見出し画像

ミニマリストはなぜ15年間、同じモンブランのシャーペンを使い続けているのか

あなたは仕事道具に、こだわりがあるだろうか?
僕は、かなりこだわっていると思う。

もし最近、
・考えがまとまらない
・仕事へ集中できない
・アイディアが浅く感じる
・なんとなく毎日が散漫

そんな感覚があるなら、“毎日触れる道具”を見直してみるのも良いかもしれない。

例えば、僕には15年使い続けている1本のシャーペンがある。
そのシャーペンは、僕にとってはもはや書くための道具じゃない。
思考の速度を決める大事なパートナーだ。

ブランド設計は、殴り書きから始まる


あまり表には出していないけど、
僕は企業のブランド設計や発信戦略を仕事にしている。
キャリアのスタートはテレビ番組の制作で、そこから転職して15年になる。

クライアントとなる経営者の相談は、だいたい似ている。

「自社の強みを言語化したい」
「独自性を整理して打ち出したい」
「ブランドの方向性を明確にしたい」

この課題に対して、最初に整理するのは“強み”や”独自性”ではない。

僕が見ているのは、その前にあるものだ。

その人が、なぜその仕事を選んだのか。
何を得たくて、何を与えたいのか。
どんな瞬間に「これをやるしかない」と思ったのか。

いわゆる“原点”と呼ばれる部分。

ここが曖昧なまま作られたブランドは、軸がないからどこかで必ず歪む。
強みだけを切り取って作られた表向きの言葉は、メッキみたいなもので、長く持たない。

最初にやるのは、インタビューだ。

カフェで向かい合って、ひたすら話を聞く。
会議室ではなく、少し雑音のある場所のほうがリラックス出来ていい。

僕はその言葉をPCには打たない。
ノートに、殴り書きで残していく。

記録するためじゃない。
言葉の意味を整えるためじゃない。
シンプルに、その人の言葉の“温度”を拾うためだ。

思考の流れを止めないまま、
断片だけを拾い続けていく。

実際の書き殴りノート

たとえば、ある起業家のケースではこんな言葉が出てきた。

「人を導くのが好きで、成長に伴走したい」
「自分が道しるべでありたい」
「会社も業界の道しるべにしたい」
「ロードスター(車)が好き」

この時点では、まだバラバラのメモ。
そして、ここからが設計の仕事になる。

“ロードスター”という一語から、語源がホロ付きの馬車だと知る。

馬車から「旅」へつながり、
「目的地」へ広がり、
やがて「指針」という概念に変わる。

そして最後に残るのは、「北極星」という軸だった。

ただの連想ゲームというわけじゃない。
その人の言葉の中にすでにあった意味を、構造として取り出しているのだ。

ここで初めて、ブランドの輪郭が見える。

何者として存在するのか。
何を提供する存在なのか。
なぜその人でなければいけないのか。

その軸をもとに、
ロゴの方向性が決まり、
コピーのトーンが決まり、
世界観の距離感が決まっていく。

最終的にロゴ、コピー、ビジュアルイメージに落とし込む

ブランド設計とは、
“新しく作ること”ではなく、
すでにある断片を、正しくつなぎ直す作業に近い。

その出発点は、全部カフェでの殴り書きだ。

その時使うシャーペンが、
もう15年も連れ添っている、
一本のシャープペンシルというわけ。

転職したその日に買ったモンブラン

15年前。
転職したばかりの僕は、「これで食っていく」という覚悟みたいなものが欲しかった。

だから、なのかはわからないけど、昔から憧れのあったMont Blancのシャーペンを買った。

ボールペンや、万年筆ではなく、シャーペンを選んだのには理由があった。

テレビディレクター時代から、アイディアは必ず紙に落としていた。

企画。
構成。
演出。
コピー。

頭の中だけでは整理できない。

だから、書く。
書いて、書いて、書きまくる。

テキストだけじゃない。
イラスト、図解、補助線や打ち消し線。
一枚の紙の上に、自分の思考をこれでもかと残していく。

その時に使いやすいのが、ボールペンではなく、シャーペンだったのだ。

思考の速度は、芯で変わる

僕は普段からBの芯を使っている。
理由はシンプルで、滑らかな書き心地が自分の思考のスピードを止めないから。

ボールペンだと、引っかかる。
インクがかすれる。
ついつい、力が入る。

そのストレスの積み重ねで、アイディアが消える。

でもシャーペンは違う。
浮かんだ言葉を、そのまま紙へ落とせる。
さらさらとした書き心地で、紙の上を流れるように思考が走る。
丸で囲み、線を引き、また書き殴る。

もちろん、不意に芯が折れることがある。
でも、これがうまい具合に思考のリセットのタイミングになる。

ボールペンのストレスとは違って、ふと我に返るきっかけのようなもの。
映画監督の、「ハイカット!」の声にも似ているかもしれない。

そこでまた思考を切り替え、より良いアイディアを深堀りしていく。
ゆっくりと芯を繰り出す行為も、そのためのルーティーンだ。

書くという行為は、溢れ出るアイディアを“この世界に固定する”作業だと思っている。
だから、ブランド設計に限らず、YouTubeの原稿やnoteの記事の構成なんかも、まずはシャーペンで書き殴るところから初めている。

ちなみに、シャーペンの芯はLAMYのケースを使って持ち歩いている。
見た目がお気に入りで、取り出す時に少し気分が上がるのだ。
(中身は普通のBを使用)

こういう小さな気分の積み重ねって、意外と仕事へ影響する。
毎日使うものだからこそ、「なんとなく」ではなく、ちゃんと気に入ったものを使いたい。

ちなみに、最近さらに理想的なケースを見つけた。
無機質で、シンプル。
ミニマルなあしらいも主張しすぎないし、机に置いた時の佇まいもいい。

正直、こういう“気分を整える道具”には弱い。

普通の芯より値段は少しはるけど、ケースとしても長く使えそう。
次はこれに買い替える予定だ。

モンブランじゃなくてもいい

そうそう、誤解のないように追記しておきたい。
仕事道具は、別に高級ブランドの方がいいとは思っていない。
なので、シャーペンもMont Blancでなくていい。

ただ、“毎日使う仕事道具に投資する”という感覚は、15年前の自分にとって大きな意味があった。

「これで食っていく」
そう腹を括るための、小さな儀式みたいなものだったのかもしれない。

最終的に仕事道具、特にシャーペンは、書き心地とのバランスでお気に入りを選ぶべきだ。

大事なのは、“選んだ理由がある1本”を使っているというこだわりの方。

こだわりのないペンは、やっぱり無くしやすい。
どこか心で、軽く扱っている、あるいは、存在を意識できていないのだと思う。

でも、自分が持つ理由のあるペンは、失くさない。
まず、気軽に人に貸さないし、貸してもしっかり意識している。

そして、仕事道具を丁寧に扱うと、思考も丁寧になる。
…と、僕は思っている。

ノベルティのシャーペンや、100均のボールペンが乱立するペン立てより、こだわりの一本をそっと手帳やノートに差しておく。
そんな使い方が、僕は気に入っている。

まずはこだわりの1本選んでみる

もし最近、

・思考がまとまらない
・仕事の集中力が落ちている
・アイディアが浅くなった

そんな感覚があるなら、
まずは、毎日触れる“1本”を変えてみるのも悪くない。
思考って、意外と手元から変わっていく。

仕事カバンやPC、モバイルを買い替えるより遥かにリーズナブルに、自分の思考とモチベーションがリセットできる。

Mont Blancに限らない、僕が過去に使ってきたおすすめをいくつか紹介しておこう。

✔ 軽さと速度に正確性を求めたい

▶︎ ステッドラー 製図用シャープペン

ステッドラーの製図ペンは、細かい図形や細部への書き込みが必要な職種にはおすすめだ。
僕はテレビ制作時代に絵コンテを描くのに使っていた。あえて0.3mmの芯を使うことで、思考が緻密になっていくように感じる。

✔ 木の重心で落ち着きたいなら

▶︎ 三菱鉛筆 ピュアモルト

味わい、温もりを感じる一本。対面での聞き取りや、取材系は圧の少ない木軸のシャーペンもいいと思う。自分だけの唯一無二の相棒に育っていく様は、他のシャーペンにはない魅力だと思う。

✔ 仕事道具として長く使うなら

▶︎ LAMY2000

とにかくシンプルで、ミニマル。
「仕事道具を静かに整えたい人」にはかなりおすすめ。
僕もMont Blancの前はLAMYを長く使っていた。
ちなみに、LAMYのボールペンは今でも愛用している。

|参考記事

✔ “覚悟の1本”を持ちたいなら

▶︎ モンブラン マイスターシュテュック

僕が15年愛用するのがこの1本。
正直、安い買い物ではない。
でも15年使った今なら、「高かった」とは思わない。
むしろ、自分の思考を支える仕事道具としては最適だった。
書き心地以外の価値が、やっぱりあるのだ。

正直、シャーペンは、どれでもいい。
でも、
“なんでもいい”わけではない。

そんな気がしてる。

道具って、不思議だ。
毎日触れるものほど、少しずつ思考を変えていく。

もし今、
「仕事道具を少し整えたい」と思ったなら。

まずは、毎日いちばん長く触れる“1本”から変えてみるのも悪くないと思う。

あなたの“1本”は、何だろうか。

合わせて読みたい

使用機材

▶︎Nikon Zf

▶︎AstrHori 50mm F2

Andyのデジタル写真集

定価350円〜660円(試し読み無料)
*Kindle Unlimitedなら無料読み放題

quiet TOKYOー都市の空気ー


LUCENT BLUEーいつかの光、これからの風ー

「雨光幻影」ー滲む世界と、溶ける色彩―


いいなと思ったら応援しよう!

Andy|Leicaに恋して。 いただいたチップで、コーヒー飲みながら次の記事を書かせていただいております✨