」とのことで、博覧会協会の試算では、会場内で孤立した人たちが避難することができる屋内のスペースは、1人あたり畳1畳分として計算しても、およそ10万人分。およそ5万人は、雨風を防げる屋内には入れないことになるそうです。

「防災・安全」ページを読んでも、それに関する対策が見えてきません。

メタンガスの爆発も本当に大丈夫なのかなと思いますし、子どもたちを安心して行かせる場所とは思えません。万博サイドの「安全です」を鵜呑みにしていては、「想定外」のことが起きたとき、子どもたちを守ることはできないでしょう。そしてこれまでも、「想定外」はよく起きているのです。

探究とは

文科省のサイトには、探究について下記のように書かれています。

「探究」とは、実社会や実生活の中から問いを見いだし(※)、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現する学習活動のこと。
※高等学校段階では、「実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし」となる。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/main14_a2.htm

前述の中学生は、まさに「実社会や実生活の中から問いを見いだし」ていると思います。

このような中高生が、もっともっと増えてほしいです。もちろん、誰もがいきなり彼のようにできるわけではないので、様々な場面できっかけを作ることが必要となるでしょう。

大阪・関西万博が用意しているようなプログラムから、果たしてそういったきっかけが得られるのでしょうか。

修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)活用に関する説明会(2024年7月・8月)

本当の探究は、発信された情報を鵜呑みにせず、例えば「本当に安全なのか?」と疑うことから始まるのではないでしょうか。


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