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ブルーズ歌詞和訳 〜 "Key to the Highway" (Big Bill Broonzy, Eric Capton, Derek and the Dominos, & more)

ブルーズのスタンダード, いきなり脱線するが「スタンダード・ナンバー」というのは和製英語のようで, 英語では普通は単に「スタンダード」と言えば済む(そういえば「ヒット・ナンバー」も怪しいね), 最初からこんなこと書いていてはなかなか「ハイウェイへの鍵」をみつけられない, なのにまだ続く, この曲の邦題は広く認知されているのかどうかはともかく「ハイウェイへの関門」なんだけど, やっぱこれは「ハイウェイへの鍵」でしょう, 何はともあれ, 今日はブルーズのスタンダード, Key to the Highway の歌詞の和訳を(後段の第1章第3節にて)。

さて, この Key to the Highway, 筆者が一番好きなヴァージョンは Derek and the Dominos 1970年リリースの名盤 Layla and Other Assorted Love Songs に収められた, あれは何というか, まるで宝石が散りばめられたかのように力強く且つ美しい珠玉のジャム・セッション, あの Duane Allman (Nov 20, 1946 – Oct 29, 1971) と Eric Clapton のギター・バトル(これは和製英語ではないようで, Guitar battle)が 見物(見もの!)いや「聴き物」のヴァージョン(今日の第2章で音源ピックアップ), しかし歌詞に関して言えば, あのヴァージョンはやや省略があって … ではどうするか。

そもそもこの Key to the Highway, スタンダードの名に相応しく物凄い数のカヴァーがあり(一体幾つ!?), 歌詞もそれぞれ微妙に異なる。そこで今日ここでは「ほぼ」オリジナルの時代の素晴らしいヴァージョン, ギタリストでシンガーの Big Bill Broonzy (Jun 26, 1893 or 1903 – Aug 14, 1958) による特定のヴァージョンを取り上げて(彼のヴァージョンも数多くあり歌詞はそれぞれ細部に若干の違いがある), その歌詞を和訳します。

上で「ほぼ」オリジナル(の時代)と書いたのは, この曲の作者はどうやら不詳らしく(Charlie SegarBig Bill Broonzy の共作と言われたり, 一方で Jazz Gillum が「作者は俺だ」いや「真の作者は Broonzy だ」と相矛盾することを言っていたり), 最初にこの曲を 12小節ブルーズにしてレコーディングしたのが ピアニストでシンガーの Charlie Segar, 1940年, 次が同じく 1940年録音のハーモニカ奏者でシンガーの Jazz Gillum による 8小節ブルーズ(この時のギタリストが Big Bill Broonzy), そして翌1941年に 自身のヴォーカルとギターによる最初のレコーディングをしたのが Big Bill Broonzy だった(やはり 8小節ブルーズ, この時のハーモニカ奏者は Jazz Gillum), そういうわけで, 「ほぼ」。

さて, 歌詞の和訳は 以下の第1章(の第3節), 歌詞和訳はそこまでで, その後は 延々と続く Key to the Highway 色々, ブルーズ色々, ブルースいろいろ。

第2章では Key to the Highway のまさに色々あるヴァージョンから, その一部の音源を, 第3章では筆者によるブルーズ歌詞和訳のこれまでを(と言ってもブルーズのスタンダードの歌詞を和訳するのは今日のが 4曲目), そして今日の最終章ではブルーズ(「ブルース」含む, その心は..)に絡むその他の投稿のこれまでを, それらの全てを一気に振り返ることにします, リンクで!


Key to the Highway, 歌詞和訳

"Key to the Highway" の作者は不詳? 〜 少なくとも最初にレコーディングしたのは, ピアニストの Charlie Segar らしい

というのは筆者, 遺憾ながら Key to the Highway の Wikipedia で初めて知ったんだけど。

Charlie Segar 本人の Wikipedia には生年・没年など記載がないのだが, 色々ググってみると 1900年生まれで 1957年他界, ということらしい。

Charlie Segar のピアノとヴォーカルによるレコーディングは 1940年で, これは 12小節ブルーズ。メロディは現在よく知られているこの曲 Key to the Highway のそれとは異なる。

Key to the Highway by Charlie Segar (1900 - 1957) ♫

そして,

"Key to the Highway" を次にレコーディングしたのは, ハーモニカ奏者でシンガーの Jazz Gillum 〜 この時の ギタリストが Big Bill Broonzy

彼(ら)のレコーディングは, やはり 1940年。これは 8小節ブルーズで, その後 ブルーズ・スタンダードの一つとなる Key to the Highway の, そのまさしくスタンダード, 標準的なものになるアレンジが施されている。

これがいま世に知られる, この曲のメロディの基本。

Key to the Highway by Jazz Gillum (Sep 11, 1902 or 1904 – Mar 29, 1966) on vocals & harmonica, with Big Bill Broonzy (Jun 26, 1893 or 1903 – Aug 14, 1958) on guitar ♫

せっかく格調高い話をしてるのにここで唐突に脱線, Jazz Gillum の誕生日, 拙者(脱線話の入れ子細工, 箱根細工の入れ子の七福神, 脱線ネタのマトリョーシカ.. 「拙者」はもともと武士の謙譲語のようですが, いま故郷で 94歳の妻, 拙者の母親と共に元気に暮らす拙者の 97歳の父親によれば, 拙者の家系は農民の出です)のそれと, いや括弧の中が長過ぎ, Jazz Gillum の誕生日は拙者のそれと同じです, それがどうした, 「それがどうした」ついでに, 生年は 58年 もしくは 56年の違いなり。

閑話休題, 今日は Key to the Highway の歌詞和訳が本題。本題は次節。

"Key to the Highway" by Big Bill Broonzy 〜 歌詞和訳

そもそも「ハイウェイ」, 「ハイウェイへの鍵」「ハイウェイの鍵」とは, 結局 何を意味するのだろうか。

さて, 「そもそも」と言うならその前に, 

そもそもこの Key to the Highway, スタンダードの名に相応しく物凄い数のカヴァーがあり(一体幾つ!?), 歌詞もそれぞれ微妙に異なる。そこで今日ここでは「ほぼ」オリジナルの時代の素晴らしいヴァージョン, ギタリストでシンガーの Big Bill Broonzy (Jun 26, 1893 or 1903 – Aug 14, 1958) による特定のヴァージョンを取り上げて(彼のヴァージョンも数多くあり歌詞はそれぞれ細部に若干の違いがある), その歌詞を和訳します。

上で「ほぼ」オリジナル(の時代)と書いたのは, この曲の作者はどうやら不詳らしく(Charlie SegarBig Bill Broonzy の共作と言われたり, 一方で Jazz Gillum が「作者は俺だ」いや「真の作者は Broonzy だ」と相矛盾することを言っていたり), 最初にこの曲を 12小節ブルーズにしてレコーディングしたのが ピアニストでシンガーの Charlie Segar, 1940年, 次が同じく 1940年録音のハーモニカ奏者でシンガーの Jazz Gillum による 8小節ブルーズ(この時のギタリストが Big Bill Broonzy), そして翌1941年に 自身のヴォーカルとギターによる最初のレコーディングをしたのが Big Bill Broonzy だった(やはり 8小節ブルーズ, この時のハーモニカ奏者は Jazz Gillum), そういうわけで, 「ほぼ」。

本日の前口上より

と繰り返した上で, 先に書いてしまうと, (いきなり!)結局のところ, この歌のタイトルや歌詞における「ハイウェイ」とは, 「放浪」ひいては「自由」(もっと言ってしまうなら「解放」まで)を連想させるメタファーなのではないだろうか。そう考えるのが妥当だと思う。であれば, 「鍵」は「手段」あるいは「術」(すべ)あるいは「機会」とか, そんなところなのかなと。

歌詞を読めば勿論, それはより直接的には, 恋人から離れて「放浪」の旅に出る人物を歌っているということになるわけだけど。

Key to the Highway by Big Bill Broonzy (Jun 26, 1893 or 1903 – Aug 14, 1958) on vocals & guitar, with Jazz Gillum (Sep 11, 1902 or 1904 – Mar 29, 1966) on harmonica ♫

英語原詞 https://genius.com/Big-bill-broonzy-key-to-the-highway-lyrics

ハイウェイへの鍵を手に入れたんだ
勘定は済ませたぜ, あとは出発するだけさ (*1)
ここを走って去るつもりだ
歩いてたんじゃ遅すぎるからね

国境地帯に向かうのさ
今度こそは, 俺のことがもっと知られている場所にね
だってそうだろ, お前は俺に何もしてくれないんだ (*2)
ただ いい男を家から追い出すだけじゃないか (*3)

さあ, 月が山の向こうから顔を見せたなら (*4)
俺はもう出かけてるのさ
さあ, この古いハイウェイを歩き続けるぜ  (*5)
ずっと, 夜明けまで (*6)

愛しいママ, こっちに来てよ
この重い荷物を運ぶのを手伝ってほしい
テキサス西部に行く予定なんだ (*7)
だから出発しなくちゃ (*8)

テキサス西部に行くところさ
太陽の向こう側に行くんだ
そこで神様に尋ねるつもりだよ (*9)
「いったい俺がどんな悪事を働いたっていうんだ?」 (*10)

…….. ♫ …….. ♫

訳注:
*1 And I'm billed out and bound to go … bill は 他動詞で「請求書を送る」「請求する」, 受動態にして (be) billed out で「勘定を済ませた」の意。 ここでは(歌詞の文脈上)「俺はチェックアウトしたぜ」というニュアンスもありか。

(be) bound to は「~する決心をしている」「〜する決意だ」あるいは「~しなければならない」「~する運命にある」。

*2, *3 'Cause, woman, you don't do nothin' but drive a good man 'way from home … nothin' but, 「~だけ」「~のみ」「~に過ぎない」。

*4 Now, when the moon peeps over the mountain … peep は 自動詞で「こっそり見る」「のぞき見する」, 「現れる」「(花・太陽・月などが)顔を出す」。

*5, *6 Now, I'm gonna walk this old highway, until the break of day … 「さあ, この古いハイウェイを歩き続けるぜ, ずっと, 夜明けまで」, ここでの「(歩き)続ける」「ずっと(, 夜明けまで)」はやや意訳的な訳です。

*7 I am due in West Texas … due は 形容詞で「~する予定である」「~することになっている」「~になるはずである」、「到着の予定です」。

*8 And I've got to get on the road … have got to は have to, must, 「~しなければならない」や must(「~に違いない」)と同じ意味で使われる。ここでは前者。なお, get on the road は「出かける」で, このラインを「だから(出発しなくちゃ)」としたのは, このヴァースの文脈を踏まえて。

*9, *10 I'm gonna ask the Good Lord, "What evil have I done?" … ここでの Good Lord は「神」「神様」「善き神」「全能の神」といったニュアンスで受け取ればいいだろうが, Good Lord あるいは good lord は「何てことだ」「おお(神よ!)」「まさか」などの意で 感嘆詞的に使われるフレーズでもあるので, ここは, "そこで神様に尋ねるつもりだよ, 「いったい俺がどんな悪事を働いたっていうんだ?」という若干意訳含みの訳し方にした。

Key to the Highway 〜 人生いろいろ, ブルーズ色々

"Key to the Highway" by Little Walter 〜 エレクトリック・ブルーズ, シカゴ・ブルーズ

1958年(8月14日)に Big Bill Broonzy が 亡くなった直後, 彼への追悼として, ハーモニカ奏者でシンガーの Little Walter (May 1, 1930 – Feb 15, 1968) が, Key to the Highway を, エレクトリック・ブルーズとしてのシカゴ・ブルーズにアップデイトしてリリース(1958年9月28日), US・R&Bチャートで 6位を記録するヒットに。

ヴォーカルとハーモニカが Little Walter, ピアノは Otis Spann (Mar 21, 1924, or 1930 – Apr 24, 1970), ベースが Willie Dixon (Jul 1, 1915 – Jan 29, 1992), 他にも スライドギターに Muddy Waters (Apr 4, 1913 – Apr 30, 1983) 等々, なんと豪華な。

"Key to the Highway" by Buddy Guy & Junior Wells 〜 シカゴ・ブルーズの黄金のデュオ

素晴らしい, 永遠のブルーズ・デュオ, 初めて聴いた時は 中3の時, その時はレコードで(二人共演の日本公演, ライヴ盤2枚組LP), 後になって ライヴを実際に .. いやしかし, 二人の「共演」をライヴで観聴きしたことはなく, それぞれ別々になら。

Key to the Highway by Buddy Guy (born July 30, 1936) on guitar and Junior Wells (Dec 9, 1934 – Jan 15, 1998) on harmonica & vocals ♫

来月30日に 90歳の誕生日を迎える, そして今もライヴ演奏を続ける Buddy Guy, 実際そのライヴのパフォーマンスはヴォーカル, ギター共に素晴らしく, 何度この眼と耳で彼のエネルギー溢れんばかりのライヴを観聴きして楽しんだことか。また, Junior Wells (Dec 9, 1934 – Jan 15, 1998) も燻し銀のヴォーカルとハーモニカを聴かせる大好きなブルーズ・マンで, 一度ライヴを観聴きしたことがある。

ではでは。

"Key to the Highway" by Derek and the Dominos 〜 Eric Clapton & Duane Allman, ギター・バトルの金字塔

さて, この Key to the Highway, 筆者が一番好きなヴァージョンは Derek and the Dominos 1970年リリースの名盤 Layla and Other Assorted Love Songs に収められた, あれは何というか, まるで宝石が散りばめられたかのように力強く且つ美しい珠玉のジャム・セッション, あの Duane Allman (Nov 20, 1946 – Oct 29, 1971) と Eric Clapton のギター・バトル(これは和製英語ではないようで, Guitar battle)が 見物(見もの!)いや「聴き物」のヴァージョン(今日の第2章で音源ピックアップ),

本日の前口上より

"Key to the Highway" from Derek and the Dominos' 1970 album Layla and Other Assorted Love Songs, Eric Clapton (born Mar 30, 1945) & Duane Allman (Nov 20, 1946 – Oct 29, 1971) on guitar 🎶

フェイド・インで始まるこの時のレコーディングのエピソード は, クラプトンのファンの間であまりに有名。それは偶然録音された, まさしく即興のジャム・セッション, それも素晴らしく力強い, 且つ美しい, 珠玉のジャム・セッション。

"Key to the Highway" by Derek and the Dominos, Eric Clapton with Duane Allman 〜 LIVE at Curtis Hixon Hall, Tampa, Florida, December 1, 1970

録音音質は思い切り悪いけれど, これは貴重な音源。Cream 時代の Robert Johnson オリジナル "Cross Road Blues" をアレンジした "Crossroads", そしてその後の Eric Clapton のソロのライヴにおける "Crossroads" を彷彿とさせるようなアレンジ。


"Key to the Highway" by Derek and the Dominos (Eric Clapton), LIVE at Fillmore East, NY, October 24, 1970

ここに Duane はいないけれど, 十分にクールなパフォーマンス。


"Key to the Highway" by Eric Clapton (acoustic), 武道館ライヴ, 2001

このライヴ, 妻子と共に行きました。まぁそもそも クラプトンのライヴはかなり行ってるけれど(*1)。

*1 直近の来日はこちら。その下は, 筆者による エリック・クラプトン「歌詞和訳」集。


"Key to the Highway" by Eric Clapton & B.B. King

Clapton 御大, 言わずもがなの「王様」B. B. King (Sep 16, 1925 – May 14, 2015) と共に。


"Key to the Highway" by Eric Clapton 〜 To Save A Child 🇵🇸

エリック・クラプトン "To Save a Child" 🇵🇸 〜 🇵🇸 抵抗の象徴 🍉 収穫した日に我が家に着

キー・トゥ・ザ・ハイウェイ 〜 憂歌団, 1975年リリースのデビュー・アルバムから

日本が誇る, 誇るべき, まぁ日本の国がどうのこうのなんて関係ないか, しかし何故か誇らしくなるような日本出身のブルーズ・バンド, 憂歌団。彼らのライヴ, 何度観聴きしたことか。

その憂歌団の記念すべきデビュー・アルバムに収められたヴァージョンをここで。このアルバム, リリースから間もなく買いました。当時 筆者, 中学3年生, 15歳。正確な購入時期(年月日の年月)までは流石に思い出せず, もしかしたら高1だったかもしれないが, それも高校入学後, 早々だったと思う。いずれにしても当時, 静岡県の田舎町に住む15歳。既にクラプトン日本公演(2度目の来日, 1975年)のライヴは観たし, バディ・ガイ&ジュニア・ウェルズの日本公演ライヴ盤LPなど買って持っていたりもしたものの, しかしこの大阪出身の日本のブルーズ・バンドを, 彼らのデビュー・アルバムを, 自分はどこで, 何で, どういう経緯で知ったのか, それが全く思い出せない。遥か半世紀も前の記憶の糸を手繰り寄せる, その鍵も見つからない。キーが見つからない。急にブルーズ調から「文学」調になった(笑)。

因みに, デビュー・アルバム 12曲分のプレイリストは 以下のリンク先。「嫌んなった」から「グッバイ・ベイビー」まで, 名曲・名演揃い。この渋さで, これが彼ら21歳の時期のリリースだなんて, 今更ながらの驚き。文字通りの名盤。

ブルーズ歌詞和訳, これまで

Stormy Monday

Stormy Monday 〜 そのベストスリーを選ぶ


Nobody Knows You When You're Down and Out


Further On Up the Road


ブルーズ色々 〜 人生いろいろ

初めて聴いたブルーズ 〜 ジュニア・ウェルズ & バディ・ガイ LIVE in Japan 1975


ブルーズ「愛聴」史上最高のアルバム 〜 ロバート・ジュニア・ロックウッド LIVE in Japan


「無宗教, 勿論ノンクリ」の一家が, キリスト教会でブルーズをやった日 〜 2001年11月11日


バディ・ガイが、ステージで突然ギターを弾くのを止めて、そのピックを、我が息子(当時9歳!)に手渡した日


オールマン・ブラザーズ・バンド "Statesboro Blues" の元ネタを聴いてなかったのは 謎だ

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