見出し画像

球体が語りはじめる、未来のコンベンション体験 ― ラスベガスSphereからEXPOへの示唆

次世代のイマーシブ・メディア空間

2025年大阪・関西万博のシンボルとして、多くの来場者の目を引くであろう多数の球体パビリオンやパビリオン内の球体や半球。
現在は未来社会の象徴のように語られているこの構造物ですが、「球体」と「映像体験」「映像のためのディスプレー」という切り口で見つめ直すと、新たな可能性が浮かび上がってきます。
たとえば、ラスベガスに2023年誕生した世界最大の球体型シアター「Sphere(スフィア)」。この施設では、直径157mのドーム全体がスクリーンとなり、内部には120万個以上のLEDと、約16万個のスピーカーが組み込まれています。スクリーンを見るのではなく、“空間全体に没入する”体験。まさに映像と空間が一体化した、次世代のイマーシブ・メディア空間です。


「Interop Tokyo 2025」に登壇したSphereを支える映像演出の第一人者、Stefaan Desmedt(ステファン・デスメット)氏

6月13日昼、幕張メッセで開催された「Interop Tokyo 2025」のセッションでは、このSphereを支える映像演出の第一人者、Stefaan Desmedt(ステファン・デスメット)氏が登壇。Sphereに関わる方の話を日本でナマで聞ける機会はそう多くはいと思います。
700席超のコンベンションホールは満席、しかも来場者の多くが同時通訳機を使用せず、ステファン氏の熱量をそのまま受け取ろうとしていたことも印象的でした。
彼は、世界的ロックバンドU2のSphere初公演のクリエイティブディレクターを務めた人物。これまでにもマイケル・ジャクソンやビヨンセのライブ映像演出に携わってきた、まさにVFX・ステージ演出のトップランナーです。
セッションでは、Sphereで行われたU2公演を記録した没入型映画『V-U2』の制作背景について、過去のスタジアムでの流れから語られました。
この作品はSphereでの鑑賞を前提としたもので、まるで観客がU2と同じステージに立っているかのような体験が可能になります。

2023年9月にSphereのオープニングと同時に、U2が初公演を成功させ、その後、2024年9月に同じSphere内で鑑賞できるようになりました。
V-U2 An Immersive Concert Film at Sphere Las Vegas (Official Trailer)

Sphereで実現されているのは、単なる「大きなスクリーン」ではなく、「視覚・音響・空間が統合されたメディア」。これは、B2Bイベント、企業プロモーション、都市型コンベンションにも大きな示唆を与えてくれます。


没入感がブランドを語る時代へ

現在、映像制作の分野ではIn-Camera VFX(実写とリアルタイム3DCGをLEDビジョンに合成しながら同時収録する手法)が注目されていますが、Sphereのような施設では、これらが本番のライブ空間そのもので実現されています。
そうした技術の集積は、今後のEXPOや国際展示会、B2B発信において、単に「伝える」から「体験させる」へのパラダイムシフトを促すでしょう。
企業が製品発表やプロジェクトストーリーを発信する際も、映像と空間の融合が「記憶に残るプレゼンテーション」を創出する鍵になるのです。

ステファン氏のセッションをサポートしたのは、日本のIn-Camera VFX第一人者の一人、株式会社スローネ代表・結城崇史氏。モデレーターとしての的確な質問と構成により、ステファン氏の魅力とSphereの核心を余すところなく引き出していました。
こうした貴重な機会を提供したのは、Interopを長年主催するナノオプト・メディア社。グローバルな映像・空間演出の潮流と日本の技術コミュニティとをつなぐハブとしての役割を担っています。


球体施設は、コンベンションの未来かも

再び、万博の球体に話を戻しましょう。
・あの巨大な構造が、もし今後、Sphereのように「映像を映すスクリーン」や「語るための装置」として使われるようになったら?
・単なる建築物やフォトスポットではなく、映像・光・音を内包したインタラクティブ空間になったら? 
企業のプレゼンテーションや展示演出は、次のステージへ進むはずです。

球体という形そのものが持つ包容性と、映像の持つストーリーテリングが掛け合わされば、コンベンションにおける「ブランド体験の質」は飛躍的に変わるでしょう。今回のEXPOでは、こうした視点も踏まえ、球体、半球をご覧いただけると、未来を創造する際のヒントになるのではないでしょうか?

スクリーンを見る時代から、スクリーンに包まれる時代へ。
Sphereが描いた未来は、遠い世界の話ではなく、日本でもすぐそこまで来ているのかもしれません。

関連するコンテンツもご覧いただければ幸いです。