キャリア採用・異動者のオンボーディングのための「90日プラン」の作成・推進ポイント
「90日プラン」とは、キャリア採用者や異動者のオンボーディング期間 (ここでは90日間と設定) のアクションプランです。オンボーディングプログラムには様々なものがありますが (参考: こちら)、90日プランはその中でもどのプログラムをいつ実施するかを設定するため、オンボーディングの基盤となるアクションプランとなります。
対象者本人の入社・着任前に 関係者で90日プランを準備することで、漏れを防ぎ、90日間で効果的なキャッチアップや(最初の)成果創出方法を考えることができます。
また、本人にとっても入社・着任時に90日プランを示されることで or 一緒に検討することで、歓迎が伝わり、手厚いサポートがあるという安心感にも繋がります。同時に、「待ち」の姿勢ではなく、自分から組織に入り込んだり情報を取りに行くという、本人の自律性の醸成にも繋がります。
1. オンボーディング:90日プランの対象者の設定
オンボーディングプログラムとしての90日プランの対象者は、社外からの入社者や社内他部署からの異動者、昇格者(新任管理職・昇格管理職など)など、組織にとって新たに着任した人材が対象となります。
<対象例>
・キャリア採用での入社者 (異業種や異職種からの転職者含む)
・新卒入社者
・社内異動者 (他事業部門や他職種からの異動者含む)
・社内昇格者 (新任管理職や昇格した管理職=部長や事業部長への初着任時)
・長期出向からの復帰者
・長期休職からの復職者
2. 90日プランの目的の確認
オンボーディングは「引き継ぎ」とは異なります。前任者からの業務の引き継ぎはどちらかというと業務に関する情報のインプットが中心ですが、オンボーディングはアウトプットも重要な目的となります。
ここでの「アウトプット」とは、オンボーディング期間中に(小さな/最初の)成果を出すことです。特にキャリア採用入社者にとっては成果こそが最大の"自己紹介"であり、"ここでやっていける"という安心や自信にも繋がります。
また、「インプット」についても、他者からの情報提供や人の紹介を「待つ」姿勢ではなく、自分から他者に相談したり社内Web/フォルダ等を探しに行くなど能動的な動きができるようになることも、オンボーディング期間の重要な目的です。
3. オンボーディングチームの編成
90日プランの実行においては、対象者の直属上司や担当HR(HRBP等)の他にも下記の通り様々な関係者が関わります。
直属上司がオンボーディング推進の中心ではあるものも、直属上司が過度に背負い過ぎないように、下記関係者で「オンボーディングチーム」を組んで、対象者のサポートに当たります。
(0) 本人
(1) 直属上司
(2) 担当HR (HRBP)
(3) メンター(バディ)* *メンタリングを行う場合
(4) トレーナー* *上司以外に業務の指導担当が存在する場合
(5) チームメンバー (同僚)
(6) 直属上司の上司
(7) 前任者 (退職していない場合)
(8) その他、業務上の関係者
必要に応じてチームとしてのキックオフミーティングを行ったり、関係者個別に事前の説明を行います。
オンボーディングの対象者がキャリア採用者の場合、特に職位が上であったり同業種同職種からの転職者の場合、「即戦力だから」とオンボーディングも本人任せ(放任)になりがちな点には注意が必要です。業務では即戦力であっても、必ずしも組織に慣れるのがスムーズとは限りません。
たとえ即戦力人材であっても、丁寧なオンボーディングを心がけ、オンボーディングチームを組み90日プランを通じて対象者本人をサポートすることが大切です。
4. 90日プランの作成
直属上司と本人、そして担当HR(HRBP)が主体となって オンボーディング期間 90日間のアクションプランを作成します。オンボーディング機能のあるツール(SaaS)があれば利用したり、Excelでプランシートを作成します。
【90日プランの内容】
何を … アクション項目については別のnote記事 (こちら) をご参照下さい。
どこまで … 90日後の到達目標(ゴール)を設定します。また必要に応じて30日後・60日後の中間ゴール(マイルストン)も設定します。
いつ … 各アクション項目を 1-30日/31-60日/61-90日の どこで行うかを設定します (可能であれば具体的な実施日程も設定)。
誰が … 各アクション項目を誰が実施するかを設定します (例: 「直属上司」が業務についてレクチャー/「本人」がオンライン研修を受講 等)。
どのように … 各アクション項目について実施方法 (レクチャー/研修/会議/1on1/資料提供 等)を設定します。
【90日後ゴール設定のガイド例】 (非管理職社員の場合)
1.期待役割・担当業務理解 … [ゴール例] 着任ポジションの役割・主要業務を一通り理解し、担当業務において最初の/小さな成果を創出すること。
2.上位組織のパーパス/ビジネスプラン … [ゴール例] 上位組織のパーパス/ビジネスプランを理解し自信の「マイパーパス」を作ること。
3.組織・人材マネジメント … [ゴール例] チームメンバーを理解し、信頼関係の基盤を築くこと。
4.ステークホルダー … [ゴール例] 社内外の主要関係者に担当として認知され信頼関係の基盤を築くこと/円滑な連携・協働を開始すること。
5.社内制度・規則・手続き … [ゴール例] 必要な制度・規則・手続きを理解し (or 調べ方を理解し)、勤怠や経費精算などの日常処理を実施できるようになること。
6.インフラ/ツール/ファシリティ… [ゴール例] 業務や職場生活に必要な会議室予約やコピー機等備品の予約・使用方法、主要なツール、社内サイト/フォルダ等を理解すること。
7.自己学習 … [ゴール例] 必須研修を受講すること/社内の育成プログラムを理解し実際に利用してみること。
【90日プラン作成の進め方】
直属上司・担当HR(HRBP)によって90日プランDRAFTを準備し(Step 1〜Step 7)、対象者本人との対話を通じてプランを最終化(Step 8〜Step 9)します。
<Step 1> 90日後のゴールを設定
<Step 2> 30日後・60日後の中間ゴール(マイルストン)を設定
<Step 3> アクション項目を設定
<Step 4> 各アクション項目の実施日程を設定
<Step 5> 各アクション項目の担当者を設定
<Step 6> 各アクション項目の実施方法を設定
<Step 7> 各担当者に事前説明 (or キックオフミーティングを実施)
<Step 8> 対象者本人に90日プランDRAFTを説明
<Step 9> 対象者本人との対話・確認を通して90日プランを調整し最終化
5. 90日プランの進捗フォロー
【フォロー① 定期的な1on1】
最低でも1ヶ月に1回、可能であればオンボーディング期間中は毎週 or 隔週で直属上司と本人で1on1を実施します。
【フォロー② オンボーディングサーベイ】
オンボーディング期間中、定点的(毎月1回 or 45日後、90日後)に本人および直属上司にサーベイを実施します。オンボーディングサーベイの項目例については別のnote記事 (こちら) をご参照下さい。
【フォロー③ オンボーディングインタビュー】
オンボーディング期間中、定点的(毎月1回 or 45日後、90日後)に本人に対して担当HR(HRBP)が状況についてインタビューを実施します。オンボーディングサーベイの項目例についても同じく別のnote記事 (こちら) をご参照下さい。
