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天の道~真実の行方1話

あらすじ

神聖な領域であるはずの病院の中に、ハラスメントの要素を兼ね備えた
ワンマンなボスの存在があった。とにかく怒らせると厄介なこの
人物に段々と操られていく理性を無くした『心』は次々に罪を生み……
命を守る筈の領域は、もはや鬼の巣と化して行く。
そんな状況に想い悩むひとりのナースが遭遇するミステリアスな出来事は
彼女に天からのメッセージだと悟らせる。

真実を伝えようとする者がいた
それは只、二度と同じ過ちを起こしてほしくないとする
願いからに他ならなかったが
同じく真実を歪めようとする者もいた。
たったひとつの真実を語るという事はこれほど難しい事だったのか……
だが、この世には決して誤魔化されない天の道があった!

     第一章  1話 深夜の訪問者①

午前2時、、、深夜の病棟内は静まりかえっていた。
此処は、渓流会病院3階にある【産科・婦人科・小児科】病棟。
小児科の中に新生児室を併せ持つ。
診療科目の多さに比べ、この病院内の他の病棟と比較すると一番小規模のこじんまりとした面積の病棟であるが、分娩からオペ出しオペ後に至り、新生児室まで抱えるその中身はスタッフにとって大量の業務内容となっている。

今夜の夜勤ナースは経験豊富な大山順子と、同じくその部類に入るとされる私・・・野中 瞳。二人はプライベートでも親交のある間柄で仲が良い。
夜勤入りの際にベテランコンビと冷やかされた二人の夜勤は何事もなく経過していた。
「ねぇ瞳、これ終わったら少し休憩できそうじゃない?そっちはどう?」
夜間帯、その他諸々の業務をこなしながら3時間置き4回目の授乳時間となりベビーにミルクを飲ませながら順子が聞いてきた。
大まかに分けて本日、産科側を受け持つ順子と婦人科側を受け持つ瞳の共同業務となるこの授乳時間。
同様に別のベビーにミルクを飲ませながら瞳が答えた。
「そうねぇ、、私の方も落ち着いているし出来るかな?(休憩)それにしても、こんな静かな夜も珍しいよね?」
「ラッキー!そうと決まれば・・・」
俄然、順子の手際が良くなった。

その時、入り口の方で物音が聞こえ人の気配が感じられた。
顔を見合わせる二人・・・現れたのは病棟医の小早川だった。
「お~い、誰かワシの注射頼むわ~」
持病のアレルギーが出現し、いつもの注射で抑えるべく、この時間に病棟へやって来たのだ。
「先生、今、授乳中ですので後でいいですか?」
当たり前かのように聞こえた順子のこの言葉に小早川の表情が一瞬にして変わり、同時にまるで瞬間湯沸かし器に火が付いた如く
「ワシと赤ん坊とどっちが大事なんだ!」
と怒鳴り返してきた。
ガラス張りのやり取りで、小声が聞こえないのを幸いに順子が
「あ~ん!もう勘弁してよ~」
と、呟きながら部屋を出て行った。

瞳は、たった今小早川の口から出た言葉に呆気に取られていた。
赤ちゃんと自分とどっちが大事かって・・・?
この場合、患者と医者とどっちが大事かって聞かれているようなもの、、
普通、こんな事、医者が引き合いに出せる言葉か!?
それでも返事を求めるなら、医療従事者の立場上・・・
赤ちゃんが大事に決まっているだろうが~!
ばっかじゃないの!こんなん言わすなよ~と心の声に葛藤していた。
別の部署から、この3階病棟に配置移動となり1年近くなるが
瞳は未だに、この病棟医である小早川の存在に馴染めないでいた。

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